ServiceNow World Forum Tokyo 2025 Special Review vol.1 人とAIが協働するプラットフォームで顧客体験と従業員の働き方を革新
業務プロセスや顧客体験を最適化する
ServiceNowのAIプラットフォーム
ServiceNowが日本企業に貢献できる3つの主な領域について鈴木社長が説明し、「これらを包括して業務プロセスや顧客体験を最適化できるのがServiceNowのAIプラットフォームです」と明言した。
AIプラットフォームは世界中の数多くの企業が提供しているが、ServiceNowの強みとは何か?その問いに対して、鈴木社長は「最大の違いは、業務やプロセス、システム、データをつなぐ『デジタルワークフロー』が整っていること。この基盤の上にAIを適用することによって、AIが導き出したインサイトを即座に全社に行き渡らせ、一気通貫の業務やサービス提供が実現できるようになります」と答えた。
また、AIがどのようにして業務を自動化するのか。ServiceNow シニアソリューションコンサルタントの柳澤郁果氏が、グローバル製薬企業、アストラゼネカが導入したソリューションを例にデモンストレーションを行った。
アストラゼネカは、ServiceNowのAIプラットフォームを活用し、あらゆる業務にAIエージェントによる自動化を進めている。研究室での故障機器の自動発注、営業担当者向けの資料・動画の即時作成、患者ポータルでの支援プログラム特定など、業務を大幅に効率化。その結果、年間9万時間以上もの業務時間を従業員に還元している。
シニアソリューションコンサルタント
柳澤 郁果 氏
初日の基調講演では、実際にServiceNowや、そのAIを活用している業界を代表する企業のエグゼクティブ3名が登壇し、自社の成功事例についてプレゼンテーションを行った。
最初に登壇したのは、アフラック生命保険の取締役専務執行役員 CTO(チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー)・CDIO(チーフ・デジタル・インフォメーション・オフィサー)の二見 通氏だ。
1974年に創業したアフラックは、「『生きる』を創る。」をブランドプロミスとし、全社を挙げてDXに取り組んでいる。ServiceNowは2017年に導入し、現在ではAIの活用も積極的に行っている。
二見氏はこれまでの成果について、「ServiceNowを全社共通の基盤として徹底活用したことで、社内申請ワークフローの開発・運用工数は70%削減され、手続き完了までの時間も45%短縮しました。社員は日常の手作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中できるようになっています」と語る。
さらに、同社が注力しているのが、ServiceNowのAIエージェントの活用だ。特に複雑な「調達購買プロセス」においては、AIが威力を発揮している。
「調達購買は多くの部門が関わり、ルール変更のたびに規定を確認する必要がある煩雑な業務でした。ServiceNowのAIエージェントは、社内規定やマニュアルを自動的に検索・判断し、後続のワークフローへ自動で連携します。これにより、自動化を実現することができるのです」と二見氏は自信を見せる。
続いて登壇したのは、日本電気(NEC)執行役 Corporate EVP 兼 CIOの小玉 浩氏である。NECは自社をゼロ番目の顧客と位置づけ最新のテクノロジーを社内で実践、そこで得た知見を顧客や社会に還元する「クライアントゼロ」戦略を推進している。この戦略の下で自らServiceNowを徹底的に使い、その「生きた」知見を顧客へ提供している。かつて同社では膨大な数のシステムがサイロ化して乱立していたが、業務のデジタル化とデータの可視化を行い、ServiceNowを統合基盤として約1200システムの一元管理化に成功した。
小玉氏は、AIを駆使した「AX(AIトランスフォーメーション)」を掲げ、具体的な成果を紹介した。「人事部門への問い合わせ対応において、AIが過去のメールや問い合わせ履歴から即座にナレッジを生成する仕組みを構築しました。これによりナレッジ整備にかかる工数は92%削減され、社員によるセルフ解決率も50%向上しています」と語る。
