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ニューロダイバーシティ&インクルージョン・フォーラム

第1回推進委員会 開催
開催日時
7月24日(水)15:00~18:00
主催
日経BP 総合研究所

2024年7月24日、ニューロダイバーシティ&インクルージョン・フォーラムの第1回推進委員会を開催し、「ニューロダイバーシティの現在」をテーマにディスカッションを実施した。野村総合研究所によるオープニングトークに続いて、先進事例としてモルガン・スタンレー、EY Japanの2社からニューロダイバーシティへの取り組み事例が共有された。パートナー会員・賛助会員各社も交え、ニューロダイバーシティという言葉の定義の確認、推進委員会として今後、取り組むこと、その具体的な進め方などについて熱い議論が交わされた。

ニューロダイバーシティの現在

高田 篤史 氏

野村総合研究所
メドテックコンサルティング部 グループマネージャー
高田 篤史

ニューロダイバーシティの推進を具体的にどのように取り組むのか、特に障害のある人の雇用形式としては、現在、一般雇用型、障害者雇用型としては、集合型、分散型、併用型があるとし、それぞれのメリット・デメリットを分析。いずれにおいても、より高度な業務や高いパフォーマンスを期待し得る活躍機会の追究が重要とした。

また、高田氏はモルガン・スタンレーとEY Japanの先進事例発表後、両社のアプローチの意義と、ニューロダイバーシティの取り組みを社会で広げていくためにサポートが必要であること、さらには当フォーラムの役割についても言及した。

モルガン・スタンレーの取り組み

横浜 梨恵 氏

モルガン・スタンレー
人事部 ヴァイスプレジデント
横浜 梨恵

当社は人材に投資する企業であり、ダイバーシティは“可能性”であると考えている。障害者雇用に取り組む中で、近年は求職者に占める精神障害・発達障害を持つ方が格段に増えた。その特性は当事者の強みであることと共に、周囲も気づきを得られ、組織としてのイノベーションにつながる。

当社のニューロダイバーシティへの具体的な取り組みは3つ。1つ目は合理的配慮で、当社はそれを「社員がパフォーマンスを発揮するための土台作り」と捉えている。2つ目は、必要なときに心理的安全性を担保した上で相談できる多様な窓口の整備。そして3つ目として、社員への教育・啓発活動の継続だ。その際、診断の有無は重要ではないと考えている。合理的配慮に関しては、「障がいの開示に関するガイド」を作成し、開示の有無・範囲は本人の判断に任せた上で、安心して開示できるような環境作りをしている。なおこのガイドは入社時に全員に配布している。相談窓口は上司や人事部だけでなく、産業医や外部の専門家、カウンセラー等も含め、本人がベストな選択をできるようにサポートしている。

隠し持つ“できる”部分を開花させる雇用形態作りを目指し、障害を持つ学生向けの8週間の内定直結型インターンシッププログラムも始めている。実際のプロジェクトやタスクを担当し、ビジネス、企業文化を学びつつ、自己理解、仕事理解、環境理解を深めてもらうことを目的とする。「こんな配慮があれば、自分はこんなふうに頑張れる」という自己理解が深まることも狙いの一つだ。このような活動は、受け入れる社員側にもよい学びの機会になっている。

EY Japan

梅田 惠 氏

EY Japan
ディレクター Talent -D&I
梅田 惠

当社のDE&I (Diversity、Equity & Inclusiveness)においては、とりわけ「インクルーシブネス」に注力している。インクルーシブネスとは、個人が組織に同調することではなく、個人が組織の中で個性を際立たせること。実現するためには、何よりも個人と向き合うことが重要である。

