ようこそ、九州・別府の超グローバル大学へ。立命館アジア太平洋大学 APU  近藤祐一入学部長に訊く九州・別府からの挑戦!世界のどこでも生き抜ける学生が育つ大学とは?

別府と世界がつながる! APUから日本の未来の「ソリューション」も生まれる?

APUでは、両学部で、日本やアメリカ、ヨーロッパのトップ企業でビジネス経験を詰んだ教員を数多く採用している。新年度から国際経営学部の学部長を務める大竹敏次教授は、大手外資系企業のイギリスの研究所で働き、起業した経験をもつ。やはりアジア太平洋学部の学部長を務める轟博志教授も大手旅行代理店勤務経験がある。日本の大企業出身の教員も多い。近藤さんは言う。

「ビジネスの現場を知る教員の実体験から、机上の空論に終わらない、実践的な視点での研究が行われています」

さらに、アジア太平洋学部、国際経営学部の両学部に共通するのは、「地域」と「世界」とを結び、「地域」が生き残るための戦略を練る研究を自らのユニークな点と認識していることだ。

国際経営学部ならではの研究はいくつかあるが、例えば、「グローバル・ニッチ・トップ」。

今までの経営学は、世界市場をマーケットとする欧米型の大企業分析することが中心だった。ただ、アジアや中東、アフリカなどの新興市場が次々と台頭すると、従来の巨大企業による世界標準経営では対応できないさまざまな事例が現れる。具体的には、地域やニッチ市場といった「小さな場所」で地位を確立した商品やサービスが世界でも伍して闘うことができる事例である。

APUではニッチ市場で勝ち残った企業がグローバル化していくプロセスを追う研究プロジェクトを、3年前に科学研究費助成を受けて本格的にスタートした。従来の経営学ではややもすると取りこぼされてきた、中堅企業やファミリーで経営するような小さな企業も研究対象になる。新しい研究分野を生み出そうという野心的な取り組みだ。

アジア太平洋学部では、APUが立地する大分県という地域に着目し、地元の歴史や観光資源を丹念に調べ、その市場化を地方自治体や地元企業などと研究し、サービス化まで考えるプロジェクトを学生が主体となって行っている。

別府といえば温泉。日本に初めて訪れた留学生は温泉も初めて。
最初は苦手だった裸の付き合いも2年もたてば、みんな大の温泉ファンになる。
中でも別府名物「地獄めぐり」は、APU学生たちの必須コース。

別府駅前にある「手湯」。寒い冬には、冷たくなった手を温泉で温めることができる。
祖国を離れた多国籍の留学生たちも、国内各地から集まった日本人学生も、共に暮らせば共に学べば、みんな別府が好きになる。APUの卒業生は別府を「第2のふるさと=セカンドホーム」と呼ぶ。

そもそも大分県は、世界各国で地域振興として取り組まれる「一村一品運動」発祥の地であり、地元ならではの「替えの効かない」商品やサービスを巧みにブランド化し、全国の、そしてアジアの顧客を獲得してきた、まさに「地域ブランディング」と「グローバル・ニッチ・トップ」の先行事例でもある。関サバ関アジ、城下ガレイ、かぼす、豊後牛、麦焼酎といった農水産品から、別府や湯布院の温泉といった観光資源にいたるまで。

そして、APU自体が、「大学の一村一品運動」として別府に誘致されたという歴史は、前回の連載で記した通りだ。

グローバルな人材を九州・大分の別府に集め、研究結果を地元に還元する一方で、卒業生が日本中に世界中に散ることで、別府が日本中とつながり、日本が世界とつながる。

APUでは今後、別府のキャンパスを拠点としながらも、世界の教育機関と連携を深めていく構想を立てている。

「いずれAPUの学生は、アジア太平洋地域のあらゆる国々で講義を受け、インターンをし、フィールドワークを実施することになるはずです。そのため、これまで以上に海外の協定校や海外オフィスを充実させている段階です」と近藤さんは未来を語る。

アジア太平洋が、いや世界が丸ごとAPUのキャンパスになる。

夢物語などではない。APUが目指す、未来の大学のあり方なのだ。