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N e w F u t u r e

Vol.11 顧客中心主義を追求するだけでは、
企業は生き残れない
顧客と企業の関係を深化させる
アクセンチュア ソングが
目指すもの

アクセンチュアは、マーケティングやクリエイティブ、サービスデザインなど顧客体験価値の向上を支援する組織である「アクセンチュア インタラクティブ」を進化させ、新たな組織「アクセンチュア ソング(Accenture Song)」をスタートさせた。その狙いは何か。アクセンチュア ソングを率いる黒川順一郎氏が語る。

顧客中心主義だけでは、
顧客に選ばれない時代

 顧客の価値観が変わり、多様化が進んでいる。企業はその変化に対応すべく、様々な手法を取り入れてきた。しかし、徐々に進んできた社会のデジタル化はここ数年でパンデミックによりいよいよ加速し、変化のスピードに付いていくのが難しくなっている。企業の対応は、後手に回っている感は否めない。

 アクセンチュアで長年にわたり、企業の顧客戦略を支援している黒川順一郎氏は、この状況を次のように語る。

「企業はこれまでも顧客接点を改善してきました。しかしそれは、単にデジタルのチャネルを増やす、モバイルサービスを作るというような、部分的な施策にとどまることがほとんどでした。昨今の社会と生活者の変化に応えるためには、変化そのものに対応できる組織になっていなければ間に合いません」

黒川順一郎 氏

黒川順一郎 アクセンチュア 執行役員
Accenture Song 統括本部長
業界を問わず「顧客体験を起点とした企業変革」の実現を世界有数の企業に提供。支援体制を強化するため、IMJ、ビジネットシステム、タンバリンのM&Aを主導し、デザインスタジオFjord、CGIプロフェッショナル集団Mackevision、クリエイティブエージェンシーDroga5の日本事業立ち上げを率いた。

 企業が生み出すサービス・製品は、私たちの社会を豊かにしてきた。企業はそれらをいかに効率良く顧客に届けるかを追求し、組織全体を大きな工場のように運営することで利益を上げてきた。

 それが飽和したことで、数十年かけて「サービス・製品中心」から「顧客中心」へと変化した。顧客が何を望んでいるかを知り、サービス・製品によってそれに応え、より良い顧客体験の提供が重要だと言われている。

 だが近年、顧客体験の重視だけでは成り立たない価値観も出てきた。次の段階が訪れていると黒川氏は指摘する。

「例えばオンラインショップで、サイズの異なる靴を数足送ってもらい、試着して自分に合うものだけを買って、残りは送り返すサービスがあります。これは顧客に喜ばれるサービスとして注目されました。しかし今では、1足買うために5足送ってもらって4足送り返すことに対して、一部の顧客には、ムダなコストやCO2の排出をしているという罪悪感が芽生えています。消費者としてではなく生活者として顧客を捉え、彼らの人生にとって何が大切なのか、企業と顧客の周りにある社会全体にとって何が価値となるのかを考えなければいけない段階に入ったと言えます」

 このように変化し続ける社会状況の中、企業が顧客と継続的に良好な関係を築くことを支援するため、アクセンチュア自身も大きな変革を実行した。それが新組織「アクセンチュア ソング」の発足である。

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新組織名「ソング」に
込めた思い

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 アクセンチュア ソングの前身、アクセンチュア インタラクティブをリードしてきた黒川氏はこう語る。

「先ほどお話ししたような社会変化を受け、当社に対する企業からの要望と期待は、より本質的で、規模が大きなものになっています。つまり、マーケティングなど個別機能の支援ではなく、事業戦略の再定義や組織再編を含めた大きな変革を強力に支援する体制に我々自身が進化する必要があると考えました。その形が『アクセンチュア ソング』です」

 アクセンチュア ソングは同社の中で唯一、提供する機能を示していない組織名だ。ソングとは文字通り「歌」を表すが、歌は国境や人種、時代をも越えて人々をつなぎ、共感を呼ぶものである。「歌は技術と感性が融合して創られ、人の心を動かします。『テクノロジーと人間の創意工夫で、まだ見ぬ未来を実現する』というアクセンチュアのパーパスと呼応しつつ、私たちが提供するビジネス価値が、企業と生活者の間の共感を生み出すような存在になれればという思いを込めています」(黒川氏)。

 これまでは、同社が買収したクリエイティブエージェンシーやデザインスタジオなど含め、アクセンチュアで顧客体験価値の向上を支援する人材はそれぞれ連携し“足し算”の支援を行ってきた。それを、アクセンチュア ソングという名のもとに集結していくことで“掛け算”で価値を提供する、全員が1チームとして企業の変革を支援する体制を整えた。「これからはそれぞれの専門分野に閉じることなく、各自の専門性を生かしながら一丸となってお客様企業のビジネス成長をご支援していきます」(黒川氏)。

