TOKIUM

新リース会計基準における 2つのつまずきポイントを
AIで克服

新リース会計基準への対応では、契約書の洗い出しと同基準に照らしてのリースに当たるかどうかの判定が必須となる。この判定にあたって、どのような点がハードルになり、どのような解決方法があるのか。TOKIUMのビジネス本部 プロダクトマーケティング部とエンタープライズ部に所属し、同社の「TOKIUM AI新リース判定」のプロダクト責任者を務める大槻直輝氏が「契約書の洗い出しと新リース判定の効率化を実現するAI活用方法」を紹介した。

ドライラン期間を考えると
事前検討は2026年9月末まで

株式会社TOKIUM ビジネス本部 プロダクトマーケティング部 兼 エンタープライズ部 大槻 直輝氏
株式会社TOKIUM
ビジネス本部
プロダクトマーケティング部 兼
エンタープライズ部
大槻 直輝
 TOKIUMの大槻直輝氏は、まず新リース会計基準対応の流れの確認が重要と語り、4つのフェーズに分けてその流れを説明。大槻氏はこの分類について、「フェーズ1が事前検討、フェーズ2が方針決定とプロセス構築、フェーズ3が適用準備、フェーズ4で本番適用となります」とした上で、新リース会計基準がスタートする2027年4月から逆算すると、フェーズ1の事前検討を2026年9月末までに完了するのが理想だと説く。

 大槻氏がとくに重視したのがフェーズ3の適用準備だ。その理由について大槻氏は、「新システムをテスト運用し、必要に応じて手直しをするには四半期を2サイクル、つまり半年間のドライランの期間を確保する必要があるからです」と説明する。

 2027年4月のスタートとはいえ、準備期間はそう残ってはいないことを頭に入れた上で、実際の対応作業についての話となるわけだが、ここで大槻氏は、多くの企業が直面する「つまずきポイント」を2つ挙げた。それが「契約情報が散在していること」と「リース判定の負担が重いこと」だ。いずれも、TOKIUMの経理部門が早期適用に向けた準備を進める中で、実際に体験したリアルなつまずきだったと言う。

リアルな体験から見えた
2つのつまずきポイント

 まず1つ目の「契約情報が散在していること」の具体的な例として、PDFと紙の契約書が混在しているケースや、本社と現場で契約情報の管理方法がバラバラであるケース、さらにはそもそもどこに契約書があるか分からないといったケースを紹介。契約情報が散在していると、確認のために契約書を捜すのも実務負担が大きくなる。

 大槻氏はTOKIUMでの実例として、「取引の適用欄だけでは判断できないケースがかなりあり、そのたびに請求書を捜し、契約内容を確認していました」と語る。また、契約書そのものが見つからないケースでは、「法務部や調達部門に連絡を取ったり、リース会社に再発行を依頼したりしました。厄介だったのは、契約書を作成した本人が退職していたケースです。社内に分かる人間がおらず、業務が止まってしまうこともありました」と振り返る。属人化がもたらす弊害はあらゆる業務で語られるが、リース契約においても大きなつまずきになる。

 2つ目のつまずきポイントは「リース判定の負担が重いこと」たが、新リース会計基準の判断の難しさを実感するために、大槻氏はクイズを出題。データセンターの業務委託、複数社で共用するオフィスビルの賃借、運送業務委託、広告看板の設置場所の賃借という4つの契約を挙げ、リースに該当する可能性が低いものを考えるというものだ。

 答えは、運送業務委託契約だが、その解説の中で大槻氏は、資産の特定状況や使用時の指図権、実質的な代替権といった判定ポイントとともに、サービス提供契約ではなくリース契約であることを説明する。

 「これは、当社が2025年7月に実施した独自調査でリースを識別できると回答した人に出題したクイズですが、正解者は過半数に届きませんでした。つまり、リースの識別はそれだけ難しく、担当者にとって大きなつまずきになるのです」(大槻氏)

 続いて大槻氏は、リース判定のステップを示すフローチャートを紹介。これはリース識別の手順を説明するものだが、実際の判断にあたってはどうしても個人による解釈の差が出てしまうため、適切な識別が困難である点も指摘した。

リース判定結果だけでなく
判定の根拠も併せて表示

 ここまでで紹介した「契約情報が散在していること」と「リース判定の負担が重いこと」の2つがつまずきポイントになってしまうのは、人力では限界があるからだ。「この課題を解決するために当社が提供しているのが、『TOKIUM AI新リース判定』です」(大槻氏)。

 実際の操作においては4段階のステップがあり、ステップ1はTOKIUMに契約書を郵送しスキャンするか、自社で契約書データをアップロードする、ステップ2はAIエージェントが契約内容を全文データ化、ステップ3でデータ化した結果を基に自動でリース判定し、ステップ4でリース資産管理システムにCSVをインポートするという流れだ。紙の契約書を郵送する場合は、スキャンとアップロードの代行にも対応しているという。
図1
「TOKIUM AI新リース判定」は、事前の準備からAIエージェントによるリースの識別判定、リース資産管理システムとの連携までを支援。紙の契約書のスキャン代行にも対応する
 続いて大槻氏は、識別結果のCSV出力についても紹介。「判定結果だけでなく、判定の理由も契約書から引用表示されるため、確認時に契約書のどこを見れば良いか分かりやすいですし、監査法人や外部の会計コンサルタントとのすり合わせもスムーズに進めることができます」とメリットを挙げる。また、契約書一覧から複数のフィルターを組み合わせての絞り込みやテキストでの検索も可能とのことだ。

 同社では、新リース会計基準対応の応援キャンペーンを実施しており、「TOKIUM AI新リース判定」といったサービスの提供も含め、企業の新リース会計基準へのスムーズな対応を支援していく。