
内閣官房
国土強靱化推進室
参事官
塩井 直彦 氏
日本は国土面積が世界の0.25%に過ぎない一方、マグニチュード6以上の地震発生回数は全体の18.5%を占める。南海トラフ巨大地震では、人的被害約30万人、経済被害約270兆円との推計もある。塩井氏は、防災・国土強靱化を「『危機管理投資』と『成長投資』の両面から捉える必要がある」と述べる。
こうした災害リスクに対し、重要になるのが「事前防災」だ。平成30年7月豪雨や令和元年東日本台風で事前対策を講じていれば、そのコストは被災後に要した復旧費用・被害額の5分の1程度で済んだとされる。塩井氏は「災害発生時のショックをできる限り小さくし、復旧・復興を早めることが国土強靱化の取り組みだ」と説明する。
政府は令和3年度から5カ年加速化対策として約15兆円を充ててきたが、令和8年度から12年度までの5年間ではおおむね20兆円強を投入する計画だ。水害対策、ライフラインの耐震化、交通ネットワークの確保、老朽化インフラ対策などを推進する。
一方、防災・国土強靱化は成長投資の領域でもある。インフラ点検へのドローンや人工衛星、AIの導入、建設機械の遠隔施工、気象予測など、デジタル技術が貢献できる余地は大きい。世界の自然災害管理システム市場は2024年の9.6兆円から2030年には19.4兆円に拡大するとの推計もある。
「日本は災害大国である一方、防災先進国でもある。培ってきた技術を世界市場につなげ、防災産業を育成していきたい」と塩井氏は述べる。政府は民間技術の公募から評価、カタログ化、国や自治体での活用、海外展開までを一気通貫で支援する考えだ。




