システムズ顧客の競争力を失わないレガシー対策を!
“温故知新”のサービスを強化し、さらなる発展へ

中堅企業向けのシステム開発を主に手掛ける、独立系SIerのシステムズ。同社の強みは、レガシー環境の悩みを抱える企業に対し、30年に渡ってノウハウを蓄積してきたマイグレーションサービスを提供し、顧客の強みが詰まったシステムを継続して安定稼働させる点だ。
AIを活用してCOBOLなどのソースコードから仕様書を自動出力できる、Webサービス「Re:structure AI(リ・ストラクチャー エーアイ)」を2025年10月に提供開始。各企業の現状把握を支援しつつ、将来のマイグレーションに向けた土台作りにつなげる狙いもある。

システムズ
代表取締役社長
小河原 隆史 氏

独立系SIerのシステムズは1969年創業。プログラマーやシステムエンジニア(SE)の派遣など、大手SIerの下請けから事業を立ち上げ、1995年からはレガシーシステムのマイグレーション事業を手掛けてきた。近年では、レガシーシステムを利用しているユーザーからの問合せも増え、一次請けとしての案件が拡大している。「レガシーシステムの課題に悩む企業を新規開拓し、課題の解決後も新規開発や保守運用に発展していく関係が一般的です」と同社社長の小河原隆史氏は語る。

システムズ
代表取締役社長
小河原 隆史 氏

Javaや新しいCOBOLにソースコードを変換する手法でレガシーシステムを安定稼働の状態に戻し、新規システムを追加する際には投資リスクや管理負担が小さいクラウド活用のソリューションなどを提供してきた。

独立系SIerのシステムズは、レガシーシステムの課題に悩む企業を新規開拓し、ソースコード変換による安定稼働やクラウド環境への移行を支援する

顧客の強みを維持するマイグレーションとは?

システムズ
ビジネスイノベーション本部
本部長
板倉 利幸 氏

システムズの顧客は事業規模が100億~2000億円で、社歴が20~30年以上の企業が多い。幅広い業種にまたがり基幹系、情報系のシステムを手掛けてきた。多くの顧客が、システム投資から数十年が経過した今、直面するITレガシー問題に対し、IT部門の人材不足が足かせとなり改革が進まないという悩みを抱えているという。

システムズ
ビジネスイノベーション本部
本部長
板倉 利幸 氏

「COBOLなど古いプログラム言語を知っているシステム担当者が退職目前で世代交代が必要だが、若手社員への教育が困難なため、新しい言語に変換したいといったご相談が顕著です」と、同社ビジネスイノベーション本部長の板倉利幸氏は説明する。

加えてITベンダーのサポート切れなどにより、セキュリティー対策が難しいという理由で、システム刷新を希望する顧客も多い。「自社の知名度は高くないから大丈夫、と油断していたところにメール経由でウイルスが侵入したり、工場のシステムと連動するためにネットワーク接続したら、セキュリティー未対策だったり……そんなケースがありましたね」(板倉氏)

システムズは悩みを抱える企業のマイグレーションを支援する一方、その過程で大事にしていることがある。それは、顧客の“強みが詰まった部分”を失わないように配慮することだ。「自社の主力ソリューションありきで提案するSIerが多いなかで、顧客の業務ノウハウが詰まった既存アプリケーションにフォーカスして『らしさ』を大切にし、顧客の『ありたい』姿にお連れすることが我々の社会的意義と考えています」(小河原氏)。同社はこのポリシーを自社のパーパス「『らしさ』から『ありたい』をかたちにする」で示している。

「例えば、物流業界では各クライアント(元請け)特有の業務処理に対応するサービスを提供することが多く、当社の顧客が業務ごとに構築した発注用インターフェースが百数十種類に及ぶケースもあります。また在庫管理では、スピード出荷など、自社の強みに合わせたシステムを構築し、使い続けてきた企業が多くいらっしゃいます。このように顧客の業務ノウハウが宿っているシステムをパッケージソフトなどに置き換えて、競争力を失ってしまうことがないよう、顧客の強みをしっかりと継承していくのが当社のこだわりです」(板倉氏)

まずは顧客の業務内容にまでは踏み込まず、自社の強みを残す形でレガシー資産から脱却する計画を検討し、実現する。その中で、顧客の業務を理解し、その後のデジタルトランスフォーメーション(DX)やAI活用に向けた改善を支援している。

コード変換前の移行性検証で無駄を省く

システムズが顧客システムのマイグレーションに要する工期は、小規模な場合は3カ月程度のこともあれば、大規模な場合は2年かかるケースもある。まずはシステム全体のソースコードを預かり、移行する部分と不要な部分を整理する。「全体の6割しか使っていないケースもあり、使わない部分までコード変換すると無駄なコストがかかるため、この現状整理が重要になります」(板倉氏)。大型システムの場合は整理に2~3カ月かけるという。

マイグレーションに至るまでの3ステップ。特にシステムズはステップ1の「現状調査」を重視する。システム全体のソースコードを、移行する部分と不要な部分に切り分け。一部を試験的に変換し、変換方法に問題がないかを確認した後で、全体のコード変換を進めていく

