まずやるべきは、調達プロセス全体を可視化して、トラブルの原因になるポイントを明らかにすることだ(図1)。
「予算編成を行う前には複数の事業者から参考見積もりを取り、これを財政部門への説明資料として使用します。参考見積もりのためには、調達の条件を記した『仕様書』を事業者に示さなければなりません」と川口氏。ただ、いきなり仕様書を作成するのは職員にとってハードルが高いため、お勧めなのはその前段階として「情報化企画書」を書くことだという。これを基に自治体内でディスカッションを行うほか、事業者からもRFIで意見をもらって仕様書を仕上げていく。
「しかし現実には、このプロセスを適切に実践できている自治体は多くありません。そこで提唱したいのがAIを使うことです。人間とAIがタッグを組んで、仕様書作成作業を自動的かつ効率的に行える環境を整えるのです」と川口氏は述べる。
同社が開発・提供しているのが「procureTech(プロキュアテック)」というサービスだ。推論型AIと生成型AI(ChatGPT)を組み合わせることで、自治体向け情報化投資事業や業務委託の調達仕様書作成業務を大幅に自動化する。
初期条件を設定することで、調達仕様書の90~95%を自動的に作成できる。「100%ではないところが重要で、これをたたき台にして、様々な立場の職員の目線で仕上げることが肝心です」と川口氏は話す。
同社の知見に加え、自治体向けの技術文書を参考にした情報も組み込まれているため、精度の高い仕様書を作成可能だ。具体的にはIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「情報システム調達のための技術参照モデル(TRM)自治体編」や「非機能要求グレード」などが含まれているという。
「初めてでも1時間程度で仕様書のたたき台を出力できます。初版の作成を早めることで、調達プロセス全体の進捗を早めることができます。従来は1回しか回せなかった書類確認プロセスを2回、3回と回せるようになれば、仕様書の品質向上にもつなげられるでしょう」と川口氏は紹介する。