さらに特筆すべきは、システム開発領域での生成AI活用だ。レガシーワークフローシステムの刷新には多大な工数を要するが、NECでは生成AIを用いてServiceNowへの移行を加速させている。
「通常なら1年以上かかるレガシーワークフローの再構築において、生成AIを活用した結果、開発工数を65%削減し、期間も半減させることに成功しました。また、ServiceNowのバージョンアップ時に発生する影響調査やテストシナリオ作成にもAIエージェントを組み込み、運用コストの大幅な圧縮を見込んでいます」と小玉氏は述べた。
最後に登壇したのは、JTB 常務執行役員 CIO/CISOの黒田恭司氏だ。創立113周年を迎える同社は、グループ再編後の課題であったプロセスの標準化と意思決定の迅速化に着手した。統合前の企業文化が色濃く残り、承認プロセスが多段階に及んでいた状況を、ServiceNowによって打破したのである。
黒田氏は、「ワークフローの統合や承認フローの簡素化を断行した結果、決済にかかる時間は平均3.5日から2日未満へと短縮され、ワークフロー自体の数も約80%削減されました。これにより、意思決定のスピードと組織の生産性が劇的に向上しました」とその効果を強調する。
また、JTBグループにおける生成AI活用の先進事例として、JTBビジネストラベルソリューションズ(JTB-CWT)の取り組みが紹介された。同社はServiceNowの生成AIソリューションを採用し、わずか1.5カ月という短期間で新たなカスタマーサポートサイト「ビズバンスJTB出張予約・経費精算」をリリースした。
「お客様からの問い合わせには、まずAIエージェントが対応し、必要に応じて人の専門家がサポートするというハイブリッドモデルへと進化しました。これにより、リードタイムを50%程度改善しました。業務効率化とともに顧客体験が大幅に向上しました」と黒田氏は評価する。
取締役専務執行役員
CTO(チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー)・
CDIO(チーフ・デジタル・インフォメーション・オフィサー)
二見 通 氏
執行役 Corporate EVP 兼 CIO
小玉 浩 氏
常務執行役員 CIO/CISO
黒田 恭司 氏
基調講演の最後には再び鈴木社長が登壇。「ServiceNowのAIプラットフォームは、効率化を超えた業務の高度化、創造性の解放を実現し、AIエージェントを働く人々のパートナーとすることで、AIによって人の力を解放することを目指しています。ServiceNowは、IT部門の変革、従業員の生産性向上、次世代CRM、そしてAIプラットフォームの可能性を通じて、企業の未来に貢献します」という力強いメッセージで締めくくった。
会場を埋めた参加者は、ServiceNowと、AIによる業務やカスタマーエクスペリエンスの改善効果に、強い感銘を受けたようだ。
650億を超えるワークフローが実装
年間4兆件を超えるトランザクションを処理
「ServiceNow World Forum Tokyo 2025」の2日目は、AI活用についてより現場目線で、かつテクノロジーにフォーカスした内容を中心に構成された。技術者中心の2日目らしく、基調講演にはServiceNow Japan 常務執行役員COOの原 智宏氏が「AI Readyなプラットフォームで実現する次世代アーキテクチャ」と題して登壇し、技術的な深みを帯びた内容から始まった。
原氏は、「ServiceNowが最も大切にしているのは、製品やテクノロジーを通じて、お客様を含めたビジネスに関わるすべての人々が幸せになることです。その実現に向け、2023年から生成AI機能であるNow Assistを投入し、あらゆるワークフローでの業務効率化や自動化にAIを利用できるようにしました」と説明。
すでにグローバルで650億を超えるワークフローが実装され、年間4兆件を超えるトランザクションが処理されるなど、ServiceNowが日常業務のプラットフォームとして広く活用されていることを紹介した。
常務執行役員 COO
原 智宏 氏
実際にServiceNowを活用している企業の1つが森永乳業である。原氏の紹介で登壇した同社 IT改革推進部 戦略企画グループ アシスタントマネージャーの織田 翔氏は、DXの推進によって急増したシステムやSaaSアプリなどを効率よく管理するため、ServiceNowを導入した経緯や活用状況などについて説明した。
