

物語の中に、確かに響く鼓動がある。ウォッチズ・アンド・ワンダーズ ジュネーブ2025で高まった創造の熱は、やがて時の表現をめぐる旅へと私たちを誘っていく。視線を変えれば、場所や文脈を超えて、時計たちはそれぞれの佇まいで時を語りかけている。それは、ブランドの哲学や感性が、静けさと造形を通じて、時の本質に触れようとする問いかけのようでもある。本章では、そうした時計の多様な表現に触れながら、にじむような輪郭に意識を向けていく。造形、素材、機構、思想─その一つひとつに、世界を見つめるまなざしが宿っている。一本の時計が映し出すのは、過去でも未来でもない。今この瞬間の鼓動だ。その響きに導かれながら、もう一つの旅路がここから始まる。
撮影=新倉哲也(STUDIO29) スタイリング=仲唐英俊(TABLE ROCK.STUDIO) デザイン=Phantom G. 文・編集=安部 毅
2025.06.27
「靴を見て人を知る」と言われた時代もあったが、現在は「時計を見て人を知る」が常識となった。腕時計は、する人の価値観や思考を見事に反映するアイテム。だからこそ、そろそろ真剣に向き合う時が来たようだ。