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川口弘行

住民情報などの機密情報も扱える

「プライベートAI」という選択肢

自治体DXフォーラム 2025 Summer 出島で論じるdigital might
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業務効率化や住民サービスの拡充に向けて生成AIを活用したいが、セキュリティーをどう担保すればよいか分からない――。このような悩みを持つIT/総務担当者は多いだろう。その解決策となるアプローチと、自治体向け生成AIサービスを提供するのが川口弘行合同会社だ。外部と接続しないクローズド環境で稼働する同社のサービスを利用することで、機密性の高い情報提供系ネットワークの情報も生成AIで扱えるようになる。

自治体の生成AI活用を阻むセキュリティーの問題

川口弘行合同会社 代表社員 川口 弘行氏
川口弘行合同会社
代表社員
川口 弘行
 人間とのチャットはもちろんのこと、文書の生成や要約、画像・動画の生成なども自在に行えるようになった生成AI。圧倒的な速度で情報を処理できる生成AIの強みを生かし、業務効率化や住民サービス拡充につなげたいと考える自治体組織は多いだろう。

 ところが、実際に活用を検討する際には大きな壁に直面することになる。それが、庁内の情報の機密性をどのように確保するかということだ。

 業務上の重要情報や住民の個人情報など、自治体のシステム内には機密性の高い情報が無数に存在する。それらを扱うことができれば生成AIの価値は飛躍的に高められるが、それには十分なセキュリティー対策などの工夫をしなければいけない。

 「安全性を確保するためにどのような方法が必要か。また、コストをどのくらい見積もるべきかに悩む方は少なくないはずです」と話すのは川口 弘行氏だ。同氏は高知県庁 CIO補佐官や経済産業省CIO補佐官、佐賀県庁 情報企画監などを務めた後、2017年に川口弘行合同会社を設立。現在も多くの自治体のCIO補佐官やDX推進アドバイザーなどを務め、デジタル化を支援している人物である。

高性能な生成AIサービスをLGWAN-ASPとして提供

 どのようにすればセキュリティーを確保できるのか。自治体は、情報システム強靭性向上モデルに基づき、ネットワークを「インターネット接続系(レベル1)」「LGWAN接続系(レベル2)」「情報提供ネットワークシステム系(レベル3)」の3層に分離して運用している。レベルが上がるほど機密性の高い情報を扱える仕組みだ。

 「多くの生成AIサービスはクラウド型で提供されているため、一般的にはレベル1のネットワークからアクセスする形になります。この状態では機密性の低い情報しか扱えないため、生成AIの真価を引き出すことが困難です」と川口氏は言う。

 そこで同社は、レベル2のLGWAN接続系で使える生成AIサービスとして「プロキュアテックAI(LGWAN-ASP)」を用意している。

 学習済みのモデルに加えて、庁内のナレッジを活用するRAG(検索拡張生成)の仕組みも標準搭載する。また、複数の生成AIを数珠つなぎに連携させて処理を実行する「AIワークフロー」機能も実装。生成AIが「調べ方を考え」「検索キーワードを決め」「検索を行い」「結果を評価して」「結果がよければ採用する」というプロセスを自律的に繰り返すものだ。

 「これにより、高品質なアウトプットを生成できるようにしています。既に福島県会津若松市で導入されており、非常に高い評価をいただいています」と川口氏は説明する。

庁内環境に閉じた生成AIなら住民情報も不安なく扱える

 さらに、一段と機密性の高い情報を扱うための手段として同社が提案するのが「プロキュアテック プライベートAI」(以下、プライベートAI)だ(図1)。その名の通り、クローズドな庁内環境で利用・運用可能な生成AIである。プロキュアテックAI(LGWAN-ASP)と同じ機能を備えたLLMを、オンプレミスのサーバーにインストールして利用する。  「外部ネットワークに接続しないため、住民情報を扱うレベル3のネットワークで利用することも可能です。生成AIモデルやAIワークフローなどのソフトウエアと、それらを動かすサーバーを当社が併せて提供します」と川口氏は紹介する。

 プライベートAIを導入すれば、庁内の機密情報を扱ったAIワークフローを実現できる。庁内のファイルサーバーやシステムから必要なデータを読み出し、最適な生成結果を生成AI自身が検討して、高精度なアウトプットを提示可能だ。

 また、買い切り型のため、生成AIの文字数制限や従量課金制による月ごとの料金の変動なども気にする必要はない。「使えば使うほど早く投資を回収できます。予算組みが容易なこともメリットといえるでしょう」と川口氏は語る。

 代表的なユースケースとしては、「オンライン申請の自動処理」が挙げられる。メールやファイルサーバー、データベースなどの新着情報を常時監視して、申請があり次第AIワークフローを稼働するのだ。非定型データから目的の情報を抽出して処理することも可能。添付ファイルからのデータ抽出や、ファイル形式の正規化なども実行できる。受領した書類に不備があった場合、再提出を依頼する作業を自動化することも可能だという。

 「技術的には外部に接続して使うことも可能です。そのため、プロキュアテックAI(LGWAN-ASP)や、クラウド型で提供されている外部の生成AIサービスと連携させたハイブリッドAIの構築も実現できます」と川口氏は付け加える(図2)。受け渡す情報をプライベートAIで監視して、「機密情報か否か」を判断させることもできる。明確なルールや運用方法を定めて徹底すれば、安全性を維持したまま生成AIの価値をさらに増大できるだろう。  人口減少に伴い、働き手を確保することはますます難しくなることが予想される。一方で、自治体の業務は増え続けている。難易度や不確実性も高まっており、業務を効率的に遂行する上で生成AI活用はもはや不可避といえるだろう。

 「タスクを『量』と『難しさ』の2軸で分類し、『量は少ないが、難しい』タスクを積極的に生成AIに任せるべきです」と川口氏は強調する。同社の生成AIソリューションは、その際の有力な選択肢になるだろう。