「APUのカリキュラムのベンチマークはアメリカのトップ大学です」と近藤さんも明言する。
宿題、レポートがとても多く、さらに学生自らがプレゼンをする授業もたくさんある。必死に勉強しないと単位が取れないところもアメリカ流だ。日本では、大学を受験後のモラトリアム期間だと捉えている人も多いが、APUの場合、大学に入ってからはモラトリアムではなく、いきなり「本番」がいくつも待ち受けている。
APUでは、学生たちがプレゼンテーションを行う授業が多数ある。
優れたプレゼンには入念な準備と経験とが必要。
在学時にたくさんのプレゼンを経験することで、APUの卒業生たちは、社会でそのプレゼン能力を発揮できる。
今後、APUでは、すでに海外の大学で効果が実証されている、学生の学びを深く引き出す教育手法を積極的に取り入れる。
近藤さんは言う。
「APUでは、専門知識を教え、学位を取らせることだけを教育目的としていません。大学卒業後の人生で役に立つ、学び続けられる力を身につけさせることを目的としているんです。これまでの日本の大学の常識からすると何をやっているかわからないかもしれません(笑)。ただ、世界から集まった80ヵ国の学生たちがお互い切磋琢磨することで、世界中にネットワークを持ち、真の国際感覚を身につけて卒業していくのはまぎれもない事実です」
ちなみに、APUは2014年9月、文部科学省が定めるスーパーグローバル大学(SGU)*37校のひとつに選ばれた。これをAPUでは「第二の開学」と捉えている。
*スーパーグローバル大学創成支援事業
「世界に比肩する国際大学となるためには何をすればいいのか。世界の一流大学と同等の教育カリキュラムを用意できているか。アメリカの有名大学で評価の高い先生と同程度の授業ができる教員が揃っているか。世界中から集まる教員と学生を支える職員体制があるか。」
APUでは、教育方法の改善やマネジメントも含め、さらなる改革を進めているところだ。
ここでAPUの学部について解説しよう。
APUには2つの学部がある。アジア太平洋学部(APS)と国際経営学部(APM)だ。
どちらも、今後のアジア太平洋地域で起こる諸問題に対応し、よりこの地域を発展させることができるリーダーや専門家を育てるために開設された。
まず、アジア太平洋学部とはどういう学部なのか?
名前だけ聞いてもピンと来ない人が多いかもしれない。それもそのはず、アジア太平洋学部とは、APUが初めて開設する学部なのだ。
この学部の創設には、この先の世界情勢を見据えた、APU開学の意義が込められている。
人口増加や経済成長の面から見て、これからはアジア太平洋地域が世界の中心となるだろう。その「アジア太平洋の時代」を、欧米からではなく、アジア太平洋地域から集まった人たち自らの手でつくっていく。「そのベースとなる学問をアジア太平洋学、と名付けたわけです」と近藤さん。
アジア太平洋学部には、「環境・開発」「観光学」「国際関係」「文化・社会・メディア」の4つの学修分野がある。いずれも国際社会における重要テーマだ。
ただし、この4分野はあくまでガイドラインであり、実際に教員たちは、この4つの分野に収まらない研究を行い、授業も枠を超えた内容のものが多い。地理学、歴史学、社会学、人類学、心理学と、総合大学並みにさまざまな専門分野を専攻する教員が在籍している。
それに加えて、APUの教員の陣容は、当初より英語での教育を念頭に置いているため外国出身者が多い。中国、韓国、アメリカ、マレーシア、インドネシア、中東、ロシアなど教員自身が23の国々(2014年時点)からやってきた多国籍なメンバーであり、日本人の教員の多くも海外の大学で専門的な研究に従事した経験を持っている。
「アジア太平洋の諸問題を解決しよう、となると、必然的にあらゆる学問が絡んできます。結果、アジア太平洋学部には、多様な分野の、多様な国籍の教員が集結しました」(近藤さん)
学生たちは、多様な科目からかなり自由に専攻する授業を組み合わせることができる。一方で、自由度が高いがゆえに、自分が何を学べばいいのか惑う学生もいる。
「そんなときは、教員・職員が適切な学びのコースをつくるためのアドバイスを行うから大丈夫です」
学びに対する手厚いサポートも、この大学の魅力のひとつ。学生自身がどういう問題意識を持ち、将来はどんな職につき、どういう人物になりたいのかをじっくり聞いた上で、学校全体でその学生にあった授業の組み合わせを提案していく。それぞれの学生が自分の研究テーマが見つけ、卒業論文としてまとめていく。
アジア太平洋地域を視座に入れると、経済成長著しい一方で、数多くの国際問題がそこかしこにある。地球温暖化、海面上昇、大気汚染、土壌や水質汚染や森林伐採といった環境問題。紛争問題、貧困問題、男女格差や差別問題。子どもたちの教育問題―――――。これから成長しようという地域だからこそ、数多くの課題をかかえている。近藤さんは言う。
「APUには、アジア太平洋地域から、優秀な留学生が多数集まっています。彼ら彼女らにとって、こうした課題は自分の故郷を良くするために絶対に克服しなければいけないこと。そんな留学生たちと日本人学生たちが切磋琢磨して学んでいけば、生きた"アジア太平洋学"が、このキャンパスから生まれるはずです」