総論
マンション関連法の改正で円滑な管理・再生へ
国交省に聞く、改正のポイント
管理組合がすぐやるべきこと
区分所有法をはじめとするマンション関連法が、2025年5月に改正された。管理・再生の円滑化に向け、課題とされてきた点にメスを入れ、大幅な変更を加えた。施行は、2026年4月。管理・再生に関する何がどう変わるのか、管理組合としてすぐに対応すべきことはあるのか。国土交通省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)の杉田雅嗣氏に聞いた。
分譲マンションは、適正な管理を怠れば、資産価値が低下する。耐久性や居住性が損なわれ、再生できなければ、老朽建物が残るだけ。地域社会にコンクリートの巨大な空き家を生み出すことにもなりかねない。
マンションの円滑な管理・再生は、いまや社会の要請。国はその実現に向け、区分所有法、マンション管理適正化法、マンション建替円滑化法など、マンション関連法を改正。意思決定に必要な決議の取り方を見直すとともに、管理・再生のあり方に多様な選択肢を位置付けた(概要参照)。
決議の取り方とは、母数の捉え方だ。区分所有法では、一定の議案について、区分所有者や議決権の一定数以上の賛成を求める。改正法ではその母数を、集会への出席者に限る(図1)。管理に対する区分所有者の意識が低い場合でも、適正な管理を進めやすくなる。
図1 集会の決議の円滑化の例/出席者の多数決による普通決議(過半数)
管理のあり方には、管理業者管理者方式が明確に位置付けられた。これは、区分所有法に定める「管理者」に管理業務を受託する管理会社が就く方式。日常の管理組合運営を、区分所有者で組織する理事会ではなく、管理会社が担うことになる。
国土交通省が2024年6月に公表した外部管理者方式に関するガイドラインに初めて位置付けた他、改正法では利益相反の懸念を払拭する狙いから、自社との取引になる自己取引の前には取引の相手や内容を区分所有者に説明する義務を課す。
大量供給の高経年化を前に
老朽マンションの出口整備
「管理組合がきちんと理解した上で意思決定できるように規定を新たに加えました」。国土交通省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)の杉田雅嗣氏は解説する。国交省ではさらに、管理業者管理者方式を採用する場合、管理者事務委託契約書や管理規約をどう定めるか、ひな形を標準管理者事務委託契約書や標準管理規約の書き換え表として示す。
再生のあり方では、従来の建替えに加え、更新(一棟リノベ)、建物敷地売却、建物取壊し敷地売却、建物取壊しという手法が新たに位置付けられた。従来から区分所有者や議決権の全ての同意を得られれば不可能ではなかったが、それが原則、5分の4以上の同意で可能になる。
図2 新たな再生手法の創設・再整理
また新たに位置付けられた4手法については、マンション建替円滑化法をマンション再生円滑化法と名称を改め、そこで事業手続きを明確に定めた。従来の建物敷地売却を利用できるマンションは、建築行政が安全性の観点で除却の必要性を認めたものに限られていたが、その枠がなくなる。
つまり、建替え以外に、躯体を補強し全専有部分を改良する「更新(一棟リノベ)」や様々な形での「売却」という手法を定め、老朽マンションの出口を整えた格好だ。杉田氏は「供給時期を見ると、10~20年後に、大量のマンションが高経年化します。その時、老朽化に対応できる手法を整えておく必要があります」と強調する。
国交省では2025年10月、改正法の内容に合わせる形で「マンション標準管理規約」を改正した。「改正法の内容は管理規約に確実に落とし込んでいただきたい。実務上の混乱を避ける必要があります」。杉田氏はまず、管理組合に規約の見直しを勧める。

