人手不足が深刻化する中、自治体が限られたリソースで多様な住民ニーズに応えるためには、デジタル活用を前提に業務の進め方を見直す姿勢が不可欠だ。業務手順の標準化、データ活用、住民接点の高度化など、多様な取り組みが各自治体で進められている。
しかし、現場をつぶさに見ていくと、そこには生産性を低下させる要因がまだ残っているようだ。
例えば、長年蓄積されたファイル群が組織内に散在し、「どれが最新か」「何が重要か」分からない状態になっていることはその1つ。情報検索に多くの手間と時間がかかり、先人の知恵を業務に役立てることが難しくなっている。データガバナンスと職員の利便性を両立した情報検索の仕組みを構築することが大切だ。
住民とのコミュニケーションにも改善の余地はある。デジタル化が進んだ現在も、「電話」は依然として多くの住民が利用する手段の1つだが、その対応に職員の時間が奪われている。また、電話は通話の内容の可視化が難しくブラックボックス化しがちなため、職員へのハラスメント防止が難しいという問題もある。働きやすい職場の実現に向けても解決すべき課題といえるだろう。
さらに、インバウンド需要や外国籍住民が増加する中では、自治体の多言語対応も一層加速する必要がある。外国語に堪能な特定職員への依存を避けるためには、AIを搭載した翻訳ツールを活用することが有効だ。自治体業務に欠かせない用語の正確性やセキュリティーを保ちつつ、「言葉の壁」を取り払うことが重要になっている。
このように、自治体DXは進むべき方向性が見えてきた一方で、それを実践に落とし込むプロセスにはまだ課題が残っている。解決策について、専門家の提言を基に考えてみたい。