川口宏之公認会計士事務所
公認会計士
川口 宏之
氏
特別講演では、公認会計士の川口宏之氏が登壇し、新しいリース会計基準における「隠れリース」の判定と対応の重要性について、「ご用心!『隠れリース』に潜む罠と、対応策とは」と題したプレゼンテーションを行った。
川口氏は、リースの定義を「特定された資産を使用する権利を一定の期間にわたり、対価と交換に移転する契約または契約の一部」と確認した上で、「新リース会計基準では、これまでリースとされなかった取引がリースに該当する可能性があるため、隠れリースを洗い出す必要があります」と指摘。
新リース会計基準では、契約書に「リース」「賃貸借」と明記されていなくても、契約実態として借り手が資産を支配していればリースに該当し、これまでオフバランス処理だった契約がオンバランス化される可能性がある。この可能性を見落としてしまった場合に発生するのが隠れリースだ。
川口氏は、隠れリースが発覚した際のリスクについて、「例えば、監査法人からの指摘で発覚した場合、財務諸表の修正対応で決算発表が遅れるといったリスクもありますし、監査法人の意見不表明となると隠れリースがあるかどうかも確認できないため、市場からの信用にも悪影響が出かねません。また、隠れリースによって数値が大きく変わった場合、経営戦略の見直しにも発展する恐れがあります」と指摘する。
続いて川口氏は、リース識別の事前の洗い出しについて解説。「洗い出しのステップは3つあります。ステップ1は資産の特定、ステップ2は経済的利益の有無、そしてステップ3が指図権の有無です」(川口氏)。このステップは順番が重要で、ステップ1から3にかけてリースに該当するかどうかを逐一確認していく必要があるという。とくにステップ3の指図権の有無の判定には困難が伴うことから、電力供給契約という具体的なケースを基に、隠れリースを避けるための洗い出しの手順を詳細に示した。
講演の後半で川口氏は、新リース会計基準への対応準備についても語った。まずは契約書の管理状況を把握し、チェック方法の確認、社内ルールの整備、監査法人との合意形成といったポイントについて紹介。さらに、「今後、新たに契約を締結する際にも隠れリースを検出できるような仕組みを構築しておくことが必要です」と解説を加えた。
川口氏は、「2027年4月の適用開始はすぐにやってきます」とした上で、このような大きなルール変更では、期限ギリギリになって外部コンサルティング会社に駆け込むケースが多発することも指摘。「直前ではコンサルティング会社も対応が難しい。早い段階で関係者を巻き込み、事前準備を進めることが重要です」と呼び掛けた。