循環経済は「小さな」と「大きな環」で構成される。前者は地域の、後者はグローバルにおける循環経済を支える。JFEエンジニアリングは、両方の領域で先進技術を駆使し社会課題の解決に取り組む。廃棄物から燃料や工業用化学品原料を製造するWtC(Waste to Chemical)で、未知の「環」に果敢に挑む。

循環経済の基本は、製品・資源をいかに循環させるか。リデュース、リユースから収集運搬、リサイクル・焼却を経て最終処分する現在のやり方において、「環」をつなぐロスの最小化がポイントとなる。焼却時に廃棄物から電気を作り出し活用する動きが今、国内外で活発化している。地域の循環経済をまわす、いわば「小さな環」の取り組みだ。

一方で、持続可能な社会実現のために、製品を原料に戻す仕組みは「小さな環」の枠を超える。大量の廃棄プラスチックへの対応では、分別できない汚れたプラスチックの循環が課題となる。これを解決する有効な方法の一つがWtC(Waste to Chemical)だ。焼却ではなく、廃棄物を化学的に分解し原料に変える。プラスチックを含む廃棄物を収集し、そこから原料を供給していく「大きな環」が必要となる。資源セキュリティーにおけるグローバル規模の循環経済とも密接に関わる。

JFEエンジニアリングは、2つの環の両輪で事業を展開。地域社会では「小さな環」に対するニーズが一層高まっていると、JFEエンジニアリング 代表取締役副社長 環境本部長の関口真澄氏は話す。「当社は廃棄物発電、バイオガス発電など、地産地消型の循環経済における取り組み実績が豊富です。環境省が推奨する地域循環共生圏の創造に向け、自治体の施策を先進技術で支援しています」。

「大きな環」は、時代の先を見据えた研究開発テーマとなる。2003年に、旧日本鋼管と旧川崎製鉄が統合し誕生したJFEエンジニアリング。統合前から両社は、ケミカルリサイクルの研究開発を積極的に行ってきた。関口氏は振り返る。「例えば、製鉄の際にコークス(石炭を蒸し焼きにした物質)の代わりに廃棄プラスチックを使う『高炉原料化』というリサイクル手法は、旧日本鋼管の時代から取り組んできました。またWtCも、旧川崎製鉄で研究開発を進めていたテーマです。『大きな環』へのチャレンジは両社から受け継いだDNAといえます」。

■動脈産業と静脈産業の連携で生まれる「小さな環」と「大きな環」
JFEエンジニアリングは、グローバルで「小さな環」と「大きな環」を組み合わせ、循環経済の実現に貢献していく

食品廃棄物を電気と肥料に
「ダブルリサイクルループ」

「小さな環」においても技術革新が循環経済の効果を高めている。欧州の廃棄物発電における先進事例について関口氏は話す。「当社のドイツ子会社スタンダードケッセル・バウムガルテ(SBG)社は、熱焼却で生じた蒸気を隣接の化学工場へ供給し、極めて高い熱利用効率を実現。これが高く評価され、フランスの廃棄物発電プラントの受注につながりました」。

国内ではバイオガス発電への注目度が高い。「当社グループ会社のJ&T環境によるバイオガス発電施設は、千葉、横浜、仙台、小牧、札幌で稼働しており、福岡でも建設中です。これらバイオガス発電は、食品廃棄物を微生物の力で発酵させ、発生するバイオガスを燃料に発電を行い、排出事業者に還元する電力リサイクルループです。これに加え、処理工程で生じる発酵残渣ざんさを肥料に活用し、農作物を排出事業者に利用していただく農業リサイクルループも進めています。この『ダブルリサイクルループ』を実現する取り組みは、第6回エコプロアワードで農林水産大臣賞を受賞。現在年間5000トン規模目標で液肥と固形肥料を出荷しており、今後も増産していく予定です」。

■ダブルリサイクルループ
食品廃棄物を電気と肥料に変え、2つの循環を生み出すダブルリサイクルループの構図。地産地消型循環経済の実現に貢献する

廃棄物ガス化で世界をリード
全国7施設で20年以上稼働

「大きな環」では、WtC技術分野において世界をリードする。「当グループがWtC技術の実用化を目指し取り組んできたのがサーモセレクト方式の活用です。同方式は、熱分解により廃棄物をガス化し、得られたガスを改質して水素や一酸化炭素を主成分とする合成ガスを回収します」(関口氏)。

廃棄物ガス化の試みは、世界中で様々なチャレンジが今も続いている。成功事例がほぼない中、実用化したケースとして紹介されるのが、JFEグループのサーモセレクト方式による施設だ。「全国7施設で20年以上稼働しています。同種設備の長期稼働は世界でも希少です」(関口氏)。

2021年、JFEエンジニアリングはWtC分野において、グローバルでプラントエンジニアリング事業を展開するMaire Tecnimont Groupの子会社NextChem社との協業に合意するなど、手広い対応を進めている。目的について関口氏は説明する。「これらの協業は、廃棄物を原料として水素、アンモニア、尿素、メタノール、エタノールなどのWtC生産プロセスの構築を目指すものです。当社は、これまでの実績とノウハウのもと、新たな廃棄物ガス化技術の開発を担います。製造が期待されているのは、SAF(持続可能な航空燃料)や、化成品原料などです。WtC技術の実用化は、製造業と廃棄物処理業の新たな関係を築き、『大きな環』を動かす原動力となります」。

脱炭素化に向けた重要なポイントは、温室効果ガスの排出量が積分値であるという点だ。高効率発電の追求によりCO₂排出量を確実に削減していくことは今後も重要なテーマになると関口氏は話す。「福井県の若狭広域クリーンセンター(35トン/日×2炉)は、高効率タービンの採用などにより小規模ながら国内最高の発電効率(19.1%)を達成。発電した電気は施設内での利用とともに、余剰分を電力会社に売電します。人口の少ない地方でも『環』をつなぐことは大切です」。

JFEエンジニアリングは、2030年を目標年とする中長期ビジョンにおいて“くらしのもとを「創る」「担う」「つなぐ」”を新たなパーパスに定めた。関口氏は「当社はグローバルなエンジニアリング会社として、資源を循環する『環』をつくり動かす中心的役割を果たしていきます」と決意を込めた。

JFEエンジニアリング株式会社

https://www.jfe-eng.co.jp/

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