パーパスの自分ごと化について、グロービスの小島和也氏は「戦略の最上位概念である」と強調する。同時に、「日常業務の中で自分ごととしてつながっていること、組織と個人のパーパスの共通点を見いだし、より力を出せる状態にできるかが重要です」(小島氏)と話す。
そして、自分ごと化に注力してきたフジッコの取り組みを紹介。同社は健康経営、健康提供など5つの健康をパーパスに掲げ、その浸透に向けて立ち上げた「パーパス・ビジョン実現プロジェクト」では、グロービスも企画・設計、ファシリテーション等において協業した経緯がある。
フジッコでは経営理念やパーパスを全従業員に浸透させるため、キーパーソンとして重視したのが、経営陣と現場との中間にいる部長・課長などの幹部・管理職層だ。「この層が腹落ちし、納得感を持って自分の言葉でパーパスを語り、また部下の仕事をパーパスに紐付け意味づけしてもらう狙いがあります」とフジッコの寺嶋浩美氏は説明する。
継続的な取り組みで重要なのは
経営陣が揺るがないこと
プロジェクト活動では、役員との対話や自部門の存在意義の討議、パーパスに基づいた部門方針の立案のほか、階層別研修やキャリア開発研修、アワードなどを通じ、あらゆる階層の従業員が自分の仕事とパーパスの結び付きを考える機会をつくる取り組みを継続的に行っている。
小島氏は、対話におけるポイントを次のように解説する。まず、組織のパーパスと個人のパーパスのつながりが勝手に実現することはなく、経営側の強い思いを起点に取り組むこと。そして対話においては経営陣対メンバーではなく、いかに各自がパーパスと向き合えるかを大切にすることなどである。
そして、寺嶋氏によれば、客観性を持ったファシリテーターの存在も有効だという。「パーパス実現に向けた変革や環境整備の過程は、一人ひとりに向き合うことでもあります。個々の意向や価値観を理解しながら進めていくことが重要です」(寺嶋氏)
ただ、継続的に取り組む上での難所もある。大切なことはすぐに効果が出なくても、まだ伝えきれていないと受け止め、経営陣が揺るがないことが重要だという。
今後の取り組みについて、寺嶋氏は次のように強調する。「私たちはお客様の健康に寄り添う存在として、健康長寿につながる食品の提供やサービスづくりがもっとできるように、HR(人的資源)の領域から改革を進めていきます」。人生100年時代を見据えたフジッコの改革は続く。