織田氏は、「ITリソースの急増によって管理負担が増大しただけでなく、コミュニケーションツールの普及によって情報がサイロ化し、必要な情報へのタイムリーなアクセスが困難になっていました。ServiceNowのプラットフォーム上でナレッジを体系的に蓄積・保存し、管理基準を統一することでサイロ化の解消を目指しています」と語った。
今後はServiceNowが集約した情報を、活用しやすいようにAIで加工することも検討しているという。
IT改革推進部 戦略企画グループ
アシスタントマネージャー
織田 翔 氏
人は人にしかできない業務に集中し
仕事をよりクリエイティブにする
森永乳業の事例紹介に続いて、米国ServiceNowのCTOであるパット・ケイシー氏が登壇した。ケイシー氏は、現在のAI活用の段階について、「AIが人を助ける『第1世代』から、タスク全体をAIに任せ、すべてが自動化される『第2世代』へと移行しています。価値を生み出さないプロセスや、高度な専門知識を必要としないプロセス、頻繁に反復されるプロセスなどは、どんどんAIエージェントに置き換えられていくでしょう。それによって、時間の節約、労働力の最適化、AIエージェントが24時間365日働き続けることによるアウトプット(成果)の向上などが期待できます」と語った。
実際、AIは日常業務をどのように自動化するのか。デモンストレーションを交えながらそれを解説したのが、次に登壇した米国ServiceNowのEVP AI& Platformのジョー・デイビス氏である。
デイビス氏は、AI ボイスエージェントが、顧客からの問い合わせを受け付け、ディープリサーチによって自ら解決方法を見つけ出し、担当部署に対応を要請するまでの流れを紹介。人を介することなく、AIがすべてを処理することで、対応のスピードや品質が著しく改善されることを説明した。
Chief Technology Officer
and EVP Dev Ops
パット・ケイシー 氏
EVP AI& Platform
ジョー・デイビス 氏
続いて、もう1つの導入事例の講演者として富士通 Corporate Digital本部 Enabling Technologies 統括部 シニアマネージャーの柳 友紀氏が登壇。同社の全社DXプロジェクト「Fujitora(フジトラ)」におけるAI活用とサービスデスク改革について解説した。
富士通は「フジトラ」の一環として、以前はリージョンごとに行われていたITシステムの運用を、ServiceNowのデジタルワークフローで標準化、自動化することを目指している。柳氏は「約380あったサービスデスクシステムをServiceNowのITSMに集約し、サービスポータルとナレッジ情報を統合しました。さらに生成AI機能であるNow Assistを導入した結果、インシデント解決までに要する時間が約50%短縮、ナレッジ活用率は60%に達しました」と効果を語った。
Corporate Digital本部
Enabling Technologies統括部
シニアマネージャー
柳 友紀 氏
富士通の登壇後には、ServiceNow Japan アドバイザリーソリューションコンサルタントの作田広樹氏と竹本桃子氏がデモンストレーションを実施。「出張申請」を例にAIエージェントとワークフローが連携し、複数のデータソースを横断して業務を自動化する様子を披露した。
アドバイザリーソリューション
コンサルタント
作田 広樹 氏
ソリューションコンサルタント
竹本 桃子 氏
続いて登壇したのはServiceNow Japan イノベーションオフィサーの佐宗 龍氏だ。AIが業務の中心となる「AI Experience」のビジョンを示し、「AIが業務の入り口となり、システム間の往復をなくすことでシームレスな共同作業を実現します」と宣言した。
そのための新機能として、AI Web Agent、AI Data Explorer、Voice Agentを紹介。「AIを中心とした体験」「マルチモーダル化」「パーソナライズされ信頼できるAI」の3原則に基づき、AIを「バディ」として活用できるようにしていくと語った。
締めくくりには原氏が登壇し、「AIエクスペリエンスを通じ、『人は人にしかできない業務に集中し、仕事をよりクリエイティブにする』環境を提供し続けます」と語り、会場を埋め尽くした参加者からの拍手で基調講演は幕を閉じた。
Innovation Officer
佐宗 龍 氏


