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世界から羨望のまなざしを頂く日本。
それは半導体でも同じだ。
そこかしこに、匠の技術と息遣いが宿る。
半導体こそ究極の共創、ハーモニーの神髄が生きる。
一度は凋落した我が国の半導体産業だが、
今こそなるか、ニッポン。挑戦への階段を詳報する。

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政投銀調査から見る産業集積の現状と拡張可能性
半導体産業は地域経済の
救世主となり得るか?

経済安全保障の観点から半導体産業の国内誘致が進む。課題は生産能力の持続性確保だ。日本政策投資銀行は誘致先地域として東北地方に焦点を当て、半導体クラスター(産業集積)の現状と課題、拡張可能性について調査レポートを公表。レポートを作成した担当者がデータ結果を読み解き、展望を提言する。

九州のTSMC、東北のキオクシア、北海道のラピダスなど、地方における半導体企業の誘致・移転が広がる。

誘致は手段に過ぎない。目的は大きく2つある。1つ目は経済安全保障リスクの回避。半導体生産能力の確保・強化が求められる。2つ目は、半導体産業を中核にした地域経済の活性化。高齢化、人口減少が進む地域の課題解決につながる。

2つの目的を実現する上で鍵となるのが、半導体クラスター(産業集積)の形成だ。その理由を日本政策投資銀行の和島佑樹氏は説明する。

「半導体製造に必要となるシリコンウエハー、素材、化学薬品、装置などの中間投入需要※1増大に対し、誘致先地域で対応可能とするためには産業集積が求められます。サプライチェーン分断リスク解消による半導体安定供給と、地域に多くの企業が事業展開する経済活性化の両方に貢献します」

産業集積をいかに実現するか。経済価値と社会価値の両立を目指す日本政策投資銀行は、東北の半導体産業に焦点を当てる。半導体工場の新設・進出に伴い、地域における供給関係、経済波及効果、拡張可能性について調査・分析を実施した。

今回の調査・分析では、地域の1年間にわたる経済活動において、産業間取引をマトリクスに示す産業関連表を採用(図1)。縦軸を大規模半導体企業の「国内中間投入需要構成比」※2、横軸を中間投入需要に対する「域内調達可能率」※3とした。

■図1 4象限によるマトリクス分析例(東北地方)地域に誘致した半導体メーカーを対象にマトリクスを作成。ここに半導体サプライチェーンをマッピングし、産業構造の把握、経済波及効果の測定を可能にする。具体的には、第2象限に位置する産業(赤枠)の集積を進展させて域内調達を増やすことで、地域経済循環を促進できると分かる

※1 中間投入需要…ここでは、半導体製造のために必要な原材料・サービスの投入量 
※2 国内中間投入需要構成比…国内の「集積回路(IC)」全体の中間投入需要に対する、各半導体関連産業の中間投入需要が占める割合 
※3 域内調達可能率…半導体企業の中間投入需要額に対する、地域に立地している半導体関連産業別の生産量(生産額=売上額)が占める割合

半導体サプライチェーンを
4象限のマトリクスで表現

ポイントは、半導体サプライチェーンを4象限に当てはめ全体を俯瞰できること。縦軸と横軸の両方が最も高い第1象限が理想となる。既に域内に産業が集積しており、域内調達増加によるインパクトは大きい。対極となる第3象限は、産業が集積しておらず、域内調達を増加させにくい状態にある。マトリクス化した統計表は、地域における半導体産業構造の把握、経済波及効果の測定に役立つ。

調査で対象となったのはキオクシア岩手北上工場。増設後の東北地方における国内中間投入需要構成比と域内調達可能率の関係について、同行の小田島達也氏は解説する。

「各産業分布の割合は、第1象限7.1%、第2象限3.5%、第3象限62.4%、第4象限27.1%でした。地域経済循環へ寄与するには、第2象限に位置する産業の集積を進展させ、域内調達を増やすことが必要です」

