DXを加速する上で不可欠なのが、取り組みの推進力になる「ヒト」だ。そのリソースを管理する土台になるのが「従業員データベース」だ。これをどう構築・運用するかは、多くの企業が直面している課題といえる。100%満足いく形で従業員データベースを整備できている企業は少ないのではないだろうか。
「例えば、従業員の雇用形態が部門ごとに異なるために、部門ごとに個別の手法/ツールで従業員データを管理しているケースは多いと思います。この状態では、その部門でしか最新のデータを把握できない状況に陥ります。個別管理しているデータで従業員の休職などの身上変更をしても、本部でのデータは変更をしていないので、、誰がどこで働いているか、正確に把握できなくなってしまうでしょう」とSmartHRの古川 和芳氏は語る。
また、従業員データベースは一元管理できているが、人事部門以外は閲覧できないというケースもある。この場合、ほかの部門の担当者が従業員データを確認したい場合は人事部門に依頼する必要があり、業務の遅延が発生してしまう。「業務部門には、見たいデータをすぐに見られないストレスが、人事部門にはデータ抽出の作業負荷が発生しています」と古川氏は指摘する。
「全従業員を対象として、常に最新のステータスが反映されている状態」が従業員マスターの理想である。それには従業員の入退社や組織変更に柔軟・迅速に対応できることが不可欠だ。また、各部門の管理者が自らアクセスして確認できることもが備えるべき条件といえるだろう。
「このような従業員マスターがあれば、SaaSを利用する際のアカウント払い出しや、プロジェクト単位でのアカウントの権限変更、新部署立ち上げ時のアプリ配布などを簡単・速やかに実行や、自動化できます。DXに求められる最新の業務環境を、スピード感を持って現場に提供できるようになるのです」と古川氏は言う。
加えて、DXに不可欠なデータ活用の観点でも高品質な従業員データベースを構築する意義は大きい。
まずデータ活用の基本的な流れとしては、得たい成果や目的の定義から始まり、必要なデータの収集・分析を実施し、それに基づく意思決定を行い仕組みへと反映していくというものである。
「最近はAIを活用した分析ツールが登場し、分析プロセスの自動化・効率化が加速しています。ただ一方で、大前提となるデータの収集プロセスにはまだ課題が残っています」(古川氏)
例えば、成果につなげるデータ活用を実現するためには、データ自体の粒度や期間をそろえたり、正確性を担保しなければならない。また、相応のデータ量も必要だ。このような「質のよいデータを大量に集める」ことができていなければ、たとえAIなどの先進ツールを使っても有意義な示唆は得られない。
また、データ分析の結果に基づく意思決定および仕組みへの反映は、一度行って終わりというものではない。過去の成果を踏まえつつ、さらに新しいデータを取り入れて分析を行いながら何度も繰り返し行っていくものである。
「データ活用のPDCAサイクルを回す上では、様々な種類の高品質なデータを継続的に収集できる仕組みが不可欠です。従業員が複数のSaaSを使い分けて業務を行う環境を構築するなど、業務全体のデジタル化を図ることで、データの発生源を増やすことが求められています」と古川氏は語る。
このような環境を整備する際に威力を発揮するのが、従業員データベースというわけだ。常に最新のステータスが反映された従業員データベースを構築しておくことで、個々人のSaaSアカウントの発行や変更・削除、設定の効率化に生かすことができ、SaaS導入にまつわる情報システム部門や現場担当者の負担軽減、早期のデータ活用開始を実現できるのである。
このような、タイムリーかつ効率的な従業員情報の把握、およびデータ活用を可能にする従業員データベースの構築を支援するのが、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」だ。
入社手続きや、人事評価、資格情報などを従業員がSmartHR上で入力すると、それが従業員データベースに反映される。また、給与計算システムや勤怠管理システムと連携することで、外部システムの情報をSmartHRのデータベースに自動反映する機能も備えている。このように、手間をかけなくても1箇所に「自然に情報が集まる」仕組みにすることで、常に最新のステータスを維持した従業員マスターを構築できる仕組みだ(図1)。
「マスターとして1カ所にデータがたまることにより、例えばSaaSアカウントの管理に関わる業務負荷は、従業員の所属情報と連動した設定自動化によって低減できます。従業員の所属部署が変わると、あらかじめその部署向けに用意した状態にシステムが自動でアカウントを設定してくれるのです」と古川氏は説明する。
また、2024年7月にはIdP機能も提供開始(図2)。これにより、SmartHR経由で複数SaaSへシングルサインオンを行うことも可能になったという。SaaS活用に関わる煩雑な処理や手間を減らし、業務のデジタル化を推進できれば、組織内のデータが格段に増えていく。これらのデータを分析・活用することで、データドリブンなビジネスを具現化することができるだろう。
今後もSmartHRは、従業員マスターと連携した機能を強化していく予定だ。例えば外部サービスのアカウントを、SmartHRの中の在籍情報を基に作成したり、そのプロセスを自動化したりする機能を開発中。また、外部サービスも含めたアカウント棚卸し機能も近日リリース予定だという。
今まさに推進が望まれる、バックオフィス業務のDX。そのカギを握るソリューションとして、SmartHRへの注目度が高まっている。