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電気ファースト創世譚 もったいない電気 まだまだ減らせる“驚異の秘策”あり

まだまだ減らせる“驚異の秘策”あり

電気ファーストでいいじゃないか。繋がる当たり前を捨て、
自社 - 社会 - 地球の持続可能性にとことん向き合ってみよう。
異常気象など想定外のことが多発するいま、防御こそ
攻めの一手ともいえよう。技術革新が日々生じる
電気・通信分野の最新事情をもとに、その対処法を紐解いてみる──

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電気・通信は“インフラの中のインフラ”だ
電力逼迫、災害増加、地政学リスク
危機を前に企業が備えるべきは?

エネルギー危機、気候変動対策、AI社会の進展に伴う電力需要の急増など、電気や通信を取り巻く課題は多く、解決は一筋縄ではいかない。電気・通信インフラの現状と課題を理解した上で、自社の設備について考える必要がある。国際環境経済研究所で理事を務めるエネルギー・温暖化政策の専門家、竹内純子氏に話を聞いた。

竹内 純子氏

国際環境経済研究所 理事
U3イノベーションズLLC 共同代表
東北大学特任教授(客員)
竹内 純子氏

東京大学大学院にて博士(工学)を取得。慶応義塾大学卒業後、東京電力入社。2012年より独立研究者として、地球温暖化対策とエネルギー政策の研究・提言に携わる。国連気候変動枠組み条約交渉にも長年参加。日本成長戦略会議ほか政府委員も多数務める。2018年にはU3イノベーションズLLCを創業、新事業の創造による環境・エネルギー問題解決を目指す。

竹内 純子氏

国際環境経済研究所 理事
U3イノベーションズLLC 共同代表
東北大学特任教授(客員)
竹内 純子氏

東京大学大学院にて博士(工学)を取得。慶応義塾大学卒業後、東京電力入社。2012年より独立研究者として、地球温暖化対策とエネルギー政策の研究・提言に携わる。国連気候変動枠組み条約交渉にも長年参加。日本成長戦略会議ほか政府委員も多数務める。2018年にはU3イノベーションズLLCを創業、新事業の創造による環境・エネルギー問題解決を目指す。

電気・ガス・水道・通信・交通は5大インフラといわれ、我々の生活や経済活動に不可欠だ。なかでも電気は最重要と、竹内氏は次のように語る。「私が東京電力の支社でキャリアを始めた当時、停電が起きたその瞬間、一斉に電話が鳴り始めたのを覚えています。電気がないとポンプが動かず、水も使えませんし、ガスや通信、交通も止まります。電気は他のインフラを支える“インフラの中のインフラ”といえます」

気候変動対策が待ったなしの状況となり、電力インフラも転換期を迎える。再生可能エネルギーは火力や原子力発電より莫大な土地を必要とする。ならば土地の安い地方で発電し、送電線を整備して都市部に送ればよいか。話はそう簡単ではないと、竹内氏は指摘する。

「発電所は地域に雇用と税収を生み続けますが、送電線は見返りが乏しく、土地の所有者から理解を得るのは発電所をつくるよりも難しい。加えて太陽光発電は、日中しか発電しません。太陽光の活用のために送電線をつくるのは、昼間しか車の通らない高速道路をつくるようなもので、そのために大変な労力とコストをかけるのか、という議論になります」

電気と通信を掛け合わせ
相乗価値を生み出す

ではどうするか。AI特需・データセンター急増により、電力逼迫が懸念されている。データセンターの立地は現在、大都市近郊が圧倒的に多い。ここで使う電気は、地方から送電するしか方法はないのか。

解決策として注目を集めるのが「ワット・ビット連携」だ。基本的な考え方は、データセンターを再エネ発電設備のある地方に整備し、電気をより価値の高いデータへと変換した後、都市部に送るというもの(図1)。通信線の断面積は、送電線の100分の1。容易にネットワーク化でき、再エネの送電に多大な労力とコストをかける必要がなくなる。遅延が許されない一部のデータ処理は需要地の近くで行う必要があるが、それ以外の処理は発電所の近くで行うことが重要な選択肢となる。

