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自治体DXフォーラム 2025 組織で挑む「タテ×ヨコ」DX
NTTデータ

防災DXに欠けている生活者の視点
新たなデジタルエコシステムを実現する

令和6年能登半島地震をきっかけに、改めて防災領域のDXの重要性が注目されている。デジタル技術の活用が各自治体で進んでいるが、災害発生直後の「緊急期・応急期」に比べて、その後の「復旧・復興期」の取り組みは遅れがちなのが実情だ。NTTデータは、このフェーズのデジタル化による「防災DX」を提唱。生活者視点に立ったサービスを実現する、デジタルエコシステムの構築を提言している。

能登半島地震における
防災DXの取り組み

株式会社NTTデータ ソーシャルデザイン推進室 山田 典史氏
株式会社NTTデータ
ソーシャルデザイン推進室
山田 典史
 日本では毎年のように地震や台風などによる自然災害が発生している。地域の持続可能性を担保するためには十分な災害対策が必要だ。近年はデジタル技術を駆使した「防災DX」の重要性がますます高まっている。

 「令和6年能登半島地震に際しては、デジタル庁の呼びかけで2022年12月に発足した『防災DX官民共創協議会(BDX)』が、民間企業と連携することで被災地のデジタル支援に大きく貢献しました」とNTTデータの山田 典史氏は紹介する。BDXは防災の観点でデータ連携や生活者の利便性向上を考える組織で、その部会の1つにNTTデータの社員も参画している。

 「石川県は、能登半島地震に際する防災DXをSTEP1:避難所に関わる情報をいかに集めるか、STEP2:被災者に関わる情報をいかに集めるか、STEP3:生活再建をいかに支援するか、という3つの段階で整理しており、それらに対して、BDXが民間企業を巻き込んでDX支援を推進しました。当社は、石川県に総合防災情報システム(EYE-BOUSAI※1)をもともとサービス提供しておりましたが、様々な種類や形式で集まるデータを発災から復旧・復興まで一気通貫で取り扱うことの重要性とそれに向けた課題を改めて認識したところです」(山田氏)
※1
EYE-BOUSAI:気象データ、各種の観測データ、危機管理データを集約し、従来、白地図やホワイトボード上で表示していた被災状況をデジタルで可視化。災害対策本部での意思決定を支援し、メディアに情報を一斉配信する。

官民連携の強化と
生活者視点

 官民連携によるデジタル支援に向けてNTTデータでは新たな挑戦を続けている。その実現のために新たに推進しているのが「D-Resilio連携基盤」だ。社会インフラや保険、物流、小売り、マイナンバーカードなど、多種多様なステークホルダーが保有するデータを連携させることで、平時から発災時、復旧・復興時までのあらゆるフェーズに対応できるサービスの創出を支える共創プラットフォームである。

 「例えば、電力使用量データを活用することで、災害時の避難所や病院の稼働支援、居住実態把握による要支援者の避難支援に貢献します。また、水害時にドローンで家屋の被災状況を撮影・分析することで、自治体と保険事業者の被害認定調査業務を効率化・迅速化します」と山田氏は紹介する。

 そして、同社がさらに力を入れているのが生活者の視点に立った取り組みだ。

 これまでの防災DXの取り組みは、発災直後の「緊急期・応急期」と復旧期の一部に向けた施策/ソリューションが中心だったという。

 「一方で、災害後の生活再建フェーズに当たる『復旧・復興期』に被災者が必要とする情報を、集約して確実に提供するサービスはまだほとんど存在していません。これは、日本の防災DXにおける課題の1つだと我々は考えています」(山田氏)。大規模災害において、住民の生活再建は数カ月から数年にわたって続いていく取り組みとなる。長期的かつ被災者の視点に立った支援の仕組みを整えることが求められるが、自助に頼っているのが実態だ。

 この考え方のもと、NTTデータが今注目している社会課題が「人口流出とそれによる地域の経済損失」である。

 例えば、東日本大震災では被災地域の平均人口減少率は13.5%※2。それにより企業が被った間接的経済損失は3510億円に上った※2。また、南海トラフ地震が起これば、被災地域で128万人の人口流出※2と3.3兆円の経済損失※2が生じるとの試算もある。NTTデータは、この状況を招く要因の1つが、生活再建フェーズで求められる手続きがあまりに煩雑であり、これにより、生活の先行きが見えなくなってしまうことだと仮説を立てている。

 実際、同社の調査では、生活再建に必要な行政と民間の手続き・行動は262工程、必要提出書類は318種類も存在した。突如余儀なくされた非日常の暮らしの中で、被災者がやるべきことの全体像と個々の手続き、そのための時間軸を適切に把握することは、不可能に近いといえるだろう(図1)。  「自治体は生活再建に向けたガイドラインを示すことはできても、行政サービスに閉じた内容になっています。被災者一人ひとりの状況に寄り添った対応をするには限界があります。まして民間企業のサービスにまで踏み込んだ支援は難しいでしょう」と山田氏は話す。

行政、民間企業をデータでつなぎ、
被災者に寄り添いトータルでサポート

 NTTデータは、同社ソーシャルデザイン推進室を中心にこの課題の解決策を検討している。ソーシャルデザイン推進室は、「ウェルビーイング」「住まい」「地域創生」「モビリティ」など、複数の切り口から社会課題の解決に資するビジネス創出に挑んでいる部署だ。地域創生の主要テーマの1つにレジリエンスを掲げ、防災DXの取り組みを進めている。

 「当社のアセットを活用し、行政に加えて、金融、保険、住宅、車などの民間企業と連携することができれば、生活再建の計画策定から履行に至るプロセスをデータでつなぐことが可能。同じ情報を各所に何度も出す手間も省くことができます。被災者に寄り添いながら生活再建をトータルでサポートするデジタルエコシステムを構築することを目指しています」と山田氏は説明する(図2)。生活再建の全容が可視化されれば、そのために必要となる期間も把握することができる。  ソーシャルデザイン推進室では過去の自然災害における被災者に対するデプスインタビュー(調査対象者とインタビュアーが1対1で対面して行う定性調査手法)を継続的に実施しながら、サービスデザイン、ビジネスモデル構築に取り組んでいる。

 NTTデータはもともと、BtoBビジネスを主体とした事業活動を行ってきたが、ソーシャルデザイン推進室では、多様なステークホルダーと積極的に連携しながらBtoBtoCの生活者視点のデジタルエコシステムの実現を目指している。多様な企業・組織が連携することで、生活者のペインに刺さる便利で柔軟な仕組みを実現することができる。「共感していただける自治体、民間企業の方は、ぜひお声がけいただきたい」と山田氏は最後に語った。
※2
政府資料を基にNTTデータが算出・試算
お問い合わせ
株式会社NTTデータ ソーシャルデザイン推進室
E-mail:contact_socialdesign@kits.nttdata.co.jp
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