多くの創業期を支えてきた
「信頼」が決め手に
― 2019年設立のスタートアップながら、脱炭素化ビジネスをリードする同社の急成長を支えたものとは。
現在の成長につながった理由として、創業期から信頼できるファンドの支援を受けられたことが大きいと感じています。当社が選択したのは、脱炭素化ビジネスのスタートアップの支援に積極的なVC、インキュベイトファンド株式会社※1が運営するベンチャーファンド(インキュベイトファンド4号投資事業有限責任組合※2)です。
もともと起業を決意した際は、自己資本100%でのスタートも視野に入れ、出資受け入れについて情報収集を行っていました。そのなかで巡り合ったご縁が、インキュベイトファンド社の代表パートナーの一人である本間真彦氏との出会いです。あるビジネス関連の講演会で偶然お話をさせていただき、当社のビジネスの構想について説明する機会を得ました。
当社に成長の可能性を感じていただき、すぐに出資の申し出をいただいたことにも驚きましたが、それ以上にスタートアップならではの悩みを理解し、当社に寄りそった様々なアドバイスをくださったことが印象的でした。
インキュベイトファンド社は、企業の創業期の投資や育成に強みを持ち、多くの著名な企業への投資を初期段階から行ってきた実績ある独立系VC。起業からビジネス拡大までの長期的な戦略立案やそのリスクを理解している安心感、そしてスピード感とコミットメントの高さが際立っていたこともあり、信頼できる同社から投資を受ける決断に至りました。
※1創業初期の投資・育成に特化した独立系VC。コンセプトの段階から起業家とキャピタリストが一体となって事業を立ち上げて行く独自の支援スタイルを特徴とする。
※2東京都、民間事業者等が出資し、インキュベイトファンド株式会社が運営する、IT技術を活用したイノベーション創出に向け、リスクが高く資金調達が難しいスタートアップへの投資を目的としたファンド。
ファンドスキーム図

資金だけではなく、
成長に必要な幅広いサポートも
― 立ち上げ期から同ファンドの支援を受けたことは、脱炭素化ビジネスを展開する同社の成長へどんな効果をもたらしたのか。
ビジネスの立ち上げに必要な資金調達はもちろんですが、インキュベイトファンド社が過去400社以上の投資を通じて培ってきた成功事例や採用に関する洞察、ビジネス上のヒントなど、私たちが見逃していた情報やノウハウを得ることができ、まだまだ未開拓な部分が多い脱炭素化ビジネスを展開していく上での大きな力となりました。まさに創業期の資金面での支援元でありながら、最良のビジネスパートナーを得たという感覚です。
重要な事業戦略においても、同社と共に議論を進めながら見出していった、3つの事業の強みを打ち出すことで、競合他社と差別化をはかることができています。具体的には、CO2排出量を可視化するソフトウェアとコンサルティングのワンストップサービス「アスエネ」。国際基準のサーベイシステムで企業のESG(Environment、Social、Governance)状況を簡単に把握できる「アスエネESG」。そして、カーボンクレジット・排出権取引所「Carbon EX」です。特に主力事業「アスエネ」は、国内の多くの企業が未だCO2排出量を可視化する手法を確立していないという現状の課題を解決するソリューションとして、大手企業を中心に多くの引き合いをいただいています。
― 2022年にはシンガポール、2023年にはロサンゼルスに法人を設立したとのこと。海外進出の狙いとは。
脱炭素という大きな取り組みは、当然ながら日本国内だけで完結するものではありません。地球規模でのネットゼロ達成は、当社だけの力では到底不可能です。そのため、当社では100社を超える金融機関や事業会社とのパートナーシップを構築することで、事業展開エリアの拡大を目指しています。海外市場への進出もその取り組みのうちの1つです。実際、世界各国ではZEV※3規制などが進んでいることから、当社サービスへのニーズも年々高まっています。このように世界に視野を広げながら、同時に国内でも地域のカーボンニュートラル推進のため、地銀や中小企業、地方自治体との提携も進めているところです。
