官民連携によるデジタル支援に向けてNTTデータでは新たな挑戦を続けている。その実現のために新たに推進しているのが「D-Resilio連携基盤」だ。社会インフラや保険、物流、小売り、マイナンバーカードなど、多種多様なステークホルダーが保有するデータを連携させることで、平時から発災時、復旧・復興時までのあらゆるフェーズに対応できるサービスの創出を支える共創プラットフォームである。
「例えば、電力使用量データを活用することで、災害時の避難所や病院の稼働支援、居住実態把握による要支援者の避難支援に貢献します。また、水害時にドローンで家屋の被災状況を撮影・分析することで、自治体と保険事業者の被害認定調査業務を効率化・迅速化します」と山田氏は紹介する。
そして、同社がさらに力を入れているのが生活者の視点に立った取り組みだ。
これまでの防災DXの取り組みは、発災直後の「緊急期・応急期」と復旧期の一部に向けた施策/ソリューションが中心だったという。
「一方で、災害後の生活再建フェーズに当たる『復旧・復興期』に被災者が必要とする情報を、集約して確実に提供するサービスはまだほとんど存在していません。これは、日本の防災DXにおける課題の1つだと我々は考えています」(山田氏)。大規模災害において、住民の生活再建は数カ月から数年にわたって続いていく取り組みとなる。長期的かつ被災者の視点に立った支援の仕組みを整えることが求められるが、自助に頼っているのが実態だ。
この考え方のもと、NTTデータが今注目している社会課題が「人口流出とそれによる地域の経済損失」である。
例えば、東日本大震災では被災地域の平均人口減少率は13.5%
※2。それにより企業が被った間接的経済損失は3510億円に上った
※2。また、南海トラフ地震が起これば、被災地域で128万人の人口流出
※2と3.3兆円の経済損失
※2が生じるとの試算もある。NTTデータは、この状況を招く要因の1つが、生活再建フェーズで求められる手続きがあまりに煩雑であり、これにより、生活の先行きが見えなくなってしまうことだと仮説を立てている。
実際、同社の調査では、生活再建に必要な行政と民間の手続き・行動は262工程、必要提出書類は318種類も存在した。突如余儀なくされた非日常の暮らしの中で、被災者がやるべきことの全体像と個々の手続き、そのための時間軸を適切に把握することは、不可能に近いといえるだろう(図1)。
「自治体は生活再建に向けたガイドラインを示すことはできても、行政サービスに閉じた内容になっています。被災者一人ひとりの状況に寄り添った対応をするには限界があります。まして民間企業のサービスにまで踏み込んだ支援は難しいでしょう」と山田氏は話す。