多くの自治体の業務効率を下げている要因の1つが「ファイルサーバーの混沌」だ。異動した前任者が残したファイルが「負の遺産」として塩漬けになっており、どのフォルダに何があるのか、最新のファイルがどれなのか判別できない。この状況が、貴重なナレッジや知見を埋もれさせる原因になっている。
「中身は『(日付)バックアップ』や『最終_02』などの独自のファイル名であふれています。個人名がついたフォルダに共有すべきファイルが埋もれていることも少なくありません。ディスク容量は常にひっ迫していますが、重要かどうか分からないファイルを勝手に削除するわけにもいかず、ファイルストレージがゴミ箱代わりになってしまっているのが実情です」と多くの自治体でCIO補佐官を務める川口 弘行氏は語る。
この混沌を解消し、埋もれた知恵を役立てるためにはどうすればよいのか。川口氏が提示するのが、ファイルやデータの整理にAIを活用するアプローチだ。
自治体では三層分離のネットワークが前提になるため、SaaS型の生成AIサービスが使いにくい状況にある。しかし、インターネットに接続せず庁内のサーバーで稼働するAIエンジンを採用すれば、安全性を維持したまま機密情報を含むファイルの整理が可能になる。「当社が開発した『ストレージマネージャー』は、そのようなオンプレミスでの生成AI活用によってファイルの整理を実現するサービスです」と川口氏は説明する(図)。
AIエージェントが業務時間外にファイルサーバー内を巡回し、ファイル名や更新日時、さらにはファイルの中身を精査する。これにより、そのファイルが本来あるべき場所や機密性を判定して提案するという。