基調講演 : 経済産業省

日本成長戦略について

経済産業省

経済産業政策局長
兼 内閣官房
日本成長戦略本部事務局長代行

畠山 陽二郎

 畠山氏は、「日本経済に圧倒的に足りないのは国内投資だ」と指摘。「投資と賃上げを進め、成長型経済への転換を図ることが日本成長戦略の基本的な考え方だ」と述べ、国内投資の拡大こそが日本経済再生の鍵になるとの認識を示した。

 その中核となるのが、AI・半導体、GX、創薬・先端医療、コンテンツ、防衛、航空・宇宙など17の戦略分野である。各分野で日本企業が勝ち筋を見いだせる主要な製品・技術を選び、官民投資ロードマップとして具体化。62の主要製品・技術の2040年度までの官民投資額は累計370兆円超に上る見通しであり、地域未来戦略と一体で進めることで、成長投資の果実を地方にも広げていく。

 投資を促すため、予算の仕組みも変える。政府が目指すのは、将来への投資不足を断ち切り、技術の社会実装や新市場の獲得を後押しすることで、潜在成長率を高めることだ。そのため「強く豊かな日本」投資枠を創設し、成長投資に重点的に予算を配分する方針を打ち出した。要求上限、いわゆるシーリングを設けず、複数年度での予算措置を可能にすることで、企業の予見可能性を高め、中長期の投資判断を容易にする。さらに恒常的な施策は原則として当初予算で措置し、補正予算への依存からの脱却も図る。

 「これまでは予算の制約もあり、新しい取り組みや各分野で実行すべき事業が十分にできてこなかったという指摘もある。今回は、日本が勝ち筋を獲得するために本来やるべき政策を、予算の制約なく検討の俎上に載せることが大きな特徴だ」(畠山氏)

 もっとも畠山氏は、「何でも野放図に使えばいいというものではない」とも述べる。財政の持続可能性を確保しながら、真に効果のある政策に予算をつける考えだ。設備投資については即時償却や税額控除を含む投資促進税制、研究開発では最大50%の税額控除などを用意し、企業の投資判断を後押しする。

 企業行動の転換も大きなテーマとなった。日本企業の業績や株価は改善している一方で、設備や研究開発、人的といった成長投資は伸びていない。畠山氏は、成長ステージに応じた株主還元と成長投資のバランスを考える必要があると指摘。資本効率を意識しながら同時に投資額を増やすべく、事業ポートフォリオの見直しなども求められるとした。

 成長投資を実行に移すうえで、もう一つの重要な基盤となるのが人材である。2040年に向けて、現場人材やAI・ロボットなどの専門人材が不足する一方、事務職などでは余剰が生じる可能性がある。理系の不足も深刻であり、大学の学部再編やリスキリング支援を通じた育成も重要なテーマだ。

 畠山氏は、「投資と賃上げを両立させることが日本成長戦略の核心だが、投資をする、賃上げをする主役は民間事業者だ。政府は予算、税制、制度改革で支援を惜しまない。ぜひ政府の政策を使って、投資、賃上げを進めていただきたい」と呼びかけた。

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