地域経済効果増大に向けて
シミュレーションを実施

4象限のマトリクスで統計データに基づく東北の半導体産業構造を可視化できた。その先の考察として、域内調達可能率の増加により期待できる地域経済への波及効果をテーマに設定。「ケース1:半導体企業増設・進出後の可能率を用いる場合」「ケース2:特定産業の可能率を増加させた場合」「ケース3:近接メリットの高い原材料の可能率を増加させた場合」の3つを想定し、シミュレーションを実施した。

■図2 半導体工場増設による東北地方の経済波及効果(ケース2)キオクシア岩手北上工場増設の影響で、図1の第1・第2象限に位置する産業の域内調達可能率が10pt増加した場合、事業効果は合計で1086億円(8.4%)増加する

ケース2について和島氏は解説する。「ケース1では、地域にもたらす事業効果が1兆2996億円でした。ケース2では、半導体生産増加に伴い経済波及効果が見込める第1・第2象限に位置する8産業を対象としました。同産業の域内調達可能率が10pt増加した場合、ケース1と比較して事業効果は合計1086億円、8.4%向上する結果となりました」

ケース3では半導体関連企業へのヒアリング調査から、使用頻度が高く安定供給が求められる薬品、ガス、ウエハーを対象とした。各産業の域内調達可能率が10pt増加した場合、ケース1と比較して事業効果は合計79億円、0.6%向上。「定期需要がある産業を地域に取り込むことができれば、地域に対する事業効果を期待できます。生産量増大に伴い、事業効果も増大するのがケース3の特徴です」と小田島氏。

■図3 半導体工場増設による東北地方の経済波及効果(ケース3)キオクシア岩手北上工場増設により、ガス、ウエハー、薬品の域内調達可能率が10pt増加した場合、事業効果は合計で79億円(0.6%)増加する

「ケース2とケース3の結果比較から、東北の地域経済効果を高めるにはより多くの関連産業の集積が重要であると読み解くことができます」と和島氏は言う。

調査から東北の半導体産業における現在地と可能性が見えてきた。他の地域でもこの手法を応用することで、地域特性に応じた結果を得られる。

「今回は九州における半導体産業の調査も行いました。半導体メーカーや地域特性などによって結果は異なりますが、共通するのは地域の半導体サプライチェーン全体を俯瞰できるという点。そこを評価する声が多く寄せられています。第1・第2象限の産業を増やすために、半導体メーカーが域外から調達している原材料などを域内へいかに取り込むか。第1・第2象限におけるどの産業の域内調達可能率を上げていくか。第3・第4象限の産業から、第1・第2象限に移行できるものは何か。調査レポートが半導体メーカー、サプライチェーン、自治体などが議論するきっかけとなることが作成者の思いです」(小田島氏)

サプライチェーン各社の視点に立つと、半導体製造に応える高い技術力の他分野への展開が重要な戦略になると小田島氏は指摘する。「ゴールは地域経済循環の創造です。半導体産業は、地域産業・経済成長の推進力になると考えています」

本記事の図版はいずれも、日本政策投資銀行「東北・九州における半導体産業 -産業連関表による分析を基に- 調査レポート」(2025年4月)の資料を基に作成。

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Contents

総論

政投銀調査から見る産業集積の現状と拡張可能性半導体産業は地域経済の
救世主となり得るか?

東京エレクトロンデバイス

半導体需要拡大をウエハー検査装置で支える「メーカー×技術商社」で
顧客起点の開発を徹底する

高砂熱学工業

クリーンルームから始まる日本の半導体戦略工場の進化を支える
注目の成層空調システム

JX金属

7800億円超の大型上場。成長エンジンと描く未来図最先端の技術力・供給力が
半導体にもたらす進化とは?

EYストラテジー・アンド・コンサルティング

個社サポートから横断的な共創関係構築まで支援二人三脚で業界を成長させる
頼れる「特化型」チームとは?

ADEKA

最先端半導体材料の開発に経営資源を集中革新的材料の創出を加速し
半導体のさらなる進化を支える