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高砂熱学工業

半導体工場の大規模化に対応、納入実績を堅調に拡大

製造技術の進化に呼応し
空調で最適な生産環境を支える

半導体業界のトレンド変化は速い。微細化・積層化、工場の大規模化などに伴い、生産環境に求められる条件も高度化している。高砂熱学工業の旋回流誘引型成層空調システム「TCR-SWIT®」は、装置の発熱を有効活用し、高い省エネルギー性を実現。時代のニーズに応え、導入面積の拡大が進んでいる。

Rapidusへの納入も含め、導入面積は近年、飛躍的に拡大を続けている

市場の変化を捉え、新たな価値へとつなげる。高砂熱学工業の「TCR-SWIT®」は、半導体工場向け空調システムとして存在感を高めてきた。

「TCR-SWIT®は当社試算で、混合型と比べて空調の消費エネルギー40%削減、それに伴いCO₂排出量約50%削減を実現。工場の脱炭素化、コスト削減に貢献しています」と同社エンジニアリング事業部執行役員事業部長の山田昌平氏は言う。

生成AIの普及も背景に、半導体市場は成長を続けている。需要が高まるクリーンルームでは、求められる要件が変わってきたと山田氏は指摘する。

「CO₂削減や省エネルギーに加え、効率的な空調設計も求められています。半導体の微細化・積層化が進む中、クリーンな環境構築と同時に装置の発熱を空調で効率よく処理するニーズが高まっています。工場ではウエハーを密閉型容器に格納し、製造装置に自動搬送する手法が主流化してきました。その結果、空調は要望される清浄度を維持しつつも、発熱処理に力点を置く傾向は今後も強くなると思います」

(左)高砂熱学工業 エンジニアリング事業部 営業部営業2課長 秋岡雄太 氏
(中)同社 エンジニアリング事業部 執行役員 事業部長 山田昌平 氏
(右)同エンジニアリング事業部 設計部設計2課 担当課長 渡部香織 氏

従来のクリーンルーム空調方式は天井から冷気を吹き出し、空気を混ぜ合わせる「混合型」と呼ばれる方式が主流であったが、冷気は下降し暖気は上昇する自然原理を使う「成層型」空調方式であるTCR-SWIT®の優位性(図1)について山田氏は言及する。

前工程も後工程も進化
発熱処理が重要課題に

「成層型空調では、熱上昇気流を上手に活用することが重要です。TCR-SWIT®は当社独自の吹き出し口が生み出す渦状の旋回流により、冷気が周囲の空気を巻き込み室内に行きわたります。必要な領域のみを重点的に空調できるため、室内全体を空調する混合型に比べCO₂削減、省エネの観点で大きな優位性があります」

●図1 従来型とTCR-SWIT®の比較図TCR-SWIT®は天井と床下のスペースを抑え、建築コストを最適化。空間を有効活用できる。従来型では空間全体で温度が均一だが、TCR-SWIT®は保証領域内に絞って温度や清浄度を制御。効率的に運用できる

半導体工場では、自動搬送装置が走る天井レールの高度化が進んでいる。装置の発熱がさらに増加していくと、混合型空調方式では、天井からの冷気供給に支障が出るとともに、暖まった空気を排出するために空気の通り道(シャフト)が拡大し、レイアウトや拡張に一定の制約が生じやすい。一方、TCR-SWIT®は設備配置の自由度が高く、導入やメンテナンスにも柔軟な対応が可能だ。

「TCR-SWIT®の特徴の一つは、装置から発生する発熱を有効活用できることです」と山田氏は言う。クリーンルームでは、年間を通じて温湿度の厳格な管理が求められる。真冬は通常、ボイラーやヒートポンプを用いて外気を加熱・加湿しクリーンルームに送るが、成層空調で暖まった空気を使って生み出した温水を活用できる。同事業部設計部設計2課担当課長の渡部香織氏は説明する。「TCR-SWIT®は従来よりも高い送風温度で空調できるため、空気を冷却する冷凍機の高効率運用も見込めます。熱を有効活用し、工場全体のエネルギー効率の向上につながります」

近年は、半導体の微細化に加え、半導体チップの形に加工する後工程で、チップレットを組み合わせて性能を高める「先進パッケージング技術」への注目も高まっている。「お客様との対話でも、エネルギーの有効活用や省エネルギーに対する関心は年々高まっています。後工程においても装置の発熱量は増加が見込まれ、TCR-SWIT®による排熱の有効活用効果はさらに大きくなると考えています」と、同事業部営業部営業2課長の秋岡雄太氏は話す。

拡大する半導体市場を支える
生産体制の強化と人財力

●図2 オフサイトプラットフォームとしてのT-Base®建設現場(オンサイト)を問わず共通の部分や、繰り返し作業となる部分を標準化したユニットを企画し、現場とは離れた場所で生産・供給。現場労務の低減・現場工程の平準化・施工品質の向上を実現する

半導体工場の新設や増設が進む中、施工の効率化や建設業界全体の課題である人財確保への対応も求められている。高砂熱学工業では、建設事業プロセスを変革する取り組みである「T-Base®」(図2)を半導体工場へも適用している。

T-Base®は、現場ごとに行っていた施工の一部をオフサイト化し、繰り返し作業となる部分を標準化したユニットとして生産・供給することで、施工効率化と品質安定の両立を実現する。特にTCR-SWIT®周辺の配管をユニット化し現場へ運んで組み立てる取り組みを進めている。

また、高砂熱学イノベーションセンター(茨城県つくばみらい市)には、TCR-SWIT®の実験・検証施設を設置。「TCR-SWIT®と混合型空調を切り替えて比較・検証できます。気流や空調効果の違いを体験できるため、多くのお客様に見学いただいています」(秋岡氏)

半導体工場向け空調では、顧客の要望を直接伺いながら、最適な環境づくりを提案する機会が多い。そのため、技術力に加え、顧客の課題や要望を引き出し具現化する人財の育成にも力を入れている。「若手エンジニアもお客様との会議に参加し、実践を通じて提案力を磨いています」(渡部氏)

TCR-SWIT®は時代のニーズに応え、検証と改善を繰り返している。その歩みは半導体の進化と呼応する。「環境クリエイター®」を掲げる高砂熱学工業は、独自技術とエンジニアのスキルを原動力に、半導体産業の発展を支えていく。

製造環境維持と省エネを両立 次世代クリーンルーム技術
「TCR-SWIT®」の詳細はこちら

Contents

総論

世界市場・技術動向から日本の勝ち筋を考察国内半導体産業「真の覚醒」へ
AI特需に潜む課題とチャンスは?

高砂熱学工業

半導体工場の大規模化に対応、納入実績を堅調に拡大製造技術の進化に呼応し
空調で最適な生産環境を支える

朝日工業社

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