※3Zero Emission Vehicle。電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)など、二酸化炭素をはじめとした排出ガスを出さない車両のこと。
企業活動によって発生する温室効果ガス排出量をCO2に換算して見える化

国際基準GHGプロトコルを活用
目指すは日本の
「グリーン・ジャイアント」
― ファンドの支援を得て、大きく成長を遂げる同社。この先の展望は。
当社が設立時から掲げてきたのが、「次世代によりよい世界を」というビジョンです。気候変動という大きな課題をテクノロジーの力で解決していくことが、ビジネスという枠を超え、世界をより良く変えていく当社のミッションだと考えています。目指すのは、脱炭素領域における日本・アジアのリーディングカンパニー、「グリーン・ジャイアント」と呼ばれる存在です。
ではそのために、私たちのようなスタートアップには何が必要となるのか。未来を見据えた戦略や革新的なアイデア、高い技術はもちろん、それ以上に前例がないことへチャレンジする姿勢だと思っています。今回インキュベイトファンド社からの資金支援を受け、同社とのパートナーシップを結んだことも、大きなチャレンジの1つだったと考えています。
実際にファンドの支援を得るという選択を通じて感じたことは、この5年、10年で日本の脱炭素関連のスタートアップのための支援体制は、想像以上に拡充しているということです。「社会を変えたい」「この国の閉塞感を打ち破りたい」。そんな想いを持つ起業家には、チャンスの多い時代です。多くの企業が当社のような成長の機会を得ることで、ここ日本から世界の気候変動問題を変える大きな力を生みだすことを期待しています。
インタビューを終えて
脱炭素化ビジネスにはまだまだ多くの障壁がある。だからこそ高い志を持つスタートアップの成長にとって、経営にまで深く踏み込んだ支援を行うVCがいかに大きな役割を果たすのかを改めて実感した。なお、東京都は、脱炭素化社会の実現に向けた中小企業等の脱炭素化支援策として、ファンドへの出資以外にも「ゼロエミッション実現に向けた経営推進支援事業」「中小企業等における排出量取引創出のためのモデル事業」「私募債を活用した脱炭素化支援」など様々な施策を実施している。脱炭素化への対応は、多くの中小企業にとって、もはや必須とも言える取り組みとなっており、これから脱炭素化の検討を始める方、より一層の取り組み強化を図ろうとする方には検討の価値があるといえるだろう。
中小企業支援「ベンチャーファンド」
IoTやAIなど先端技術を活用したイノベーション創出に向け、リスクが高く民間からの資金調達が難しい
起業初期段階のベンチャーを主な投資対象とし、資金だけでなく経営面など、成長に必要な様々な面から支援する制度。
詳しくはこちらから
東京都産業労働局では、中小企業の「脱炭素化」支援のため、
以下の施策をはじめ、様々な取り組みを実施している。
ゼロエミッション実現に向けた経営推進支援事業
中小企業のゼロエミッションの実現に向けて、脱炭素化などの取り組みの普及啓発から経営戦略の策定、実行までを総合的に支援。
(公財)東京都中小企業振興公社 経営戦略課
03-5822-7232 ![]()
中小企業等における排出量取引創出のためのモデル事業
J-クレジットを活用し、中小企業等のCO2排出削減と排出量取引事例の創出を支援。
専門家派遣によりCO2排出削減計画の目標を達成した場合、設備投資及びクレジットの創出又は購入に係る経費の一部を助成する。
東京都 産業労働局 産業・エネルギー政策部 計画課
03-5320-4799 ![]()
私募債を活用した脱炭素化支援
中小企業等の脱炭素化への取り組みの推進と脱炭素社会の実現に向けた機運醸成のため、東京都が金融機関と連携し、
脱炭素に取り組む中小企業等の私募債を活用した資金調達とPRを支援する。












