
ChatGPTの登場以来、生成AIは日進月歩の勢いで進化している。活用の場も広がりを見せ、ローコード開発の領域でも生成AIの活用が始まっている。ワークフロー自動化プラットフォームを提供するServiceNowは、同社のデジタルプラットフォームに生成AIを実装することで、新たな開発体験を実現。システムの開発生産性の向上や、内製化の促進を強力にサポートしている。

ビジネスを爆発的に成長させるドライバーになる生成AI。国内でも生成AIへの期待はどんどん高まっており、2024年にAIへの投資を増やす企業は全体の81%にのぼる※という。
期待はアプリケーションの開発現場にも広がっている。生成AIの特性を生かすことで、システム開発のスピードと質の向上、スキルの底上げなどを図れるようになるからだ。
しかし、単に生成AIを導入するだけではこれを実現することはできない。重要なのは、業務をデジタル化・自動化する強力なプラットフォームだ。
「ワークフローやデータが分断された状態では、生成AIの効果も限定的になります。ワークフローアプリケーションと、それにかかわるデータを単一のプラットフォームに集約して、そこに生成AIを組み込むことが、大きな効果を引き出す上で不可欠です」とServiceNow Japanの佐藤 淳氏は語る。
この考え方のもと、ServiceNowは提供するデジタルプラットフォームへのAI実装を進めてきた。機械学習によるデータの分類や類似性の評価、クラスタリング生成、自然言語理解やプロセスマイニングなどの機能を搭載したほか、早い時期から生成AIの研究も続けており、2018年からは論文発表なども精力的に行っている。信頼性を備えた独自のLLM(大規模言語モデル)の開発も進めている。
「2023年にはワークフロー自動化プラットフォーム『Now Platform』に独自開発の生成AI機能を提供開始しました。現在はプラットフォーム上のあらゆる機能で生成AIを利用できます」と佐藤氏は紹介する(図1)。外部の生成AIサービスとも簡単・安全に連携できる。これにより、ServiceNowが提供する生成AIと、業務・業種に特化した外部の生成AIを適材適所で使い分けられるようにしている。
多様な業務アプリケーションを単一のプラットフォーム上で開発・提供できる。組み込まれた生成AIによって、開発・運用およびユーザーの利用はインテリジェント化、自動化されている
また、Now Platformユーザーのアクションを支援する「Now Assist」にも生成AIを搭載した。これにより、事業部門ユーザーの業務はもちろん、システム開発者の生産性、俊敏性も飛躍的に向上できるようになったという。
例えば、開発者向けのアプリケーション群「Now Assist for Creator」では、コードを書くことなく、自然文によるアプリケーション開発が可能。「コーディングのほか、アプリケーションそのものを生成することもできます。フロー、レポート、UIや外部システムとの連携部品なども自然文から生成可能です」と佐藤氏は言う。
※ ServiceNow 調べ

ServiceNowの生成AIは、プラットフォームに特化した独自LLMを搭載しているため、Now Platformでの利用に向けて最適な生成結果を得られる点が特徴だ。「例えばコード生成であれば、サーバー側やクライアント側など必要な場所に合わせた形でコードを生成します。外部連携に使用するAPIも、ベストプラクティスに基づいて適切なものを選択します」とServiceNow Japanの郷津 朋稀氏は説明する。
プレイブックも自然文で作成できる(図2)。プレイブックとは、ServiceNow内のアプリケーションやワークフローに関するデジタル手順書のこと。業務に用いるアプリケーションやワークフローのプレイブックを用意しておけば、初めて使うユーザーでも戸惑うことなく作業を実行できる。
プレイブック名を定義し、対象のアプリケーションを選んだら「指示」欄に実装したい業務の流れをテキスト入力する。これにより既定のフォーマットでプレイブックの枠組みを素早く生成できる
自然文で入力できるので、高度なIT知識がなくてもプレイブックを作成できる。「つまり、業務に詳しい人が自らプレイブックを作成できます。現場のノウハウを取り入れた、分かりやすいプレイブックを作成できるはずです」と郷津氏は語る。
加えてNow Assistでは、実行可能な作業内容(スキル)自体を開発することもできる。そのためのスキル開発機能「Now Assist Skill Kit」にも生成AIを搭載した。ノーコード・ローコードでプロンプトを編集することで、ユースケースに応じたカスタムスキルを作成したり、固有の業務に生成AI機能を追加したりすることも可能だ。
生成AIが搭載されたことで、Now Platformの生産性向上効果はさらに高まった。ServiceNowの検証によると、社内の開発者の90%がNow Assist for Creatorに肯定的なフィードバックを行った。また、生成されたコードの受け入れ率は48%と、高度なプログラミングスキルを有するエンジニアの約半分が合格点を出した。開発工数も大幅に削減できているという。
ユーザー企業も成果を実感している。例えば、東京都のIT企業であるシスラボは、業務アプリのブラックボックス化・属人化、データのサイロ化などの課題を解決するため、ServiceNowを社内の業務アプリ開発基盤に選定。同時にNow Assist for Creatorも採用した。
これにより、IT部門以外の“市民開発者”も、アプリケーションのモックアップを簡単に作成できるようになった。モックアップの作成時間、開発やアプリ機能の習得にかかる期間は、いずれも従来の半分に短縮できている。シスラボでは、社員の6割がNow Assist for Creatorを使えるようにして、内製開発をさらに加速させているという。
「生成AIはローコード開発に新たな開発体験を提供し、開発スタイルそのものを大きく変えます。メリットを引き出すには、プラットフォームに生成AIを実装させる方法が有効です」と佐藤氏は強調する。
ServiceNowは今後も生成AI機能を継続的に強化していく。Now Platformは、企業のDX推進を支える強力なプラットフォームといえるだろう。
※ Now Platform はServiceNow の登録商標です。
