


日本経済浮沈の鍵を握る「大企業の変革」。新規事業の立ち上げやイノベーション促進など新たな挑戦が続き、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)ではオープンイノベーションプラットフォーム「TMIP*」がそれらを強力に後押ししている。今年2回目を迎える「TMIP Innovation Award」(大企業発新規事業創出 表彰制度)連動企画として、大企業変革の現在地と、成功に導くためのヒントを探る。
*TMIP(Tokyo Marunouchi Innovation Platform)
丸の内エリアに集積している大企業を中心としたプレーヤーの力と都市の力を、パブリックな立場から組み合わせ、インパクトのある事業創出を目指すオープンイノベーションプラットフォーム

各種ITインフラの構築で実績のあるNTTデータが、
ウェルビーイング実現などに向けた取り組みを始めている。
1社や1業界ではできないことも、既存の枠による分断を超え、
組織やビジネスがつながることで達成できる。
NTTデータでは、トップダウンによる新規事業開発と各事業部門によるイノベーションとが同時並行で進んでいる。前者を担うのが2020年設立のソーシャルデザイン推進室だ。設立のきっかけは新型コロナウイルスの感染拡大だった。
「コロナ禍に浮彫りとなったのが、データの分断という課題でした。金融取引の電子化を実現する『ANSER』やキャッシュレス決済プラットフォーム『CAFIS』などで国内ITインフラをリードしてきた当社の知見を活かすことで、課題解決に貢献できることがあるのではないかと考えたのです」とNTTデータ執行役員で同室室長の濱口雅史氏は振り返る。
そこで同室では、「モビリティー」「高齢者ウェルビーイング」「女性ウェルビーイング」「サプライチェーン変革」「住まい」「地域創生」の6つの分野に着目し、企業や業界の枠を超えた社会システム全体の設計と実装に向けた取り組みを進めている。
例えば高齢者のウェルビーイングについては、社会保障費の圧迫や介護人材の不足を背景に、働きながら介護を行ういわゆるビジネスケアラーが社会課題になっている。経済産業省は、2030年には家族介護者の4割がビジネスケアラーとなり、介護離職や介護との両立困難による労働生産性の損失は9.1兆円にも上るという調査結果を公表済みだ。
「社内でもビジネスケアラーについての調査を行ったところ、回答者の約3割がビジネスケアラーかその予備軍であることが分かりました。介護現場のケアマネジャー(介護支援専門員)や有識者へのヒアリング(上写真)も交えて実態を把握することで、ビジネスケアラーが親のウェルビーイングをかなえながら“ケアラーになる前の働き方”を維持できるエコシステムのあり方を構想しています」
具体的には宅配や配食、健康管理、見守り、診察付き添い、移送、外出支援など、介護保険外のサービスをチーム化し、一体となって親の日常生活を支えることで、ビジネスケアラーやその予備軍が安心して仕事に集中できる環境を整える。
「サービスの多くは既存のものです。それら一つひとつを我々の強みである、組織を横断的に連携してチームにする力でエコシステム化することを目指しています」
注力する6つの分野は、同社の既存事業とも無関係ではない。そうした各事業をつなぐ役割も同室は担っている。
「ソーシャルデザイン推進室が目指すものは、既存の事業部門がビジネスを拡大していった先で必ずつながります。複数の事業部門にまたがり、最初から連携するのは難しい領域もあります。推進室が一時的にでも先導役を務めながら、進めていくことが必要と考えています」
濱口氏は、元気な若手を集めて新しいことにチャレンジさせる、イノベーションの先導者だ。NTTデータは社会インフラIT企業であり、まさに総合力が強み。濱口氏が率いるソーシャルデザイン室が旗振り役になっての同社の横串展開には、大いに期待したい。

TMIP(Tokyo Marunouchi Innovation Platform)は、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)に集積している大企業を中心としたプレーヤーの力と、都市の力を、パブリックな立場から組み合わせ、インパクトのある事業創出を目指すオープンイノベーションプラットフォーム。丸の内エリアの持つ都市のアセットを最大限活用できる環境を用意することで、“本気の大企業”のイノベーション創出を支援しています。


大企業を対象に「社内外の壁を越えて新たな価値・事業創出に取り組んでいる優れた事例」を表彰する制度「TMIP Innovation Award」。本アワードでは、大企業がオープンに新規事業に挑戦する社会を目指し、次なる本業足りうる市場性や革新性、社会インパクトのみならず事業創出マネジメントの仕組みや工夫も紹介していくことで、大企業においてチャレンジしている方へのヒントを提示します。ぜひエントリーして、自社のイノベーション促進にご活用ください。
大企業において、過去5年間(2019~2023)に立ち上がった自社の事業
または新規事業として設立した新会社の事業
社内外の壁を越えて新たな価値·事業創出に取り組んでいる優れた事例

特別審査員
入山 章栄
早稲田大学大学院経営管理研究科、早稲田大学ビジネススクール教授

審査員
藤本 あゆみ
一般社団法人スタートアップエコシステム協会 代表理事、文部科学省 アントレプレナーシップ推進大使、内閣府 規制改革推進会議 スタートアップ・投資ワーキンググループ専門委員

審査員
守屋 実
新規事業家

審査員
松井 健
日経BP 日経ビジネス発行人
お問い合わせ先 :TMIP Innovation Award事務局 award@tmip.jp