NECソリューションイノベータ株式会社

ソリューション講演

求職者の目線でストーリーを語り、労働市場で優位に立つ

「人的資本経営品質2024ゴールド」に輝いた取り組みを解説

「人的資本経営品質2024ゴールド」を獲得したNECソリューションイノベータの人的資本経営の取り組みを紹介した。3つの大きな狙いがあり、「会社・組織」と「個人」の2本柱で進める。社員一人ひとりのスキルや経験・知識・働きがいを重視し、それらを戦略的に活用して企業の成長を加速させる秘訣を、リアルな実践例から解き明かす。

労働市場で優位に立ち、優秀な人材の獲得を目指す

日本電気株式会社
HRトランスフォーメーション統括部
ディレクター
丸岡 晶 氏
(2024年度までNECソリューションイノベータ株式会社 人財企画部所属)

NECソリューションイノベータは、社員1万2589人の約9割がSEや開発者という、エンジニアリング中心の会社だ。同社は、HRテクノロジーコンソーシアムが実施した「人的資本調査2024」で「人的資本経営品質2024ゴールド」に輝いた。

日本電気株式会社
HRトランスフォーメーション統括部
ディレクター
丸岡 晶 氏
(2024年度までNECソリューションイノベータ株式会社 人財企画部所属)

人的資本経営に取り組む主な狙いは3つあると丸岡氏は述べる。「1つ目は『ブランディングの向上』です。労働市場で優位に立ち、優秀な人材の獲得を目指します。2つ目は『競合する上場企業とのレベル差を作らないこと』です。当社はNECの100%子会社で非上場企業ですが、競合には上場企業が多くあります。人的資本経営とその情報開示において、他社にひけを取らない体制を構築していきます。3つ目が『アトラクト&リテイン』です。日本でトップクラスの人的資本経営と開示を実現することで、社内の優秀な人材を魅了し、リテインを図ります」

同社の人的資本経営には、2つの柱がある。1つは、会社・組織のバリューを向上させるための「経営戦略と人材戦略の連動」だ。経営戦略に即した人材戦略に基づいて人材を採用、登用、育成し、その成果を評価して適正な報酬とリテンションにつなげる。

もう1つが、個人のバリューを向上させる「Well-beingの推進」だ。「健康」「成長」「働きがい」の3つの価値を追求している。まず健康があり、次に成長があり、最終的に働きがいにつながるというストーリーで、様々な施策を実践している。

NECソリューションイノベータの人的資本経営は、「会社・組織」と「個人」の2本柱で進められている

リソース戦略は、中長期と短期の2軸で考える

会社と組織のバリューを向上させるために、なぜ経営戦略と人材戦略の連動が必要になるのか。丸岡氏は「1万人以上のエンジニアを採用、配置、育成し、最適なアサインメントをしていくためです」と説明する。すべての起点は、中期事業計画と年次事業計画だ。それに基づいてリソース戦略を練り、そこから人材充足、配置、人材転換、パートナーの確保などを決めていく。この一連のプロセスが連動してこそ、中期事業計画と年次事業計画を最短距離で達成する効果的なアサインメントが可能になる。結果をモニタリングし、事業性評価をした後、次の中期事業計画と年次事業計画に生かす。経営戦略と人材戦略の連動とはこのループを回すことだと話した。

そして、「リソース戦略のポイントは中長期と短期の2軸で考えることです」と丸岡氏は続ける。リソース戦略には、中長期と短期がある。中長期的なものを「リソースマネジメント」、短期的なものを「プロジェクトアサインメント」と呼んで区別した。これらの戦略を実行可能にするため、人材を定義し、データベース化して全社の人材リソースを可視化。「この作業に数年をかけ、ようやく形になってきました」(丸岡氏)。人材を定義するため、SAPやモダナイゼーション、デジタル、コンサルなどの領域を特定し、業務リーダーやチームリーダーなどの人材ラベルを作り、専門性に応じた分類を作り、社員一人ひとりが持つスキルや経験を当てはめてデータベース化していった。

一方、「個人のバリュー向上」の中心的な施策は「Well-beingの推進」だ。社長がオーナーとなり、推進プロジェクトを2024年1月に立ち上げた。「健康」「成長」「働きがい」を担当する3つのワーキンググループを作り、各事業ラインから事業部長や部長クラス18人をメンバーにアサインした。

メンバーの意見を反映しながら、実行可能な施策を検討し、2024年3月末にKGI、KPI、施策をまとめた。日本経済新聞社が主催する「Well-being Initiative」がまとめた「日経統合ウェルビーイング調査(伊藤版Well-beingスコア)」の指標を中心に、KGIを設定した。同スコアの議論には同社も積極的に加わり、策定に尽力していたためだ。

「健康」では「ホワイト500トッププレイヤー水準への到達」、「成長」では「キャリア自律の向上」、「働きがい」では「やりがいの向上」などの目標を掲げ、多くの取り組みを進めている。

求職者目線で統一した「人的資本レポート2024」

丸岡氏は次に、人的資本経営の開示状況を説明した。同社は年に1度、人的資本レポートを発行している。1回目のレポート(2023年3月発行)は丸岡氏自身が書いた34ページのものだったが、2回目に出した「人的資本レポート2024」(2024年6月発行)は、同社の人的資本経営における考え方と施策、データをまとめた全96ページ(データ編を含めると114ページ)の冊子になった。

主なポイントは3つある。1つ目は「人的資本経営への考え方」で、同社の考え方と取り組みを明らかにしている。冒頭の社長メッセージにも力を入れた。丸岡氏は、社長と何度も議論をしてとりまとめた。

2つ目は「求職者目線での情報開示」だ。本レポートでは大量の情報とデータを開示しているが、求職者の目線ですべての方向性を統一し、ストーリーを打ち出している。

3つ目は「社外有識者による巻末コメント」だ。東京大学大学院教授の柳川範之氏のコメントを掲載した。「独りよがりになることを防ぐため、第三者の視点で厳しいご意見をいただきたいとお願いしました」(丸岡氏)。

レポートの発行後も、社内外への情報発信と対話を続けている。NewsPicks社主催のオンラインイベント「人的資本経営Conference」のセッションへ参加したり、新聞・雑誌広告、オープンミーティングなどを行ったりしている。「オープンミーティングでは、CHRO・人事担当者と若手社員が台本なしで対話する様子を、全社員にオンラインで配信しました。社内から多数のフィードバックをもらえたことが、大きな財産になりました」(丸岡氏)。

「人的資本レポート2024」を発行した後も、講演や対話会などを実施し、情報発信と対話を続けている

講演の最後に、NECソリューションイノベータが提供する人的資本経営支援ソリューション「POSITIVE」を紹介した。人事データベースの整備から、情報の蓄積、データの分析と活用に至るまで、人的資本経営に必要なデジタル基盤とプロセス全体を支援している。豊富な機能と柔軟なカスタマイズ性、そして実績に裏打ちされたサポート体制により、企業の持続的な成長に貢献していく。

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