消費行動のデジタルシフトが一層進展した今、単なる商品・サービスの価値向上だけでは競争優位性を確立しえない。カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上はますます重要な課題となった。現状を踏まえ、2024年7月にオンラインで開催された「カスタマーエクスペリエンス2024(CX LIVE 2024)」。今回はこれを詳細にレポートする。CX向上に真剣に取り組む経営者・担当者へ。生成AIに代表される最新テクノロジーを活用した先進企業の事例やCX関連サービス、ソリューションの数々をご覧いただこう。
主催者講演
顧客時間
顧客時間
共同CEO
代表取締役
奥谷 孝司 氏
コロナ禍を経て、社会でのデジタルシフトが急速に進んだ。今や商品の購入接点はあらゆる場所にあり、顧客は「その企業やブランドを選ぶ価値はどこにあるのか」を見つめ直すフェーズに入っている。顧客時間の奥谷氏は「だからこそあらゆるタッチポイントを考慮した価値ある顧客体験の提供、すなわちユニファイドコマースが大切です」と説く。
マーケティングの4P(Product、Price、Promotion、Place)におけるPlaceは、モバイルデバイスの普及によって実質的に“Placeレス”になったと奥谷氏は分析する。「こうした時代にお客様とつながるには、Placeを見続けることが不可欠になってきます。顧客IDを基点にしっかりとデータを取得し、顧客理解を通じて提案を最適化していく。その提案行動が顧客にとってのエンゲージメントバリューになるのです」と話す。
エンゲージメントバリューとは顧客にとって企業と「つながっていることの価値」である。土台に商品やサービスの機能によってつくられる「機能価値」、その上にブランドが提供する体験によってつくられる「体験価値」があり、三角形の最上位に位置する概念を指す。奥谷氏によれば、優れたブランドを確立している企業は「つながっていることの価値」を設計してから商品やサービスを提供しているという。
ここで必須となる視点は「顧客との時間の共有」だ。これまでは購買時点のみに注目していたが、当然ながら商品購入後の使用時間の方が、顧客にとっては長い。「つまり、商品の選択から、購入、そして使用へと続くカスタマージャーニー(=顧客時間全体)でどのような価値を提供できるかを考えないと、CX向上には結びつきません。そのためリアルとデジタルを融合したカスタマージャーニーの構築に注力すべきです」と奥谷氏はアドバイスした。
「お客様のDXを考えるには、商品を販売して終わりではなく、その後も寄り添っていくPaaS(Product as a Service)が鍵を握ります。従来型の店舗やECのようなマスチャネルを持つ一方で、直接的に結びつくD2Cチャネルを並行させ、顧客との関係性を強化するビジネスモデルが顧客体験をリッチ化すると考えています」(奥谷氏)
これを踏まえ奥谷氏は、顧客のニーズを取り込むための組織としてカスタマーサクセス部門の設立を推奨した。営業やコンタクトセンター、データサイエンティストなどの関係者が横一線に並び、顧客中心主義で動ける組織を持つことによって顧客体験の向上に寄与できるからだ。その上で「使い続けたい、ウェルビーイングだと感じてもらうことが、これからのお客様とのつながり方なのです」と結んだ。
主催者講演
ベータ・ジャパン
ベータ・ジャパン
代表取締役
北川 卓司 氏
b8taは体験に特化したリアル店舗がもたらす価値を顧客企業に提供する、新たなビジネスモデルRaaS(Retail as a Service)のパイオニアとして注目を集める。「Retail Designed for Discovery」、すなわち「リテールを通じて人々に“新たな発見”をもたらす」をミッションに、2015年に米サンフランシスコで創業した同社は、2020年に日本上陸。以来、右肩上がりの成長を続けている。
「現在では東京の有楽町や渋谷、埼玉の越谷、そして大阪梅田に計4店舗をオープンしているほか、常設店舗とは別に、札幌や福岡、名古屋や羽田空港などの各地にポップアップストアも展開しています」とベータ・ジャパンの北川氏は紹介する。
b8taのサービスを活用することで、企業はさながらECサイトへの出品と同じような手軽さ、低廉な料金によって、b8taの店舗に自社の製品やサービスを出品できる。既に国内でも、最新のガジェットをはじめ、自動車から食品に至る多彩な企業が同社のサービスを活用。顧客に向けた商品体験の提供、ブランディング、及び実証実験といったシーンに生かされている。
サービスの具体的な内容は、顧客企業が希望する店舗に、60cm×40cm程度を1区画とするスペースを月額35万円で貸与するというものだ。出品料さえ支払えば、あとはb8taが商品・サービスの説明など来店した顧客への応対や販売、在庫管理などを含む、リテールに付随するサービスの一切を請け負う。そこでマージンなどが発生することもない。
「我々の主眼は物品の販売というより、来店いただくお客様に実店舗ならではの製品・サービスに関するリアルな体験を提供する一方、そこでお客様から伝えられる感想など定性的なデータと、お客様の店内での動きなど定量的なデータを、出品企業の皆様に提供することにあります」と北川氏は強調する。
b8taの店舗天井にはAI搭載カメラを多数設置。店舗全体や各出品スペースの状況をつぶさに記録する。ベータテスターと呼ばれる接客担当者は、フレームワークに基づいて顧客の感動体験を演出する高度な応対スキルを保有。高品質な顧客意見を獲得できる。
「そうした仕組みによって、出品企業の皆様にフィードバックされる情報を分かりやすく可視化するダッシュボード、及びデータを活用したマーケティング戦略のブラッシュアップ、CXの向上を、当社カスタマーサクセスチームが支援する体制も整えています」と北川氏は語る。
b8taの提供するサービスは、まさに実店舗のオフラインマーケティングの領域に新機軸の価値提供を実現するものといえよう。
主催者講演
顧客時間

協賛講演
プラスアルファ・コンサルティング

協賛講演
ServiceNow Japan

協賛講演
テックタッチ

協賛講演
アルティウスリンク

協賛講演
ナイスジャパン

主催者講演
ベータ・ジャパン
