
総務省
情報流通行政局情報通信政策課
課長
中村 裕治 氏
情報通信分野を巡り、中村氏が示した危機感は、デジタル赤字の拡大と日本企業の国際シェア低下だ。2024年のデジタル赤字は約6.7兆円に達し、クラウドサービスやデジタル配信プラットフォームなどで海外依存が強まっている。
情報通信は成長産業であると同時に、AI社会や他の成長分野を支える基盤でもある。こうした認識の下、重点技術として総務省が掲げるのが、「陸海空」におけるインフラの強化だ。陸はオール光ネットワーク、海は海底ケーブル、空は次世代ワイヤレスを指す。
オール光ネットワークは、大容量、低遅延、低消費電力を特徴とする次世代通信基盤である。AI社会では通信量と電力需要が爆発的に増えるため、中村氏は「多くの産業を支える基幹的なインフラになる」と指摘。その上で、2030年までに光伝送装置市場で世界シェア10%の確保を目指すとした。
海底ケーブルは、国際通信の99%を担う基幹インフラだ。日本はマルチコア光ファイバー技術で強みを持ち、グローバルシェア35%程度を目標に掲げる。北米とアジアを結ぶハブ機能の維持・拡大に加え、多ルート化や陸揚局の分散も重要な施策となる。
次世代ワイヤレスは衛星通信や5G/Beyond 5G(6G)などにより、自動運転車やロボット、ドローンといったあらゆるものがつながる通信基盤を指す。経済安全保障の観点から自律性確保が求められており、2035年までに国内市場規模を10兆円拡大する方針だ。
2040年までの官民投資額は、オール光ネットワークで5.9兆円、海底ケーブルで2.4兆円、次世代ワイヤレスで20.5兆円を想定する。中村氏は「世界で戦える、勝ち筋として説得力のある技術に投資していきたい」と述べ、独自の強みを持つ企業との連携を積極的に進めていく考えを示した。