当社は会計士、税理士等のプロフェッショナルファームである。大学の障害学生支援室をヒアリングした際に、理数系の学生はIT系企業への出口(就職)が広がってきたが、文系の学生の出口がないという話を聞いた。会計士・税理士は数字を扱う仕事であるが、大学での専攻は商学、政治経済、法学、社会学など、文系出身者が多い。海外では女性やマイノリティであっても、資格を持って、高収入が得られる仕事として、人気の職業であるが、日本では職業そのものがあまり知られていない。そこで精神障害・発達障害のある学生を対象にした2週間のインターンシップ「EY Diverse Ability Internship Program」を2022年に試験的に行った。日本では、大学に在籍する障害手帳をもった学生が1.5%であるため、障害のある学生自身も他の障害のある学生と交流する機会はほとんどない。当社のインターンシップでは、参加者全員が障害者手帳を保有しているという条件の中で、学生が自分自身を客観視し、自分の強みに気づき、仲間と切磋琢磨するという機会を得ることを目的とした。また、インターンシップを支援するボランティアの当社のメンバーがインターンとの交流を通じて、ニューロダイバーシティについての理解を深め、それぞれの組織に持ち帰り、DE&Iを推進する目的もある。

当社ではさらにこのインターンシップの経験を、精神障害・発達障害のある方のキャリア形成を支援する「ダイバース・アビリティーズ・センター」の設立につなげた。センターでは各人の障害ではなく、「得意なこと」にフォーカスし、それを業務を通じて専門スキルとして磨くことを目的として、3年間の雇用契約を結ぶ。その間にスペシャリストとして自立し、社内外に正社員として採用されることを目標とする。2022年の第1期の募集には定員20人に対して300人以上の応募が集まった。その中には、高額のコストをかけて外注していたデータベースを、たった2人でわずか1カ月で構築するなどの成果を出したメンバーもいる。既に第一期メンバーの中から12人が正社員に転換し、二期生、三期生の募集も行われている。

障害のある人材の活躍支援には個別対応が必要となるが、そのノウハウはさまざまな背景・事情をもつあらゆる社員に適用できる。障害のある人材の個別ニーズに対応できる企業は、多様で優秀な人材にリーチし、組織力の強化においてもメリットが大きい。

「あなたの会社が現在取り組むべき課題は何か」の発見

大野 順平 氏

Kaien
就労支援事業部 法人サービス担当ゼネラルマネージャー
大野 順平

障害者雇用の枠組みにおいて雇用者は当事者の「苦手」を注目しがちだが、その一方で「成長したい・活躍したい」と願う当事者も多くおり、その機会がないことで不全感を覚えている。EY Japanの「ダイバース・アビリティーズ・センター」に300人以上の応募があったことは、その願いの大きさを表すものだろう。私が支援している方の中に、地元仙台の大学の物理学大学院を卒業している人がいた。プログラミングを独学で学ぶなど努力されていた。ただ、フルタイム勤務は難しく、地元を離れられないという制約があり、就職先が見つからず、結局、就労継続支援B型に行くことになり、自分自身も口惜しい思いをした。可能性のある人たちに対して、いかに活躍の機会を作れるか、そのリードや糸口をこのフォーラムで作っていきたい。

段野 孝一郎 氏

株式会社日本総合研究所
リサーチ・コンサルティング部門
戦略企画部 部長/プリンシパル
段野 孝一郎

ニューロダイバーシティの取り組みとしては、診断の有無とは関わりなく、一人ひとりの個性に応じて必要な機会が提供され、その機会のもとでそれぞれのパフォーマンスが最大化されていくことが大事だと考える。個性に応じた能力発揮の機会があることをそれぞれが認識し、ニューロダイバーシティという呼称も含めこのフォーラムで議論していけばいいのではないか。

藤井 亮輔 氏

パーソルダイバース
人材ソリューション統括本部 人材ソリューション本部
Neurodiversity事業部 Planning and Developmentグループ マネジャー
藤井 亮輔

ニューロダイバーシティの進め方には、広く始めてマイノリティを包含していくやり方と、個人の課題に対し一点突破しそれを広げていく2パターンがあるだろう。従来は後者のアプローチが多かった。しかしここにいる私たちの中でも、すべてにおいてマジョリティという人は一人もいない。これからは誰もが力を100%発揮できる環境作りを目指し、前者の広い観点に立ったアプローチも必要になるだろう。また、この2つのアプローチは、同時並行で進めることで、より効果的な結果が得られるとも期待する。

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