スキルベース組織が注目される背景について、EYストラテジー・アンド・コンサルティングの水野昭徳氏は「欧米においてもジョブ型は限界にきており、ジョブベースからスキルベースへの流れは着実に始まっています」と話す。固定化されたジョブは変化への対応が難しいのに対し、スキルベースのアプローチは社内リソースの適切な配置により柔軟性を高められる。
また、AIやHRといったテクノロジーの進化により、スキルベースのマッチングやスキルギャップ分析などが可能になったことや、人材獲得競争の激化で仕事の細分化や分業化が必須になってきたことが背景にあるという。
「事業ポートフォリオの変化に対応する人材ポートフォリオの構築にあたり、テクノロジーの進化でスキルを適切に管理していくことが可能になりました」とジャパン・リスキリング・イニシアチブの後藤宗明氏は話す。また、AIがスキルの可視化や評価を後押しすることで、スキルベース組織の動きが加速している。
スキルベース組織における人材マネジメントでは、要員計画、採用、異動・配置、育成・開発、評価・報酬、モニタリングといった各コンポーネントが、スキルを軸に再構築される。これらを支えるのが「スキルデータプラットフォーム」だ。「社内業務で必要なスキルと従業員の保有スキルを可視化し、活用します。スキルベース組織においては、日々の仕事をスキル中心の従業員体験へと変えるエンプロイージャーニーの構築が運用の成否を分けます」と水野氏は説明する。
日本企業もスキルベースの
人材マネジメントに取り組む
欧米の動向について、後藤氏は次のように説明する。「従業員の職務経歴書の情報からAIがスキルに分解してスキルマップを作ったり、採用・育成だけでなく、報酬においてもスキルが反映されたりしています」
日本でも多くの企業が、スキルを起点にした人材マネジメントに取り組み始めている。例えばある電機メーカーでは、ポジションの要件をスキルで定義し、従業員の保有スキルを定期的に登録、レビューすることにより、スキルベースでポジションと従業員をマッチングしている。こうした日本の先進企業の取り組み事例は、近刊の『スキルベース組織の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)に詳しく紹介されているという。
そして、スキルベース人材マネジメントの取り組みに際しては、「活用のハードルを下げ、小さくてもとにかく始めること」(水野氏)だという。スピード重視で取り組み、徐々に精度を上げていくことが肝要だと水野氏は強調した。