移行する部分が決まったら、コード全体を変換する前に3~5%の部分を試験的に変換し、変換方法に問題がないかを確認する。大型システムではこの「移行性検証」に4~5カ月をかけ、その後の全体変換は半年から1年といったスケジュールになる。

コード変換には自社開発の自動変換ツールを使用。レガシーシステムのCOBOLやRPG、PL/Iで記述されたソースコードを最新バージョンのCOBOLやJavaに変換できる。最後は現行システムと同じ動作をすることを確認してから納品し、顧客側での運用テストを経てマイグレーションは完了となる。

こうしたシステムズのマイグレーションにおいて、移行性検証の行程でしっかりと変換方式を確立した後、全てのコード変換を実施していくことで、後戻りのない、安心・安全な移行を実現している。また、コスト削減にも注力してきた。「コード変換とテスト工程の品質向上、効率化がコスト削減に効果的なので、ツールの強化や中国・ベトナム人材活用などの研究を重ねた結果、10年前と比べ削減が相当進んでいます」(小河原氏)

マイグレーションと併せて新機能を追加するケースも多いため、その場合は最初の移行性検証において事前設計を並行して進めておく。ただしシステムズは、まずマイグレーションを終了して品質確保を確認した後で機能追加に着手する。この2段階でシステム開発を進めるポリシーを厳守。「同時に進めると失敗が起こる可能性が高まります。この点は顧客にも必ず伝えて徹底しています」(小河原氏)

オープン化ならJava、安定稼働重視ならCOBOL

マイグレーションにおいてはCOBOLからどの言語に移行するかがポイントだ。2000年前後は新しいCOBOLへ変換するケースが一般的だったが、2010年以降はJavaへの移行が増えてきたという。「COBOLは扱えないけどJavaの経験はあるシステム担当者が多いという事情から、Javaがよく選ばれています」(板倉氏)

Javaでシステムをオープン化するケースでは、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)などのクラウド環境に移行する案件が増えている。同社の顧客では、自動車部品物流企業のロジコム社が、5拠点でそれぞれ独自の進化を遂げていたホストコンピューターのシステムをJavaベースに一本化し、業務プロセスを標準化。システム環境はAWSへ移行させることで、レガシーシステムからの脱却と業務改革を実現しつつ、システム運用の効率化を図った。

自動車部品物流企業のロジコム社は、それぞれ独自の進化を遂げていた5拠点のホストコンピューターをJavaに一本化し、業務プロセスを標準化。システム環境はAWSへ移行させることで、レガシーシステムからの脱却と業務改革を実現しつつ、システム運用の効率化を図った

その一方で、最近はCOBOLによる安定稼働の良さが見直されてきている。「当社も積極的に推奨しています」(小河原氏)。COBOL習得の関心が薄かった若手技術者も、新しい言語と一緒にCOBOLも学ぶスタイルなら抵抗なく受け入れる状況になってきたという。「コストをかけずに現状システムの安定稼働を重視する顧客が、COBOLへの変換を希望するケースは多いです」(板倉氏)

システム仕様のAI自動出力サービスを開始

レガシーシステムを長年運用したことで、システム仕様書が残っていない顧客も多い。この問題を解決するために、AIを活用してCOBOLなどのソースコードから仕様書を自動出力できるWebサービス「Re:structure AI」を2025年10月に開始した。利用企業は数千ファイルのソース解析が可能であり、システム全体の構成や概要の出力を省力化することで、レガシー環境の現状管理に要する負荷やコストを大きく軽減できる。

「実際にユーザーが利用しているシステムは数千ものプログラムで構成されており、1本のプログラムから仕様書を出力できてもあまり意味はない。全体を俯瞰して仕様を理解し、詳細までブレイクダウンできることが本サービスの強みです。このサービスを1年ほど活用して、自社の強みとなる仕様を顧客に認識してもらい、将来的に当社ともマイグレーションに向けた相談ができればと考えています」(小河原氏)。着手前に顧客の現状認識が済んでいれば、刷新の工期短縮にもつながる。「Re:structure AI」の利用料金はシステム規模にもよるが、月額数十万円程度に設定した。今後はJavaなどへのAI自動変換機能も追加していく考えだ。

システムズは企業が抱えるIT人材不足の問題解決に向けた取り組みとして、レガシーシステムに関連した情報交換を行う無償コミュニティー「レガシー侍」を2022年から運用している。ベテラン技術者から若手へのノウハウ伝達などを目的として、COBOLなどレガシー言語の勉強会や、マイグレーション事例の共有、オフ会の開催といった交流が交わされている。

「レガシー環境を熟知した技術者が定年退職でどんどん減少し、人材獲得が難しくなっていることは当社も実感しています。レガシー人材のネットワークを維持したいという狙いもあります」(小河原氏)

これらの最新技術を活用した“温故知新”のサービスを強化しつつ、レガシー問題の解決に貢献する取り組みを今後も発展させていく。