先行事例研究2 パーソルダイバース 当事者と語る 特性を武器に変える組織の作り方
パーソルダイバース
人材ソリューション本部 Neurodiversity事業部ゼネラルマネジャー
兼 雇用開発部ゼネラルマネジャー
大濱 徹氏

パーソルダイバースでは個人と企業の双方に向けたニューロダイバーシティ推進事業を展開している。個人に対しては障害による特性を強みとしてデータサイエンス、AI・機械学習、デジタルマーケティングといった先端IT職種で活躍できるよう支援し、企業に対しては高い能力を有する障害者人材の採用や雇用定着への支援を行っている。これらの取り組みから得た知見に耳を傾ける。
2009年に障害者専門の就職・転職支援サービス「dodaチャレンジ」をスタートした。サービス開始から数年たつと求職者の7割が精神障害者となったが、精神障害者を採用対象にしていた企業は100社に1社あるかどうか。多くの求職者に対し十分な支援ができないことを課題に感じていた。
精神障害のある求職者の中には発達障害の特性を持つ人が多く、それが原因となり職場で不適応を起こし、うつ病などの精神障害を発症された人も多かった。そこで私たちは、社会に出る前に自身の特性に気づき、理解を深めること、その機会をつくる必要性を感じた。そこで2016年に、いくつかの大学で、発達障害の診断を持つ学生や、診断はないもののコミュニケーションに課題のある学生に、職業体験やグループワークなどを通じて自分の特性や傾向への理解を深めてもらう無償のプログラム「コミュサプ(コミュニケーション・サポート・プログラム」を開始した。
コミュサプを実施するうちに、高度な職務領域で活躍できる可能性を持つ学生が多く存在することに着目した。そうした人材は企業で活躍する可能性を秘めているものの、発達障害の特性が“制約”“弱み”と見られ、活躍機会が得られないという課題があった。そこで私たちは、そのような特性を“強み”や“武器”として活かすことができる職域として先端ITに着目し、必要な職業スキルを磨いて就職・活躍を支援する就労移行支援サービス「Neuro Dive」を始めた。2019年の事業開始以来、全国5拠点で毎日100名が利用しており、当社の支援で企業に入社された方は入職後の活躍までを伴走して支援している。
一方、人材を雇用する企業に対しては、各種セミナーや講演を通じて、強みを活かして活躍できる人材がいることを伝えている。実際にNeuro Diveを見学した多くの企業担当者からは、人材の持つ能力の高さに驚き、自社での活躍可能性に期待を寄せる声を頂いている。
この一連の事業を通じ、企業で活躍する多数のニューロダイバーシティ人材が生まれた。その一人を紹介する。
F-LINE株式会社の佐久間誠氏は、国立大学の医学部大学院を家庭の事情により博士課程で中退後、Neuro Diveを利用して就職された。
佐久間氏は高校のとき、ADHDとASDの併発と診断された。大学院修士課程のときに就職活動を行ったが、就職先は見つからなかった。当時は自己理解が十分ではなく、面接で企業側が何を求めているのか分からず、コミュニケーションが空回りしていたと佐久間氏は振り返る。対話が得意なタイプではなく、面接だけでは能力の高さや特性の向き不向きを判断してもらえなかったと考えられる。
佐久間氏は様々なものに目が行くことを自分自身の強みと自覚する一方、人名や都道府県名を間違いやすいことを弱みと認識している。佐久間氏の特性は、マイナスの見方をすれば注意力散漫と捉えられるかもしれないが、多様な視点を持ち、意識を向けることができることは明確な強みだ。
選考の過程では、人事担当に加えて現場の技術者が加わっていた。また、面接だけでなく企業実習を行うことで佐久間氏の強みや業務での活かし方を把握することができた。同社のように採用選考方法を工夫し、受け入れ組織の変革も含めてニューロダイバーシティ人材の採用を進める企業が今後増えていくことを期待したい。

F-LINE
DXソリューション部
佐久間 誠氏
「F-LINEの採用選考では、DXソリューション部の技術者が監督し、データの整備方法や各種ツールの利用方法などの演習を行いました。現在はDXソリューション部に所属し、在庫管理における課題改善プロジェクトを担当しています。仕事では、一つの課題に対して様々な解決方法を思いつくことができ、その中から最適なものを選ぶところで、自分の強みを活かせていると思います。」