図1 東京圏・大阪圏に集中するデータセンター

図1 東京圏・大阪圏に集中するデータセンター大規模災害の増加に対する国土強靭化、地域脱炭素電源の効率的活用の観点から、さらなる地方分散は不可欠
(出所:総務省・経済産業省「ワット・ビット連携官民懇談会 事務局説明資料」を基に作成)

「様々な機器や設備が遠隔で監視・制御されるようになり、通信の重要性も一層高まっています。通信もまた電気と同じく“インフラの中のインフラ”となりつつあります。電気と通信、どちらが欠けても社会が機能しません。両インフラを一体として再構築し、相乗価値を生み出すことが重要だと考えています」(竹内氏)

再エネ活用は従来、気候変動対策として語られてきた。しかしこれまでの取り組みは時間軸を見誤ってきたと、竹内氏は次のように語る。

「2050年カーボンニュートラル達成を前提とすると、あまりに時間が短い。産業革命では、木材や家畜の糞といったエネルギー密度の薄い燃料から、石炭という高密度のエネルギーに転換する社会変革でしたが、70~80年かかっています。今回は逆に高密度の化石燃料エネルギーから低密度の再エネに転換するとなると、もっと時間がかかる可能性がある。その間には多様な危機が起きるはずです。これを前提に手頃なエネルギーを安定的に確保することが最重要課題になってきます」

決め手はエネルギー確保と
最新技術による省エネ

そこにホルムズ海峡封鎖というエネルギー危機が起きた。従来のエネルギーのみでは、コスト面でもリスクがあることが明確になった。とはいえ、太陽光や風力に頼る再エネは、人間がコントロールできない。加えて、日本は島国だ。大陸国と異なり電力を簡単に他国から引っ張ってくることはできない。ならば電力源としての再エネと、化石燃料のバランスをどう考えるか(図2)。

図2 再エネと化石燃料の需給バランス

図2 再エネと化石燃料の需給バランス電気を安定して使うには、発電量(供給)と消費量(需要)を常時同じにする必要がある。再エネは季節や天候によって発電量が変動するため、電気の安定供給には火力発電や、蓄電池と組み合わせて使用する必要がある
(出所:経済産業省 資源エネルギー庁「2025―日本が抱えているエネルギー問題(後編)」を基に作成)

「発電所の維持は、費用はかかりますが、国内の制度設計次第で対応は可能です。問題は燃料です。燃料は使い続けなければサプライチェーンを維持できません。再エネを主力電源、火力発電をその調整役として稼働させる利用の仕方だと、サプライチェーンが細ってしまいます」(竹内氏)

電気・通信、エネルギーの現状と課題を概観してきた。企業はどのように新規事業や設備機器などへの投資判断を行うべきか。竹内氏は「まずはリスク評価を行い、何にどう備えるかを定めるべきですが、リスクだけではなくチャンスにも目を向けてほしい」と指摘する。

その上で、「インフラは、従来の大規模集中型から、大規模集中型と小規模分散型の併存の時期を迎えています」と続ける。電気・通信共に、分散型インフラ技術は進歩している。新しい技術を使いながら各企業が自社に最適なネットワークを選択する必要がある。例えば工場内などに再エネ発電装置を導入するといった選択肢も、今回のようなエネルギー危機への対処としては考えられる(図3)。

図3 民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業

図3 民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業環境省は総務省・農林水産省・経済産業省と一部連携し、分散型電力システム導入支援を進める。企業はこうした取り組みを活用して省エネ、災害対策、リスク分散を図る必要がある
(出所:総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー主力電源化小委員会(第2回)「環境省説明資料」を基に作成)

供給への備えと同時に、設備機器の入れ替えなどによる省エネへの目配りも必要だ。技術は年々改良され効率性が高まっていく。エネルギー価格の高騰がさらに進めば、投資回収速度が速くなるため、むしろ古い機器を使い続けること自体がリスクになる可能性もある。

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Contents

総論

電気・通信は“インフラの中のインフラ”だ電力逼迫、災害増加、地政学リスク
危機を前に企業が備えるべきは?

日立産機システム

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