カール・デッペン氏

ARCHION 代表取締役社長 CEO カール・デッペン 氏

お客様・社会・ステークホルダーをつなぐ“永遠の架け橋“となる

日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの技術とパッションが融合 ARCHIONが作る「商用車の未来」とは

日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合して誕生した「ARCHION(アーチオン)」。両社の株主であったダイムラートラックとトヨタ自動車が25%ずつ出資し、4社の緊密な連携によって、商用車の新たな未来を作り出そうとしている。世界の競合との熾烈な開発競争に勝ち抜き、顧客や社会の要請に応えようとする同社の決意について、代表取締役社長 CEOのカール・デッペン氏に聞いた。

4社の力を結集して
CASEに対応する商用車を開発

1917年に初の純国産トラックを製造して以来、社会の大量輸送ニーズに応え、日本経済の発展を支えてきた日野自動車と、90年以上の歴史を誇る「FUSO」ブランドを軸に世界約170市場で商用車を販売する三菱ふそうトラック・バス。

日本のみならず、世界中でその名を知られた2つの商用車メーカーが2026年4月1日に経営統合を果たし、持株会社ARCHIONが誕生した。

日野自動車はトヨタ自動車グループの一員として、三菱ふそうトラック・バスは、世界最大級の商用車メーカーであるドイツのダイムラートラックのグループ企業として事業を展開してきたが、経営統合後は、それぞれARCHION傘下の事業会社となった。

「グループ会社として1つになりましたが、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが培ってきたブランドや、車種ラインアップ、販売・サービス体制などは全く変わりません。長年ご愛顧いただいているお客様の信頼を裏切ることがないように、それぞれのブランドならではの製品とサービスをお届けします」

このように語るのは、3月まで三菱ふそうトラック・バスの代表取締役社長 兼 CEOを務め、4月1日にARCHIONの代表取締役社長 CEOに就任したカール・デッペン氏である。

一方で、2つの会社が1つになったことによるスケールメリットや、コスト削減などのシナジー効果は計り知れない。

中でも、圧倒的な効果が期待できるのが、開発力の強化である。

「日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは、どちらも商用車の電動化や自動運転などの技術開発に積極的に取り組んできました。自動運転技術に関しては、両社ともに国の承認を受けて公道における実証実験を行っています。互いに研究・開発を進めてきた、それらの技術の知見を融合させることで、CASEに対応した次世代商用モビリティの開発に拍車が掛かることを期待しています」(デッペン氏)

今、世界中の商用車メーカーは、コネクテッド・自動運転・電動化など、いわゆるCASE技術の開発でしのぎを削っている。その開発には、巨額の投資や膨大な知見の蓄積が要求されるため、単独のメーカーで挑むのにはおのずと限界がある。日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは、世界の競合メーカーと互角以上に戦える開発力を得るために、経営統合という道を選んだのだ。

ARCHIONが今後、次世代商用モビリティの開発を進める上で頼もしい支えとなるのが、2つの株主の存在である。

「ARCHIONの株主であるダイムラートラックとトヨタ自動車は、どちらも電動化や燃料電池システム、自動運転システムなどに関する卓越した技術を持っており、その豊富な知見を採り入れることで、開発を加速させることができます。我々ARCHIONと2つの株主は、『商用車の未来をともに作り、ステークホルダーの皆さまに貢献する』という想いを共有しており、4社が緊密に連携しながら次世代商用モビリティの開発に挑んでいく体制が整っているのです」とデッペン氏は説明する。

言うまでもなく、ダイムラートラックとトヨタ自動車による支援は、製品開発のみならず、生産、調達、ガバナンスなど、多方面にわたる。すべての面でグループ力を最大化し、中長期的な企業価値向上に向けて確かな基盤を築き上げることができるのだ。

また、4社が緊密に連携すれば、時代とともに刻一刻と変化する次世代商用モビリティのトレンドや社会情勢に、柔軟に対応できる力も生まれる。

「変化が目まぐるしい市場環境においては、いかに柔軟に、スピード感を持って対応できる能力を持てるかが重要です。サプライチェーンの早急な見直しや財務上の工面など、1社だけでは対応しにくい状況でも、4社が緊密に連携すればフレキシブルに対応できるようになります」(デッペン氏)

学び合い、尊重し合う意識が
成長する力となり、
1+1が2を上回る統合効果を生む

「ARCHION」という社名には、そうした4社のつながりを、未来永劫継続していくという強い想いが宿っている。

この新社名は、「架け橋」や「つながり」を象徴する「ARCH(アーチ)」と、「永続する時間」「未来永劫」を意味する「EON(イーオン)」を組み合わせたもの。日野自動車と三菱ふそうトラック・バスという2つのブランド、4つの会社、そして、お客様や社会、ステークホルダーをつなぐ「永遠の架け橋」になりたいというメッセージが込められているのだ。

新社名の制定に当たり、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは、会社の垣根を越えて社内公募を行った。この“共同作業”が、両社の社員同士の関係性を深め、「商用車の未来をともに作り上げていこう」という意識を統合させる大きなきっかけになったという。

「統合に向けた両社の話し合いは2022年に始まり、これまでの3年余りの間、我々経営陣はそれぞれの社員に、統合の意義や会社の未来について語り続け、意見に耳を傾けてきました。社員同士のコミュニケーションも経営が主体となって促し、一体感を醸成させたことが、円滑な経営統合につながったのではないかと思います」(デッペン氏)

異なるカルチャーを持つ社員同士が交わることで、学び合いや、多様性を尊重する意識が生まれ、「ともに成長していこう」という文化が育まれてきた。そうした化学反応こそが、「経営統合の何よりの成果」だとデッペン氏は話す。

「1+1が2を上回るような効果が表れることを期待しています。ともに日本とアジアを中心に事業展開してきた強みを生かしつつ、異なる文化を融合させることで、さらなる競争力を生み出したい」(デッペン氏)

1+1が2以上となるような統合効果

日野自動車と三菱ふそうトラック・バス、異なるカルチャーを持つ2つの商用車メーカーが1つになる過程で、互いの社員同士による「学び合い」や「多様性の尊重」といった意識が生まれ、「成長志向」がもたらされている。デッペン氏は「1+1が2以上となるような統合効果」を期待しているという

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