自動車業界はいま「100年に1度」の大変革期にあるといわれる。激化するグローバル競争を勝ち抜くためには、あらゆる業務の改革や効率化を積み重ねる必要がある。もちろん、どのような時期にもこうした取り組みは重要だ。トヨタ自動車が間接業務のシェアードサービス化に向けて動いたのは2000年代前半のことである。2002年、トヨタ自動車の人事部厚生室からの分社化という形で、トヨタパーソナルサポートが設立された。
トヨタパーソナルサポートで社長を務める河合隆成氏は「会社設立から10年以上、トヨタ自動車から受託した業務の比率が全体の9割前後を占めていました」と語る。グループシェアードの効果を高めるためには、グループ各社からの受託を増やす必要がある。そこで、2017年にトヨタグループ各社(当時19社)を対象に、シェアードプロジェクトがスタートする。
「プロジェクト対象にしたのは人事給与業務です。この業務について各社は固有の制度を持ち、独自システムを運用していました。ただし、重複する部分が多く、シェアード化による効果が大きいと考えました」と河合氏は言う。
しかし、プロジェクトの前途は多難だった。各社の業務を集約して効率化するという総論には賛成でも、各社が慣れ親しんだ個々の業務の共通化という各論になると賛同が得られないという状態が続いた。
トヨタパーソナルサポート 経営企画部の栗山 輝氏は、「グループ各社の人事部門には、プロジェクトの必要性などを丁寧に粘り強く説明しました。また、各社の人事制度とその運用を尊重する姿勢を心がけました」と振り返る。
拡大するグループシェアード
工数とシステム投資額は約3割削減
プロジェクトをリードしたのはトヨタ自動車とグループの中核2社、そしてトヨタパーソナルサポートである。これらの各社からプロジェクトメンバーを募り、システム選定や業務標準化について徹底的に議論した。また、各社システムの老朽化による更新の必要性、人事課題などもヒアリングし、グループシェアードの効果などを検討したという。こうした地道な取り組みが実を結び、現在3社がグループシェアードに参加している。現在、4社目の導入プロセスが進行中だ。
「選定したシステムは電通総研のPOSITIVEです。トヨタ自動車単体で導入されており、トヨタグループ全体の従業員30万人という規模でも対応できると判断しました。各社社員の給与計算なども扱うことから、信頼性を最も重視しました」(栗山氏)
POSITIVE選定の決め手は、確実な処理能力と信頼性の高さだ。また、企業によってはすべての業務をグループ標準に合わせるのではなく、一部の独自業務を維持するケースがあるという。そこで、アドオン開発に柔軟に対応できる点も高く評価したそうだ。ExcelなどのOfficeソフトとの親和性も重視したポイントの1つだ。
グループシェアードの導入効果は如実に表れている。導入3社合計で工数は約3割削減された。また、トータルのシステム投資額も約3割の削減である。
「当社の業務におけるトヨタ自動車以外のグループ企業の比率は着実に高まっています。人材不足の深刻化もあり、グループ内での当社への期待の高まりを実感しています」と河合氏。最近は、グループ以外の企業からの問い合わせも増えたようだ。将来に向けて、トヨタパーソナルサポートは、グループ内外の企業に広くサービスを提供していきたいと考えている。






