Generatove AI Conference REVIEW

ベイン・アンド・カンパニー

AI導入は実証から変革へ
成果続出の先進事例に学ぶ

安達 広明氏

安達 広明

ベイン・アンド・カンパニー

パートナー

経営コンサルティング事業を手掛ける米ベイン・アンド・カンパニーは近年、生成AIの活用によるDX(デジタルトランスフォーメーション)支援の比重を高めている。同社の安達広明氏は「2022年よりパートナーシップを組んでいるOpen AIがChatGPTを提供したころから問い合わせが増え、日本でも100社を超える大企業の案件に対応してきた」と語った。

業務フロー刷新で導入効果
幅広い業種で効率を改善

講演では、同社の顧客においてAI導入で成果を上げている多数の事例を紹介した。「当初は生成AIに議事録や稟議書を書かせる一般的な用途が多かったが、最近は特定の部署が業務フローを刷新してAIを徹底的に使う例が増えてきている」(安達氏)。

マーケティング/EC事業の事例として取り上げた大手消費財メーカーでは、メール配信によるデジタルマーケティングで生成AIを活用。メールの文面や添付画像などを自動生成することで、ABテストのPDCAサイクルを従来の1~2カ月から1週間に短縮し、メール開封率は43%、コンバージョン率は70%も向上させた。

また、食品ECサイトの企業では、レシピ提案のチャットボットを開発し、導入後10日間で10万人が活用している。「レシピ内の食材をECサイトからピックアップし、配送方法の指定から購入まで一貫して対応できる」(安達氏)。

製造業では、部品調達の見積もりに生成AIを活用して、原価企画業務の80%を自動化した事例を紹介した。過去に調達した類似の部品を高精度で検索し、見積もり金額を自動解析することで「部品の原価率を2%改善した」(安達氏)。

エネルギーインフラ企業では、現地設備の写真を生成AIで解析し、故障個所の特定からマニュアルとの照合まで自動化したことで、エンジニアの対応スピードの個人差を解消した。エンジニアが携帯電話だけで高度な診断ができ、全社の故障対応能力が17%向上した。

ヘルスケア企業は、申請に必要なテスト結果や社内検証結果を生成AIに入力して、書式に沿った書類を自動作成するシステムを開発。新薬の承認申請書類の作成工数を40%削減した。

金融業では、富裕層向け投資案件の営業部門が、顧客提案向けのストーリーを生成AI活用で改善し、顧客訪問数を40%増やした。「当初は実用的でないストーリーが出力されていたため浸透率は低かったが、営業担当者の思考プロセスを生成AIのプロンプトフローに実装することで実用レベルまで到達した」(安達氏)。

全社的な合意形成がカギ
経営と技術が連携を

ベイン・アンド・カンパニー社内でも生成AIを積極的に活用している。ノーコードで複数のプロンプトを組み合わせて特定業務に適用できる「カスタムGPT」を現場の社員が使いこなし、100以上のアプリケーションを運用している。「コンサルティング業務における調査分析では、市場調査に関する質問を日本語で入力すると、関連キーワードを自動生成してデータベースを検索する。ソースごとに信ぴょう性スコアとともにリストアップするというツールを開発した」(安達氏)。

同社によると、ブレークスルーを達成できた企業には共通点がある。「最も大切なのは、経営戦略で達成したい目標を踏まえた生成AIの活用方針について、全社的に合意形成すること。前提となるストーリーが共有されていると議論がスムースに進む」(安達氏)。

そのためには、ビジネスとデジタル技術の適切な協業を担保している組織体制の構築が重要になる。「実際にAI導入を進めていくと、利用が本格化する段階でIT管理者の負担が増えるため、管理職のAI関連業務の優先度を上げる配慮も必要となる」と、安達氏は全社体制の大切さを強調した。

講演動画

基調講演を含めたGenerative AI Conferenceの講演動画は
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