
2024年9月11日、ニューロダイバーシティ&インクルージョン・フォーラムの第2回推進委員会が開催された。委員会に先だって、Kaienが運営する就労移行支援事業所「Kaien秋葉原サテライト」を視察。その後会場を移し、グループワーク「マシュマロチャレンジ」を実施した。これはチームビルディングを目的に共同作業を行うゲームで、神経発達症(発達障がい)を持つ就労移行支援事業所利用者と推進委員会に参加する企業担当者でチームを組み取り組んだ。
後半は12月に予定される「ニューロダイバーシティ&インクルージョン・フォーラム2024WINTER『職場のメンタルヘルスと心理的安全性』」など今後の活動に関する整理と、ニューロダイバーシティの実現に向けて各社が神経多様性を尊重する社内風土の醸成に取り組む指標をまとめた「ニューロインクルーシブ宣言」の内容に関する議論が交わされた。

Kaien
就労支援事業部 法人サービス担当ゼネラルマネージャー
大野 順平 氏
チームのメンバーがそれぞれの強み・弱みを活かしながら協働し、交流を楽しみながらお互いの理解を深めるのが、このグループワークの目的だ。

Kaienの大野順平氏はニューロダイバーシティの推進について「雇用される側がありのままで活躍できる就業マッチングと、雇用する側の企業が働きやすい環境を整備することの2つが大切だ。就労移行支援事業所利用者と企業の人事やダイバーシティ推進担当者が共同作業を行うことで、立場を超えて相互に理解し、学びを持ち帰れる場にしたい」と話した。
近年、メンタルヘルス不調を原因とする休職者が増えており、社会課題となっている。日経BP 総合研究所主任研究員の小板橋律子からは、「職場のメンタルヘルスと心理的安全性」をテーマとして12月に開催予定の、第2回オープンセミナーの趣旨が説明された。
セミナーにはジャーナリストの池上彰氏、増田ユリヤ氏や臨床心理士の村中直人氏、日本うつ病リワーク協会理事長の五十嵐良雄氏、参院議員で「発達障害の支援を考える議員連盟」事務局長の山本博司氏らが登壇予定だ。
小板橋は「個別に取り組むのではなく協力して課題を解決していきたい」と訴え、日経BP 総合研究所が発行予定のニューロダイバーシティに関する「総研レポート」への意見や協力を参加企業に呼びかけた。
最後に、参加した企業の担当者やオブザーバー参加の経済産業省・厚生労働省担当者から、フォーラムの活動や審議を進めているニューロインクルーシブ宣言に関して意見が交わされた。

Kaien
就労支援事業部 法人サービス担当ゼネラルマネージャー
大野 順平 氏
ニューロインクルーシブ宣言は、障がい者だけでなく、働く人全てが受益者となるものであってほしい。雇用機会と待遇が障がい特性の診断の有無にかかわらず均等であること、本人の自助努力で環境に合わせるのではなく環境を用意する企業側からアプローチし、その人その人の活躍やふさわしい役割を探していく形で取り組んでいくこと、この2点を含むことが望ましい。
株式会社日本総合研究所
リサーチ・コンサルティング部門 戦略企画部 部長/プリンシパル
段野 孝一郎 氏
特性に応じて誰もが多様な機会を得られる社会を目指すことが何より大事である。その点を盛り込んだニューロインクルーシブ宣言を作り、メディアを活用して広く関心を生んでいくことが求められる。
パーソルダイバース
人材ソリューション統括本部 人材ソリューション本部
Neurodiversity事業部 Planning and Developmentグループ マネジャー
藤井 亮輔 氏
障がい者の特性と環境との相互作用で困難さが生まれる。その視点で解決を図っていく姿勢が必要だ。さらには、ニューロダイバーシティは特定の人だけでなく、誰にとっても“自分ごと”であるというメッセージを出していきたい。

経済産業省(第2回推進委員会オブザーバー)
経済産業政策局 経済社会政策室係長
飯尾 一輝 氏
参加者の方々の様々なご意見を、経済産業省の施策を考える上での参考にさせていただきたいと感じた。とりわけ共感したご意見は、ニューロダイバーシティを“自分ごと化”するという点である。話しやすい雰囲気づくりの整備などは、障がいの有無にかかわらず、全ての人にとって、働きやすい職場づくりのために必要だと実感した。

厚生労働省(第2回推進委員会オブザーバー)
職業安定局障害者雇用対策課課長補佐
原田 自由 氏
当課は障害者雇用促進法に規定する雇用率制度等を所管している。法定雇用率の引上げに伴い多くの企業に尽力いただいている。しかしながらまだ達成できていない企業もあるため、本フォーラムのような民間による自主的な取り組みはとてもありがたい。ニューロインクルーシブ宣言についても、先進的企業にとどまらず、まだ取り組みが進んでいない企業の目に留まるような形で発表されることで、世の中の障がいがある方の雇用促進に向けた良い影響が広まることを期待している。
いちごアセットマネジメント株式会社
副社長 パートナー
石塚 愛 氏
企業が障がい者雇用をどのように捉え、障がい者に限らず包摂的な仕組みを導入しているのかについては、投資家は開示を通じて理解を深める。障がい者雇用率の数字は開示されているものの、その内訳や組織としての具体的な取り組みも含めて開示してもらえるとありがたい。
大日本印刷株式会社
ダイバーシティ&インクルージョン推進室 エキスパート
藺牟田 有梨 氏
フォーラムに対しては、学術分野との連携、医療福祉との連携が今後深まっていくことを期待する。ニューロインクルーシブ宣言は、障がい以前にそもそも脳には一人ひとり違いがあることと、しっかりと対話した上で合理的配慮を行っていく重要性もぜひ盛り込んでほしい。