企業における生成AIの活用はもはやブームの域を超え、日本国内でも多くの企業・団体がビジネスへの適用を進めている。
そこで、日経ビジネスは2024年12月に「Generative AI Conference」を開催。数々の先進企業による活用事例紹介や、生成AIに力を入れるIT企業による講演などで、生成AIによる経営課題の解決策を探った。
カンファレンスの最後には、目玉となった初開催の「生成AI大賞2024」(Generative AI Japan 主催)について最終審査と表彰式を実施。本レビューでは、基調講演や特別講演を再録するとともに、応募総数139件の頂点を決定する生成AI大賞の結果を紹介する。
日経BP 総合研究所
「生成AI大賞 2024」初代グランプリは名古屋鉄道
「生成AI大賞2024」審査のポイントは生成AI活用時の課題設定、実装の工夫、インパクト、ガバナンス、将来性の5項目。1次審査と2次審査を経て、8組が最終審査に進んだ。
審査委員長を務める一般社団法人Generative AI Japan(GenAI)代表理事で慶應義塾大学医学部の宮田裕章教授は、「最終審査に残った8組は単なる生成AIの技術導入にとどまらず、組織変革や将来を見据えて包括的に取り組んでいるところが素晴らしい」と評価した。
選ばれた8組の中から、千代田区立九段中等教育学校、セブン&アイ・ホールディングス、NECビジネスインテリジェンス、ライオン、タイルライフの5組には優秀賞を贈呈。さらに特別賞に選ばれたのがUbie(ユビー)と弁護士ドットコム。そしてグランプリを獲得したのが名古屋鉄道だった。
Ubieは医療機関向けの業務支援AI サービスを提供する企業。受賞した病院経営支援ソリューションは複数の業務を一元的に処理できるワークフローシステムで、患者の症状から自動で紹介状の作成や、個人情報のマスキング機能を備える。40以上の大学病院に導入しており、退院サマリ作成ユースケースでは42.5%の作成時間効率化を実現した点などが評価された(n=189)。
一方、弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」は、140万件以上の法律相談データから抽出した質問・回答を用いた無料AI法律相談チャットサービスだ。2023年5月の開始以来の利用実績は6万件に達し、その先進性が評価された。
最短5秒で登録が完了する
遺失物管理システムを開発
大賞に選ばれた名古屋鉄道ではDX の一環として生成AIを活用している。その活用レベルを基礎的なAIツールを利用する「ベーシック層」、部門特有の業務にAI を活用する「アドバンス層」、新規ビジネス創出を目指す「エキスパート層」の3レイヤーに分け、約1万人が利用可能なグループ共通AIツールやRAG(検索拡張生成)を構築している。
具体的には写真から最短5秒で情報を登録できる遺失物管理システムを開発し、業務効率を改善や、AIガイドラインを早期に策定して情報セキュリティーと活用促進の両立を図っている。
宮田審査委員長は「ベーシック層からエキスパートまでレベルに応じた活用方法を整備し、柔軟に発展させていく姿勢に感銘を受けた」と講評した。