JFEエンジニアリング
再生可能エネルギーでつくった電気は、使用量(需要)と発電量(供給)のバランスを取るのが難しい。成功モデルの1つが「エネルギー循環型ごみ収集システム(ZeroEシステム)」だ。JFEエンジニアリングは、独自開発したEVパッカーと蓄電池の自動交換ステーションで、循環資源の活用拡大を図る。
太陽光発電の電気が捨てられている。発電量過剰時に、大手電力会社は電気の受け入れを一時停止する出力制御を行う。休日で工場などが稼働せず、太陽光発電が多量の電気を生成する晴れた日が想定される。太陽光発電の急速な拡大に伴い、出力制御が急増している。再生可能エネルギーを生かすために、電気をためて使う蓄電池(大容量リチウムイオン電池)は有力な解決策となる。しかし、問題はその先にもある。何にどうやって使うか。社会実装の仕組みづくりが欠かせない。成功モデルの1つが、JFEエンジニアリング創出の革新的コンセプト「エネルギー循環型ごみ収集システム(ZeroEシステム)」だ。
「再生可能エネルギー由来電力で、使用量と発電量のバランスをいかに取るか。大事なのは発電、蓄電、活用を三位一体として捉えることです」と、JFEエンジニアリング常務執行役員の薄木徹也氏は強調し説明する。「ごみ焼却施設において、廃棄物発電から得られる電気を敷地内の電池交換ステーションに送電し、蓄電池を充電。その蓄電池をEVパッカー(ごみ収集を行う電気自動車)に搭載し、運用しています」。
ポイントとなるのが、同社が開発した電池交換式EVパッカーと電池交換ステーションだ。EVで課題となる充電時間を、電池交換式にすることで解消した。しかし、2t搭載のEVパッカーを動かす蓄電池を、手動で交換するのは現実的ではない。
「通常、パッカー車は数十台で運用されます。自動交換にスピードが求められるため、搭載スペースを車の下側ではなく、ロボットアームで取り出しやすい上部(運転席後方の空間)とし、専用電池パックも開発しました。パッカー車の運転者は、車を所定の位置に停止し電池交換ボタンを押すだけ。約58秒で交換は終了します。順番待ち時間を短縮し、ストレス軽減が図れます」とJFEエンジニアリング担当部長の井上真文氏は話す。
EVパッカーは走行時・収集時のCO₂排出量ゼロ、電池交換を行うことにより1日当たり100km以上走行※可能。地域の脱炭素化とともに、静かな走行を実現することで住民の生活向上にも貢献できる。さらに循環の輪の中に避難所などを組み込むことで、蓄電池を非常用電源として活用し災害時の継続的な電力供給を実現。40kWhの蓄電池でスマホ充電約3000回分を充電できる。
※通常運用時。使用環境、運転方法、整備状況、積載量などの条件によって走行距離は異なるが、交換式を採用したZeroEシステムは通常運用の安定稼働が可能
自治体からの問い合わせも多いという。同社とさいたま市は「E-KIZUNA Project 協定」を基に共同実証実験を実施中。電池交換式EVパッカーを複数台運用し、ディーゼルと遜色ない実運用などを検証している。
ZeroEシステムは、脱炭素社会の実現に向けて企業や業界の垣根を越えて取り組むべきテーマだ。社会的要請に応えるべく、JFEエンジニアリングが発起人となり、2021年に「EVパッカー及び電池交換ステーション普及協議会」が設立された。地方自治体に納入実績のある清掃工場建設プラントメーカー、車両メーカー、架装・電装会社など12社が参画・協賛している同協議会の取り組みについて薄木氏は話す。
「まず、市場動向の把握やニーズの掘り起こし、情報共有、PR活動などを行っていきます。協議会が一丸となって市場を開拓し、普及・拡大をスピーディーに進めるためです。また、技術的規格の共通化も重要なテーマです。例えばバッテリーの大きさや、車に搭載する際のコネクタが同じであれば、利便性が向上します。災害時のバッテリー活用もスムーズです。規格が異なると、普及の足かせになりかねません」
協議会は、業種の異なる企業が交流し新たな価値を生み出す「場」となる。「車や蓄電池は、当社の専門外です。様々な視点から意見をお聞きし、それを反映することでより良いものにしていきたいと思っています。また、リチウムイオン電池メーカー、センサーメーカーなど協議会のメンバーが今後広がることを期待しています」(薄木氏)。
JFEエンジニアリングは、蓄電池と電池交換ステーションの組み合わせにより、幅広い用途で再生可能エネルギー由来電力の活用を目指す。
「太陽光や風力発電でつくった電気を、電池交換ステーションで蓄電池に充電し、それを使ってパッカー車以外の商用車など様々なモビリティーの動力源として利用できます。蓄電池は自動交換のため、容量を大きくすることも可能です。蓄電池や電池交換ステーションは、用途に合わせて形状や機能の変更も柔軟に対応できます。また、乗り物用途の使命を終えた蓄電池の活用も今後のテーマです。協議会の活動はもとより、当社自身も様々な業界とコミュニケーションを積極的に行い、活用シーン拡大を図るとともに、将来的には海外展開も視野に入れています」(薄木氏)
廃棄物発電を最大限活用 CO₂排出量ゼロへ協創を加速 ▶ 詳しくはこちらからJFEエンジニアリング株式会社
https://www.jfe-eng.co.jp/