Google Cloud
生成AI導入を成功に導くには?
有効なのは3段階のアプローチ
寳野 雄太氏
Google Cloud
テクノロジー部門 兼
事業開発本部 執行役員
生成AI導入のターニングポイントとなった2024年。Google Cloudの寳野雄太氏は「生成AIを『試す』フェーズから『使う』フェーズに移行した年だった」と指摘し、移行を成功させるための3段階のアプローチを説明した。
第1段階の「試験的導入」では、IT部門だけでなくビジネス部門も巻き込んで実証実験をする。スタンドアロン型チャットボットなどの簡単な活用から始めて、生成AIの基本的な機能や特徴を組織全体で理解する。
第2段階となる「使用」では、既存のSaaS(Software as a Service)を利用して生成AIの価値を実感する。「Google ドキュメント」や「Google Workspace」といったAI機能を備えるSaaSを活用すれば、会議の議事録要約や次のアクション抽出などを即座に実行できる。
第3段階の「組み込みでの本格活用」では、業務の差別化が必要な領域において自社独自のAIエージェントを開発する。それが、ビジネスの競争力強化につながると強調する。
とはいえ本格活用段階に入ると複数の課題が浮上する。最も顕著なのは情報源の分散だ。ある調査によると、89%の従業員が6つ以上の情報ソースを使用しているという。寳野氏は「議事録はGoogle ドライブ、ミーティングは別のSaaSというように分散している情報を統合して生成AIで要約するのは容易ではない。さらに、複数のAIエージェントの乱立による使い勝手の悪化や、統合型AIエージェントのアクセス制御ミスによる情報漏洩リスクも懸念材料となっている」と説明する。
課題は分散とハルシネーション
Google流の“解”を用意
そこで寳野氏が提示したのは「Google Agentspace」だ。社内データを基盤としたマルチモーダル検索エージェントで、データの保存場所に依存せず情報を横断的に検索・活用できる。「SharePoint」「Salesforce」「Box」「Slack」などと連携し、ユーザーごとのアクセス権限に基づいて適切な情報を提供する。具体的な機能としては、社内文書の自動要約、プレスリリース作成支援、複雑なタスクの分解やその実行支援などが挙げられる。
もう1つ、生成AIの利用で懸念されるのが誤情報生成(ハルシネーション)である。このリスクを低減するには正確な情報をデータソースとすることが重要で、それを具現化した機能が「Notebook LM」である。これは与えられたソース情報のみに基づいて回答を生成するAIエージェントで、回答時に「ソースIP」として参照元と該当箇所を明示する。「ユーザーは情報の出典を即座に確認でき、回答の信頼性を検証できると寳野氏は説明する。
生成AIがユーザーの“意図”を理解
適切な結果で再検索率を5%低下
講演では生成AI活用企業の事例を紹介。その中の1つホームセンター大手のカインズでは、ECサイトの検索機能の強化を目的にGoogle Cloudの「Vertex AI Search」を導入した。商品特性や使用目的に基づいた検索精度の向上を実現し、再検索率を5%低下させている。
特筆すべきは、カインズのECサイトがユーザーの「意図」を理解して最適な商品を提案できることだ。例えば「潰れたネジ」で検索すると、商品名や説明文に同一の文字列が含まれていなくても、適した工具や関連商品を的確に表示する。これは、生成AIがユーザーの困りごとの解決に適した商品の特性を理解し、適切にマッチングしているためだ。寳野氏は「再検索率の低下は、ユーザーが求める商品により早くたどり着けるようになった証し」と力説する。
最後に、寳野氏は「最終的には自社独自のAIエージェントを組み込むことで競争力を強化できるが、そのためには適切なツールの選定と生成AIへの信頼性確保が重要だ」と締めくくった。
基調講演を含めたGenerative AI Conferenceの講演動画は
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