パーソルワークスイッチコンサルティング
ChatGPT社内活用のブレークスルー
3カ月で利用率70%を実現
大嶋 利生氏
パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社
コンサルティング1部
部長
世界中で急速に普及した生成AIだが、全社的に利用している企業はまだ限定的である。ある調査によると、ChatGPTなど汎用モデルを導入した企業の利用率は20〜30%にとどまる。パーソルワークスイッチコンサルティングの大嶋利生氏は「今後、ChatGPT-4やマルチモーダル、AIエージェントなどの技術はさらに進化する。これらを効果的に活用し、生産性と業務品質の向上につなげることが重要になる」と指摘する。
生成AIの社内浸透に挑戦
成功例やノウハウの共有が効果的
パーソルワークスイッチコンサルティングがChatGPTの導入を決定したのは、Azure OpenAI ServiceでChatGPTが利用可能になった2023年8月のこと。だが、導入初期の週間利用率は30%にとどまっていた。そこで社内における生成AI活用を促進するために、明確な目標とKPIを設定。具体的には、ChatGPTの週間利用率70%と、一人当たり週15回以上の活用を数値目標として掲げた。
「生成AI浸透のカギは、コミュニティマネジメントだ。社内に展開するに当たって、生成AIの知識がないユーザーを想定し『知る→体験する→学ぶ→活用する→定着する』という段階的なステップを明確化して、社員が生成AIに対する理解を徐々に深められるように体制を整えた」(大嶋氏)。
この方針に基づき、導入初期の「知る・体験する」段階では、ハンズオン形式で気軽に試す機会を設けた。続く「学ぶ・活用する」段階では、研修や実践イベントを活用して高度な利用法の習得を促進。これらの取り組みを支えるため、週2回のウェビナーや月2回の実践イベントなどの定期的な学習の場を提供するとともに、社員同士が活用事例を共有しやすい仕組みを整えた。
大嶋氏は「『これなら使えそうだ』という具体的な成功事例を頻繁に紹介すると、『自分もやってみよう』という意欲が高まる。また、各部署に生成AIアンバサダーを配置し、現場での疑問点や活用ノウハウをフォローする体制づくりも効果的だった」と振り返る。
こうした取り組みの結果、わずか3カ月で利用率を30%から70%へ引き上げることに成功し、週15回以上の実使用を定着させた。
RAGでハルシネーションに対策
検索の精度を93%に向上
生成AI導入においてもう1つの課題となるのが、ハルシネーション(事実に基づかない回答の生成)だ。この課題に対し、同社は企業の内部情報をAIの回答に組み込めるRAG(Retrieval Augmented Generation)技術を活用し、Azure OpenAIとUiPathを組み合わせたシステムを構築した。
これにより、社内文書やナレッジを参照したより正確な回答が可能となった。当初は76%だった検索精度を、段階的な改善施策により93%にまで向上。具体的には、ベクトル検索とキーワード検索を組み合わせたハイブリッド検索を採用し検索の網羅性を高めている。また、データを適切な単位に分割(チャンク化)し、WordやExcelなど処理しやすい形式のファイルを優先的に活用することで、データの質を向上させた。
さらにシステムの改善と並行して、想定される問い合わせ内容を詳細に分析し、業務プロセス全体の最適化も進めた。大嶋氏は「データベース、API、ネットワーク、セキュリティなど、幅広い技術要素を組み合わせて、データ活用の効率を高めている。今後はローコードツールの進化により、プログラミング経験のない部門担当者でもRAGシステムを構築できるようになる」と説明する。
現在、パーソルワークスイッチコンサルティングではこれらの取り組みで得られた知見を活かし、生成AI活用の支援サービスを展開している。ChatGPTの導入から社内定着までを一貫支援する「生成AI活用支援サービス」と、RAGの導入と運用体制構築を支援する「ナレッジ支援サービス」の2つだ。大嶋氏は「人の可能性を広げることで、2030年までに100万人のより良い“はたらく機会”を創出するというパーソルグループの価値創造ゴール達成を目指す」と締めくくった。
基調講演を含めたGenerative AI Conferenceの講演動画は
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