広告企画 循環経済ビジネス特集

リコー

「髪の毛100分の1」の技術と、30年越しの挑戦
廃プラを約2秒で可視化
リサイクルを身近な存在に

産業系廃プラスチック(廃プラ)は、交ぜればゴミ、分ければ資源。循環型社会実現に向け、リコーはプラスチックの種類を可視化する「樹脂判別ハンディセンサー」を開発した。目指す先は、排出企業と中間処理業者、再生材製品メーカーをつなぐプラットフォームの構築による、クローズドリサイクルの実現だ。

樹脂判別ハンディセンサー

日本の廃プラ総排出量は800万tを超える。再資源化率は25%以下、サーマルリカバリー(熱回収)を含め約70%が燃焼される産業活動で生じる廃プラスチック再利用は、環境経営における重要課題だ。しかし、実現は容易ではない。プラスチックは、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など種類が多く、表面を見ただけでは判別が難しい。判別するための機器は存在するが、高額かつ専門知識を要することから、普及に至っていない。廃プラは分別せず、交ぜて捨てられることが多い現状がある。

※出所:プラスチック循環利用協会「2020年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」

「樹脂判別を、いつでも、どこでも、誰にでも」を実現したのが、リコーが開発した樹脂判別ハンディセンサーだ。小型、軽量、無線接続など高い携帯性により様々な現場で扱える。スマートフォンのアプリと連動し操作も簡単だ。ボタンを押すだけで、アプリを通して約2秒で判定結果を画像と音声で知らせてくれる。

シンプルかつコンパクトなデザイン。中身はリコーの光学技術の結晶だ。同社循環型ソリューション開発室開発3グループリーダーの野口英剛氏は、センサーの仕組みを光の動きで説明する。「分光はDVDの裏面が虹色に見えるのと同じ原理です。光の色は、光の波長で決まります。測定物に光を当て、拡散した反射光を凹面回析格子が捉えて波長ごとに分けます(分光)。波長ごとに分けた光を回転するMEMSミラーが反射し、それを光半導体デバイスがキャッチし電気信号に変換して波形化。登録樹脂の波形とマッチングして樹脂判別を行います。ポイントは、ミラーの角度と波長が対応していることです」。

MEMSミラーには、複写機や車載機器で培ったリコーの光学技術が生かされている。1秒間に100回以上角度を変えて波長を捉える。凹面回折格子型の分光器では、波長をキャッチするために多素子の光半導体デバイスが必要となる。これを1つのデバイスで測定可能とした。また、凹面回析格子では分光するために、髪の毛100分の1の精度でノコギリ形状断面の溝を等間隔に形成している。「複写機やプロジェクターのレンズ設計技術や成型技術、ノウハウを応用しています」(野口氏)。

(右)リコー リコー経済社会研究所 主席研究員 遊佐昭紀氏
(中)同社 環境・エネルギー事業センター 循環型ソリューション開発室 室長 釜谷智彦氏
(左)同開発室 開発3グループリーダー 野口英剛氏

リコーの光学技術が生きる
樹脂判別ハンディセンサー

2023年にセンサーをリリース。トライアルを募集すると多くの企業から申し込みがあった。背景には、22年4月のプラ新法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)の施行があった。

トライアルの応募企業に対し、リコーの担当者は現場に出向き、センサーを使って廃プラを可視化し分別してみせた。「一つひとつすべてを測定するわけではありません」と、循環型ソリューション開発室室長の釜谷智彦氏は補足する。「ある程度判別すると、色や手触りでPE、PETなどの見分けがつきます。判別ポイントをまとめた分別マニュアルの作成が重要です」。

■樹脂判別ハンディセンサーの特長片手で持ち運べる携帯性、初心者でも扱えるシンプルな操作性や利便性と、リコーの長年の光学技術の結晶が同居。センサーが収集したデータは様々なデジタルサービスに活用される
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センサーの活用により排出現場においてリサイクルできる単一素材が実際は多いことも分かった。しかし中間処理業者に廃プラを引き取ってもらうためには、一般的に1.5tが必要条件となる。包装プラは紙よりも軽いため、一企業でこの量を集めるのはハードルが高い。リコーは、企業と業者をマッチングするプラットフォーム構築に取り組んでいる。

排出企業、業者、メーカー間で
クローズドリサイクルの実現へ

「センサーを使って分別した廃プラの物量データをクラウドにアップし、近隣複数企業の廃プラをまとめることで、業者が引き取りやすくします。また業者ともデータ共有により引き取る時期などの調整も可能です。さらに再生材製品メーカーもプラットフォームに加わることで、廃プラのクローズドリサイクルを実現します。御殿場のリコー環境事業開発センターで実証実験を行いました。このセンターでは、環境貢献はもとより有価取引を行い、業者もメーカーも利益を得るビジネスモデルを構築しています」(釜谷氏)

■リコーが描くクローズドリサイクル樹脂判別ハンディセンサーで各企業の廃プラ排出データをクラウドに蓄積。一定量を超過したタイミングで業者が回収、リサイクルして各企業に戻す。リコーでは、現場の排出物の可視化プラットフォームを構築することで、1社では実現できないクローズドリサイクルを確立する
※複数の部品メーカーを1台のトラックで集配して回る輸送方式。各社の廃プラ排出が少量の場合でも、まとめて回収可能になる

今後は全国各地で実証実験を進めるとともに、包装材以外のリサイクル素材へも展開していく。

リコーは1994年に、循環型社会実現に向けたコンセプト「コメットサークル™」を制定している。「製品メーカー、販売者の領域だけでなく、上流と下流を含めた製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らす考え方を表現したもので、今も社内に生きています」と、リコー経済社会研究所主席研究員の遊佐昭紀氏は説明する。

製品の使用材料やリサイクル性などの情報を共有するデジタルプロダクトパスポートの取り組みを機会に、コメットサークル™を今後は「デジタルツイン」で実現していく。「その中で樹脂判別ハンディセンサーは、デジタルツインのエッジデバイスとして機能させていきます」(釜谷氏)。

株式会社リコー

https://jp.ricoh.com/

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