環境変化の激しい時代、事業ポートフォリオ変革に取り組む企業が増えている。事業ポートフォリオ変革を推進するため、その活動を下支えするカルチャー変革を実行する企業も多い。
アビームコンサルティングの久保田勇輝氏は「事業ポートフォリオ変革とカルチャー変革、これらを一体としてとらえる必要があります。また、カルチャー変革のためには、“変革の土台”と“変革の浸透”が必要です」と説明する。
カルチャー変革の土台としては、目指すカルチャーの高解像度化、現状とのギャップとその原因をモニタリングする仕組みが重要だ。その仕組みを用いて、改善を繰り返す。変革の浸透は、いわばソフト面のアプローチ。まず、経営層が変革を自分ごと化し、一枚岩になって取り組む。そして、経営層→マネジメント層→スタッフ層という各階層で変革への共感や納得感を醸成する必要がある。
アビームコンサルティングは、こうしたアプローチにより様々な企業の事業ポートフォリオ/カルチャー変革をサポートしてきた。
その一例が、自動車部品メーカーの愛三工業である。愛三工業は内燃機関系から電動系へと、事業ポートフォリオをシフトしようとしている。この変革を推進するために、新しいカルチャーづくりにも取り組む。経営層は本気で社員と対話し、「みんなで会社を変えていこう」といったメッセージを積極的に発信。1年後、エンゲージメントスコアは大きく向上し、事業ポートフォリオ変革も着実に前進しつつある。
大胆な変革の背景にあった危機感
次なる成長ドライバーとは
NECは事業ポートフォリオ変革を進めてきた大企業の1つである。過去十数年の間に、同社はPCや携帯電話などプロダクト型の事業からソリューション型(社会価値創造型企業)へと変貌を遂げた。この事業ポートフォリオ変革は、カルチャー変革と密接に関係している。
NECの堀川大介氏はこう説明する。「転機となったのは、2018年にスタートしたカルチャー変革です。社員一人ひとりの力を最大限に引き出すために、人・組織への投資を強化。グローバルでの勝ち方を知る外部人材を主要なポジションに登用するなど、人材の多様性を一気に推進しました」
NECの売上高は、2000年代から2010年代半ばにかけて下降を続けた。経営層はもちろん、現場レベルでも危機意識が高まっていた。
「2018年のエンゲージメントサーベイの結果は、かなりの低いスコアでした。危機感を背景に、人事制度改革やコミュニケーション改革を実行。さらに2025中期経営計画では、エンゲージメントスコア50%を目標に掲げ、経営層によるタウンホールミーティングの実施や、ジョブ型人材マネジメントの本格展開など、エンゲージメントスコアとの相関の高い領域での取り組みに注力しています」と堀川氏は振り返る。
その結果、2018年と比べると、直近のエンゲージメントスコアは2倍以上に上昇。営業利益と株価はほぼ3倍になった。現在、堀川氏は次の成長ドライバーについて考えているという。
「これまでは危機感をドライバーとして人・カルチャーの変革を推進してきましたが、これからNECがさらに成長していくためには、新たなドライバーが必要です。ワクワク感のある、NECらしい変革のビジョンを示すこと、さらに社員がそのビジョンに共感し、NECでキャリアを積み、成長していきたいというイメージを描けることが大切です」と堀川氏。新たな人・カルチャーの変革ビジョンは既に検討を開始しており、アビームコンサルティングも参画していく予定だ。






