
野村総合研究所
メドテックコンサルティング部
グループマネージャー
高田 篤史 氏
ニューロダイバーシティへの具体的な取り組み方法を俯瞰すると4つの型があるだろう。すなわち、一般雇用型、障害者雇用型として、集合型、分散型、併用型だ。
私が「一般雇用型」と呼ぶのは、障害があっても、一般雇用と同一の条件で雇用するもの。ダイバーシティの観点から考えると最も理想的なあり方と言えよう。ただし、この場合、障害に限らず、全従業員へ個別の事情に応じた合理的配慮の整備が必要となり、全社的なリソースがかかり、全社員の教育・理解の浸透も必要となる。
それに対し「障害者雇用型」は障害者向けの人事制度を設けている場合を指す。現状の障害者雇用型は、特例子会社など特定の部門に障害のある方を集める「集合型」、障害者向けの人事制度は設けるものの、多様な部門・業務で雇用する「分散型」、集合型と分散型を併用する「併用型」に分類できるだろう。
特例子会社制度は障害者雇用に貢献する制度であり、日本企業においてはこの制度を活用した集合型が多い。集合型の場合は合理的配慮のためのリソースを1カ所に集中でき、ナレッジやノウハウも蓄積しやすい。人事制度設計や働きやすい環境整備等、手厚い配慮ができるメリットもある。一方、業務の種類増加やキャリアアップの幅の拡張には試行錯誤の努力が必要だ。
分散型は、全社のどの部署、どの業務でも働く機会を得られるのがメリットだが、集合型とはトレードオフの関係になり、集合型にあるメリットは得にくくなる。
併用型は、特例子会社のような特定部門も用意しながら全社でも取り組むため、本社と特定部門が連携できるバランスの良い形だと考える。
単純に理想を語るなら、障害の有無にかかわらず誰もが同じ環境で雇用され働ける一般雇用型があるべき姿だろう。しかし現実には会社それぞれで取り組みやすい方法があるため、どれがベストだとは言えない。ポイントは、障害や神経多様性にかかわらず、全従業員を対象にパフォーマンスを最大化できる環境を整えることだ。それが、全従業員の幸福につながる。
ニューロダイバーシティは、総じて大企業には取り組みやすく中堅・中小企業には難しいという声がある。しかし社員数50名程度のある中小企業では、事業部門長と先輩社員、労務担当者が協力して体制を整え、一般雇用型で障害者が活躍している事例もある。
実際にニューロダイバーシティに取り組むと、採用の仕方やどの職種で実施するか、定着のポイントはどうかなど、いろいろと課題が出てくる。いずれも一つの正解があるわけではなく、個々の企業で自らの位置や取り組みのステップを見ながら考えていく必要がある。その際、具体的に試行錯誤しながら進めている先進企業の話は非常に価値があり、当フォーラムのような場で事例が共有されるのは重要だ。
啓発活動やインセンティブ作りに関しては、先んじてチャレンジしている企業の方たちが悩んでいる点を形式知として発信・共有するのが当フォーラムの役割だと考える。
ニューロダイバーシティという言葉を掲げたとき、現時点で興味を示さない方にどうアプローチするのか。現実を知り、不平等な扱いに対して怒りを感じる動きの広がりを求め、発信やインセンティブ作りにより、その後押しが必要と考えている。加えて、モルガン・スタンレーやEY Japanのように先行した取り組みをサポートする仕組みが増えれば、これからニューロダイバーシティに取り組む企業もチャレンジしやすいのではないだろうか。