日経ビジネス電子版 SPECIAL
TOKYO UNDERLINE VISION
今、まちに欲しいのは緩やかなつながり 今、まちに欲しいのは緩やかなつながり
敷地の「余白」を生かし、地域に根差したくらしづくり

ジェイアール東日本都市開発は、JR東日本グループのデベロッパーだ。
高架下を中心とする新たなまちづくりに取り組むだけではなく、そこで培った経験をくらしづくりにも展開。
地域に根差したくらしづくりが高架下から、さらに広がっている。その好例を新川崎と三鷹で見ることができる。
2つの事例に共通するのは、敷地の「余白」を生かし、まちに欲しい緩やかなつながりを提供していることだ。

Vol.05 敷地の「余白」を生かし、地域に根差したくらしづくり image
今、まちに欲しいのは緩やかなつながり

ジェイアール東日本都市開発は、JR東日本グループのデベロッパーだ。高架下を中心とする新たなまちづくりに取り組むだけではなく、そこで培った経験をくらしづくりにも展開。地域に根差したくらしづくりが高架下から、さらに広がっている。その好例を新川崎と三鷹で見ることができる。2つの事例に共通するのは、敷地の「余白」を生かし、まちに欲しい緩やかなつながりを提供していることだ。

 2019年度のグッドデザイン賞でベスト100に選ばれた「コトニアガーデン新川崎」は、JR東日本の社宅跡地を活用し、2018年に生まれた街区だ。広さは約1万1600㎡あり、広場を囲んで賃貸住宅と高齢者サービス施設、認可保育園、店舗を分棟配置している。

多世代がつながる仕掛け

 開発コンセプトは「ずっと住みたいまちをつくろう」。これまでに地域で育まれてきたコミュニティーや空気感に溶け込み、彩りを添えるまちを目指した。
 街区内には高齢者サービス施設と認可保育園が隣接して建つ。どちらも今の時代に「まちに欲しいもの」の筆頭だ。加えて、子どもとシニア世代の日常的な触れ合いは双方に良い効果をもたらす。
 コトニアガーデン新川崎の高齢者サービス施設も、高齢者が子どもたちや地域住民とのつながりの中で暮らせるように設計している。1階の地域交流室は保育園のテラスと向かい合う位置に設けてあり、子どもたちにとってはシニア世代に見守られる環境になる。
 街区内には他にも、カマドのあるキッチンガーデンやステージ、縁側のように腰掛けられるベンチといった交流を促す「仕掛け」があり、地域を巻き込んでのイベントも行われてきた。今は、ウィズ・コロナの新たなつながりの形を探っている。

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コトニアガーデン新川崎
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まちに開かれる仕掛け

 一方、「リエットガーデン三鷹」は、JRの社宅と独身寮を、前者はファミリー向け一般賃貸住宅に、後者はシェア型賃貸住宅にリノベーションして2019年に開業。約7200m2の敷地に社宅と独身寮が併存する特徴を生かし、敷地全体を地域に開かれた場所に生まれ変わらせようと、建て替えではなくリノベーションを選択した。
 敷地に余裕はあるが新たに建物をつくることはせず、貸し農園(シェア畑)と広場を2カ所ずつ設けた。メインエントランス脇にある農園は、この場所の顔となっている。敷地を囲っていた塀を撤去し、近隣住民が通り抜けられるようにもした。
 開業時には「まちびらき」イベントを行い、近隣住民を広く迎え入れた。開かれた雰囲気を感じるのだろう、既存樹を残した森の広場では近隣住民が弁当を広げていることもしばしばという。居住者、農園の利用者、近隣住民が緩やかにつながる、そんなコミュニティーが生まれる適度な距離感が、このリエットガーデン三鷹の「仕掛け」には保たれている。
 多世代の交流を促す仕掛けやまちに開かれた仕掛けによって、つながりのあるくらしが生まれている。

リエットガーデン三鷹

 2019年度のグッドデザイン賞でベスト100に選ばれた「コトニアガーデン新川崎」は、JR東日本の社宅跡地を活用し、2018年に生まれた街区だ。広さは約1万1600㎡あり、広場を囲んで賃貸住宅と高齢者サービス施設、認可保育園、店舗を分棟配置している。

多世代がつながる仕掛け

 開発コンセプトは「ずっと住みたいまちをつくろう」。これまでに地域で育まれてきたコミュニティーや空気感に溶け込み、彩りを添えるまちを目指した。
 街区内には高齢者サービス施設と認可保育園が隣接して建つ。どちらも今の時代に「まちに欲しいもの」の筆頭だ。加えて、子どもとシニア世代の日常的な触れ合いは双方に良い効果をもたらす。
 コトニアガーデン新川崎の高齢者サービス施設も、高齢者が子どもたちや地域住民とのつながりの中で暮らせるように設計している。1階の地域交流室は保育園のテラスと向かい合う位置に設けてあり、子どもたちにとってはシニア世代に見守られる環境になる。
 街区内には他にも、カマドのあるキッチンガーデンやステージ、縁側のように腰掛けられるベンチといった交流を促す「仕掛け」があり、地域を巻き込んでのイベントも行われてきた。今は、ウィズ・コロナの新たなつながりの形を探っている。

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コトニアガーデン新川崎
まちに開かれる仕掛け

 一方、「リエットガーデン三鷹」は、JRの社宅と独身寮を、前者はファミリー向け一般賃貸住宅に、後者はシェア型賃貸住宅にリノベーションして2019年に開業。約7200m2の敷地に社宅と独身寮が併存する特徴を生かし、敷地全体を地域に開かれた場所に生まれ変わらせようと、建て替えではなくリノベーションを選択した。
 敷地に余裕はあるが新たに建物をつくることはせず、貸し農園(シェア畑)と広場を2カ所ずつ設けた。メインエントランス脇にある農園は、この場所の顔となっている。敷地を囲っていた塀を撤去し、近隣住民が通り抜けられるようにもした。
 開業時には「まちびらき」イベントを行い、近隣住民を広く迎え入れた。開かれた雰囲気を感じるのだろう、既存樹を残した森の広場では近隣住民が弁当を広げていることもしばしばという。居住者、農園の利用者、近隣住民が緩やかにつながる、そんなコミュニティーが生まれる適度な距離感が、このリエットガーデン三鷹の「仕掛け」には保たれている。
 多世代の交流を促す仕掛けやまちに開かれた仕掛けによって、つながりのあるくらしが生まれている。

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リエットガーデン三鷹
コトニアガーデン新川崎、リエットガーデン三鷹 「余白」のデザインの価値
コトニアガーデン新川崎、リエットガーデン三鷹 「余白」のデザインの価値
東京アンダーライン 建築探訪編集者、画文家、Office Bunga主宰、前「日経アーキテクチュア」編集長、宮沢 洋

かつての「ニュータウン開発」の反省から、入居者が同じ世代や属性に集中しない開発が模索されている。1つの層に集中したまちは、周囲から閉じてしまい、人の入れ替わりや世代交代がスムーズに進まないからだ。「コトニアガーデン新川崎」は、注目される「多世代共生型開発」の先駆例だ。高齢者は子どもや買い物客と何も変わらず自然に過ごしている。そう感じさせるのは、広場やテラス、ベンチなど「余白」の丁寧なデザインだ。一方、シェア賃貸とファミリー向け賃貸から成る「リエットガーデン三鷹」は、菜園を設けてまちに開く。どちらも、やり過ぎない余白が、本当の意味での未来を感じさせた。

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https://www.jrtk.jp/cotoniorgarden/shinkawasaki/
https://www.jrtk.jp/lieto-garden/