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「個別学習の重視とAIの活用が必須に」
ベトナムFPTが自ら運営する大学で実践する最新の人材育成

FPT大学はベトナムICTのリーディングカンパニーであるFPTコーポレーションが2006年に設立した私立大学だ。過去20年の間に、多くのIT・デジタル人材を育成し、ベトナムの産業や日本向けのオフショア開発を支えてきた。同校の人材育成方針や今後の展開などについて、レ・チュオン・トゥン理事会会長が語った。
FPT大学 理事会会長 レ・チュオン・トゥン 氏
FPT大学
理事会会長
レ・チュオン・トゥン 氏

 トゥン氏は、大学教育をはじめとした高等教育について「21世紀に入ってから3つのトレンドに沿って発展してきた」と指摘した。

 1つ目は大衆化だ。「サービス産業・知識産業における人材需要増を背景に、それまでのエリート教育から、多数に対する教育に広がり、ごく短い期間に世界の学生数は倍増した」(トゥン氏)。

 2つ目はグローバル化だ。トゥン氏は「従来から必要とされてきた知識・技能に加え、グローバル資質、すなわち異なる環境で働く準備ができていることが極めて重要になっている」とし、「大学間での学位の互換、知識の互換が重要になり、大学が他国にキャンパスを開設することも多くなっている」と続けた。

 3つ目は情報技術の発展だ。「特に、近年のデジタル転換とAIの発展は、高等教育を急速に変えてきた」(トゥン氏)。

 このように21世紀に入って高等教育が変化していくなかで、FPT大学は2006年に設立された。トゥン氏はFPT大学のビジョンを「インテリジェントな教育技術に基づき、グローバル化した企業と緊密に結びつき、多数の人々に奉仕する方向へ向かうこと」と説明した。

 インテリジェントな教育技術とは、例えば生徒の自己学習をマネジメントすることだ。「講義を受けて学び、その知識を生涯使い続ける、ということではなく、常に自己学習して知識をアップデートできるようになってもらうことを目指している」(トゥン氏)。

3つのトレンドに対応した取り組みを実施

 FPT大学は現在、ハノイ、ダナン、ザライ、ホーチミン、カントーの5都市にキャンパスを持っている。キャンパスを増やしてきた理由についてトゥン氏は「産業に直接奉仕し、社会に直接奉仕するという観点から、学校システムを地域へ広げている」と語った。

 これは1つ目の大衆化のトレンドに沿う取り組みだ。在籍する学生は合計5万人で「学生数はベトナムの大学でトップ5に入っている」(トゥン氏)。

FPT大学の概況

FPT大学の概況

 FPT大学特有の取り組みとしてトゥン氏が紹介したのが外国語教育だ。英語を大学の使用言語としていることに加え、「技術系専攻の全ての学生に対し、第二言語として日本語を学ぶことを求めている」(トゥン氏)。FPTグループが日本市場でビジネスを活発に展開していることが、日本語教育を重視する理由だ。

 ほかにも、ベトナムの民族音楽や、ボビナムというベトナムの総合武術の教育を必修としており、「在学中に1年間企業で研修したり、起業について学んだりすることも必修だ」(トゥン氏)。

 2つ目のグローバル化のトレンドに対応した取り組みも多数ある。1つは、ベトナムの他の大学が英語を卒業要件としていることに対し、FPT大学は英語を入学要件としていることだ。学生は英語能力を基盤として、授業や試験を英語で受ける。

 国際交流も重視しており、2025年には2000人を超える海外の学生がFPT大学の短期コースに参加した。FPT大学の学生が海外で学ぶ機会を持つための取り組みにも注力しており、「在学中に全員が短期間でも海外で学ぶ機会を持てることを目標にしている」(トゥン氏)。

 英国、オーストラリア、台湾、韓国など海外大学とベトナム国内で国際連携プログラムを実施し、FPT大学が運営する取り組みも進めているという。

 3つ目の情報技術の発展のトレンドに沿う取り組みとしては、大学での授業とオンライン学習を組み合わせると共に、「各科目について学習を個別化しており、希望に応じて速く学ぶかゆっくり学ぶか、通常の規模で学ぶかより広い規模で学ぶか、深く学ぶか浅く学ぶか、といったことを選択できる」(トゥン氏)。

FPT大学の個別学習「3×3モデル」

FPT大学の個別学習「3×3モデル」

FPT大学の取り組みをベトナム政府も推奨

 トゥン氏は「この20年間でFPT大学が実施してきた取り組みは、国家の政策形成にも反映されてきた」と強調した。具体的には2025年の高等教育の根本的改革に関する決議や、2010年の高等教育法とその改正法に盛り込まれた大学の自治などがそれに当たるという。

 大学在学中の1学期の間に企業で実習を体験することも、FPT大学が開講当初から実施してきたことを、ベトナム政府が特定の大学に求めるものとして参考にしたという。

 トゥン氏は、会場にAIによる自動通訳が表示されていることを指し、「このようにAIが人を完全に代替しつつある分野が増えている。当然、学校教育も変わらなくてはならない」と話した。

 今後予想される大学の変化として、「学位と教育や訓練が、従来のように強く結び付いたものではなくなるだろう」(トゥン氏)。フィリピン政府が2025年に規定を出した、「大学に通わなくても高校卒業と5年の職務経験があれば、いくつかの試験を経て大学の学位を取得できる」という取り組みを紹介し、「非常に先進的だ」と評価した。

 もう1つの変化としてトゥン氏は、「学習者がより自分に合った選択をできるようにし、資格と単位の互換を高める必要がある」とし、「そうならないと、大学教育は現在の社会の変化に追い付けなくなる」と強調した。

大学の将来像「U2025」

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