左から小木曽 聡氏、カール・デッペン氏、ヘタル・ラリギ氏

(中央)代表取締役社長 CEO カール・デッペン氏
(右)代表取締役 財務・経理本部長 CFO ヘタル・ラリギ氏
(左)取締役 製品・開発・調達本部長 CTO 小木曽 聡氏

日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合

ARCHIONで「商用車の未来をともに作る」日本とアジアのリーディングカンパニーへ

日野自動車と三菱ふそうトラック・バス。日本とアジアで確固たる地位を築く2大商用車メーカーが4月に経営統合を果たし、持株会社「ARCHION(アーチオン)」の下で新たなスタートを切った。この統合に至った経緯、そして「人と物の移動をつなぎ、ともに豊かな未来を創る」というARCHIONの“想い”とは――。キーパーソンとなる同社のトップ3人に聞いた。

世界の競合と戦える力を手に入れ、
社会課題の解決に貢献する

「企業と社会をつなぐアーチ(ARCH)」と「未来をつくるイーオン(EON=永続する時間)」。日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの経営統合によって誕生した持株会社は、この2つを掛け合わせてARCHIONと名付けられた。

ともに日本とアジアで培ってきた両社が商用車開発の技術と情熱を融合させ、「未来の商用モビリティを創出する」という強い想いを込めたネーミングだ。

「両社は日本とアジアにおける長い歴史と伝統、強固なブランド力や顧客基盤を持っています。その強みを持ち寄り、今後ますます激しさを増す次世代商用モビリティの開発競争に、勝ち抜いていける体制を整えることが経営統合の狙いです」

そう語るのは、3月まで三菱ふそうトラック・バスの代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)を務め、このたびARCHIONの代表取締役社長 CEOに就任したカール・デッペン氏である。

コネクテッド・自動運転・電動化など、いわゆるCASE技術によるモビリティの進化は、乗用車のみならず、商用車の領域でも加速している。

とくに脱炭素領域では、世界の自動車CO2排出量の約4割を占める商用車の環境負荷低減が重要なテーマとなっており、世界中の商用車メーカーが新たな技術開発にしのぎを削っている。

3月まで日野自動車の代表取締役社長を務め、ARCHIONの取締役 製品・開発・調達本部長 CTO(最高技術責任者)に就任した小木曽 聡氏は、「これまでも、両社はそれぞれ独自の技術開発に取り組み、多くの次世代商用モビリティを世に送り出してきました。しかし、日本の商用車市場は世界と比べると規模が小さく、各メーカーが単独で必要な開発投資を行うことにはおのずと限界があります。今回の統合の背景には、世界の競合と戦えるスケールメリットを享受し、その力で脱炭素化やトラックドライバー不足といった社会課題の解決に貢献したいという強い想いがあります」と話す。

ダイムラートラックと
トヨタ自動車が運営を支援

2026年4月1日に事業開始した持株会社ARCHIONは、日野自動車、三菱ふそうトラック・バスを事業会社として傘下に置く。両事業会社のブランドと車種ラインアップは従来のまま継続し、それぞれが顧客に提供するサービスも、これまで通りに継続される。一方で、スケールメリットを活用できる開発・調達・生産などは、ARCHIONの下で運営を一体化する。

その運営は、三菱ふそうバス・トラックの筆頭株主であるドイツのダイムラートラックと、日野自動車の筆頭株主であるトヨタ自動車も支援する。ARCHIONは事業開始と同時に東証プライム市場に株式上場したが、上場後もダイムラートラックとトヨタ自動車が株式を25%ずつ保有する方針であり、経営面や技術面での力強いサポートが期待できる。

「そもそもARCHIONが誕生するに至った経緯は、2022年初めにダイムラートラックの前CEOであるマーティン・ダウム氏とトヨタ自動車社長(現会長)の豊田章男氏が、商用車の未来について深く意見を交わし、価値観を共有したことにさかのぼります。その後、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスを含む4社の間で本格的な議論が進み、3年余りの周到な準備を経て経営統合に至ったのです」とデッペン氏は説明する。

綿密かつ熱のこもった4社の話し合いの中で、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが対等な立場で統合し、開発・調達・生産を一体運営すること、技術投資の効率化と事業基盤の強化を図ることなどの方向性が固まったという。2026年2月26日には公正取引委員会による独占禁止法上の審査も完了。統合計画が正式に承認されて、ARCHIONが事業開始したのである。

ARCHION事業図

日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは、持株会社ARCHION傘下の事業会社となり、ダイムラートラックとトヨタ自動車は持分比率はそれぞれ25%ずつを目指す。2つの事業会社は技術開発や事業基盤の強化で連携し、株主である2社はCASEを主とした技術強化や普及を支援する

商用車の未来をともに作り
ステークホルダーに貢献する

2つの商用車ブランドの持株会社となったARCHIONには、三菱ふそうトラック・バスからデッペン氏のほかに、3月まで代表取締役・CFO(最高財務責任者)を務めたヘタル・ラリギ氏が代表取締役 財務・経理本部長 CFOに就任。両社の強みを知り尽くしたCEOのデッペン氏、CFOのラリギ氏、CTOの小木曽氏のトップ3人が一体となって、シナジーの創出と提供価値の最大化を図っていく。

「2つの強固な商用車ブランドの融合によって、新しい価値が生み出されようとしていることにワクワクしています。その価値が最大化できるように、正しい投資を積極的に行っていきたい。スケールメリットを生かし、コストを抑えるだけでなく、財務責任者としていかに成長投資を決断できるかが問われていると自認しています」と、ラリギ氏は語る。

一方、新体制における4社の技術面の協業や、技術開発のロードマップ作りなどを担う小木曽氏は、千載一遇とも言えるこの統合が実現することで、かつてないほどの大きなスケールで商用車のユーザーが抱える問題や社会課題の解決に貢献できる体制が整うと捉えている。

「かつては競合関係にあった日野自動車と三菱ふそうトラック・バスですが、次世代商用モビリティの開発によって、お客様や社会の課題解決に貢献するという目指してきた方向性は共通しています。同じベクトルに向かって、より大きな力が発揮できるようになったことに喜びを感じています」(小木曽氏)

ARCHIONは、この3人の取締役のほか、4人の独立社外取締役を含む計9人の取締役会を設置。強固で透明性の高いガバナンス体制を構築している。

デッペン氏は、「3年余りの統合準備を経て、両社の結び付きはマネジメントレベル、現場レベルの双方で非常に緊密になっています。『人と物の移動をつなぎ、ともに豊かな未来を創ります』というミッションに一緒になって取り組み、日本とアジアにおける商用車のリーディングカンパニーを目指します」と力強く抱負を語った。

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