 では、アクセンチュア ソングでは具体的にどのようなサービスを提供するのか。「当社の調査では、経営層の88%が、顧客と従業員が自社のビジネスよりも速く変化していると回答しています。このギャップを埋めるために、アクセンチュア ソングでは3つの角度から企業変革を支援します」と黒川氏は言う(下図)。

図1 図1

アクセンチュア ソングが支援する
顧客接点の変革アジェンダ

 1つ目は、そもそもどのようなサービス・製品を作るか。「自社が作れるもの、作りたいもの」ではなく、顧客が社会や企業をどう捉えているかを知り、本当に求めるものを提供し続けていく必要がある。その仕組み作りから支援する。

 2つ目は、どのように顧客と長期的な関係を築き、深めるか。真の意味でパーソナライズした体験とサービスを提供し、その対価を企業が得る形に、生活者としての顧客との関係性を変えていく支援を行う。

 そして3つ目が、どのように販売・提供するか。単純なオンライン/オフラインという区分ではなく、SNSを含め増加を続ける多様なチャネルを適材適所で使い分け、シームレスに顧客体験を作り上げなければいけない。そのための知見とテクノロジーを提供する。

 これら3つの角度からのアプローチの先にあるのが「フロントオフィス・トランスフォーメーション」、すなわち顧客接点を担う経営基盤の変革だ。「これらの機能は、常に改善していく必要があります。そのために、お客様企業が顧客体験の改善を継続的に行い、変化に対応し続けられる組織に変わるお手伝いをします」(黒川氏)。

 もちろん、さらにその先にアクセンチュアの総合力をもってバックオフィスの変革も支援できるのが同社の強みだ。

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顧客との関係を見直す取り組みは、
今すぐ始めるべき

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 企業が顧客戦略の根本的な見直しを進めるとき、アクセンチュア ソングのような、全体設計から個別のサービスデザイン、コミュニケーション、テクノロジーの提供までを一気通貫で支援してくれる組織は頼もしい存在である。企業からの期待もすでに大きい。ここでは、アクセンチュア インタラクティブ時代から継続的に支援している代表的な事例として、みんなの銀行、資生堂、日本ハムについて見ていく。

 みんなの銀行は、ふくおかフィナンシャルグループが設立した日本で初めての本格的なデジタルバンクである。「単純にアプリを作ったのではなく、デジタルネイティブ世代に寄り添う“お財布のように使える”全く新しい銀行の立ち上げをゼロからお手伝いしました。同時に、フルクラウドで圧倒的なスピードでシステムを構築しています。当然金融庁の認可も必要で、そうした事業構築や業務プロセスも含めて、伴走するパートナーとして支援しています」(黒川氏)。

 資生堂とは、同社のDXを加速する合弁会社「資生堂インタラクティブビューティー株式会社」を設立した。「同社は、従来型のマスメディアを通した一方的なコミュニケーションから長期的な関係構築を前提とした顧客戦略へ、大転換を進めています。合弁会社にはアクセンチュアからも様々な領域の専門家が入り、パーソナライズした新しい美容体験の創造と並行して、デジタル・IT人材の育成を協働しながら行っています。最終的には、変革の内製化を目指しているのです」(黒川氏)。

 そして日本ハムは、たんぱく質から新しい価値を生み出すD2Cビジネスの立ち上げを行った。「生活者に直接訴求し価値を届ける新規D2C事業の立ち上げを、『Meatful』をはじめとする新ブランドの概念から商品開発、チャネル構築まで、コンサルタントやクリエイターなど多様な専門家が共同で支援しています」(黒川氏)。

 この3社の例を見ても、各社それぞれに課題が異なり、解決へのアプローチも違ってくる。顧客戦略の再構築は、経営課題の掘り起こしから入り、何をすべきかを決めていく必要があるため、アクセンチュア ソングの総合力が生かされることになるだろう。

黒川順一郎 氏

 最後に黒川氏は、日本企業に対して次のようにメッセージを送った。

「日本には長寿企業が多く存在します。しかし、決して順風満帆ではない。変わり続ける社会の中で自らのポジションや価値を再考し続けないと、ゆっくりと衰退する“ゆでガエル”になってしまいます。インターネットが登場したとき、その目に見えない大きな変化に対応が遅れました。今起きている顧客変化に対しても受け身では、同様の敗北を喫してしまいます。

 変化を断行できるのは、トップしかいません。現場は今期の売り上げやしがらみにがんじがらめです。経営者の皆さんこそ、企業の現在価値だけでなく将来価値を見据えて変化を主導していけます。日本企業は変化が難しい分、変えられたときに世界に羽ばたく大きな可能性がある。アクセンチュアも、このたびの“ソング”新体制にとどまらず、変化を起こす覚悟を持った企業をパートナーとして様々な面から全力で支えるべく進化を続けていきます」

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「歌」のような存在へ。
顧客戦略の再構築でビジネス変革を
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