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活用事例

新滑走路建設に情報化施工を導入! 工期短縮と品質管理を頑丈パソコンが支える
2009年12月15日公開

新滑走路建設に情報化施工を導入! 工期短縮と品質管理を頑丈パソコンが支える

タフブック活用ガイド(7)羽田空港D滑走路建設工事編

滑走路の最東端部の護岸・埋め立て工事を担当する五洋建設・大成建設・前田建設工業。急速施工と品質確保を実現するため、タフブックによる情報化施工を実施している。



情報化施工を支えるタフブック

 全長2500mのD滑走路は、長さ2020m、幅424mの埋め立て部と、長さ1100m、幅525mの桟橋部からなる。2009年11月初旬の埋め立て部現場では、巨大なダンプカーやブルドーザー、振動ローラーなどの重機があちこちで行き交っていた。新滑走路が開業する2010年10月まであと1年足らず。短工期で施工を完成させるためには、重機作業をコンピューターでサポートする「情報化施工」の導入が欠かせなかった。

タフブックCF-19 10.4型モニターを搭載したコンパクトなタブブック。タブレットモード手持ち操作にも車載にも適しており、応用範囲が広い。タッチパネルはペンのほか、手袋をはめたままの手でも操作できる。
タフブックCF-19
10.4型モニターを搭載したコンパクトなタブブック。タブレットモード手持ち操作にも車載にも適しており、応用範囲が広い。タッチパネルはペンのほか、手袋をはめたままの手でも操作できる。

 羽田再拡張D滑走路建設工事共同企業体護岸・埋立(I)工区は滑走路の最東端部分の約500m分の施工を担当する。現場での情報化施工をサポートする五洋建設技術研究所IT施工チーム課長の石田仁さんは「情報化施工を導入しなければ、これだけの急速施工はとても無理でしょう」と言う。

羽田空港のD滑走路を施工する重機に取り付けられたタフブック。
羽田空港のD滑走路を施工する重機に取り付けられたタフブック。
D滑走路の最東端に位置する工区では、タフブックを搭載した建機により急速施工と品質確保を実現している。
D滑走路の最東端に位置する工区では、タフブックを搭載した建機により急速施工と品質確保を実現している。

 この工区では、38t級ブルドーザー2台、27t級ブルドーザー1台、35t級振動ローラー4台、そして出来形計測車1台にそれぞれ工事現場用パソコンの代表的機種であるタフブック「CF-19」を搭載。作業の効率化と、施工品質の確保を両立させているのだ。

オペレーターに高さ情報を表示

 ブルドーザーの運転席後部に搭載されたタフブックの役割は、土を一定の厚さでしきならせるよう、オペレーターに情報を提供することだ。運転席の右下には、赤と緑のLEDランプが並んだ指示器が取り付けてあり、5cm単位で設計高さとの違いを表示する。そのため、オペレーターが排土板の施工状態を見ながら、現在の高さを知ることができるのだ。

「タフブックには人工島の位置に応じた設計高さのデータがインプットされています。ブルドーザーに搭載したGPS受信機で求めた現在の位置情報と照らし合わせて、設計高さとの違いを瞬時にLED表示器に送っているのです」(石田さん)。

 もし、この機器がなかったら、広大な現場のあちこちに測量機器を使って、「丁張り」(工事の目安とする、位置、高さ、角度を表す仮設の標識)を無数に設置しなければならない。また、現場が暗くなると丁張りに頼った作業はほとんど不可能となる。名実ともに“コンピューター付きブルドーザー”の活躍が、D滑走路の急速施工を可能にしているのだ。

広大な埋め立て現場で、土砂を一定の厚さでしきならすブルドーザー。
広大な埋め立て現場で、土砂を一定の厚さでしきならすブルドーザー。
運転席の後部にはタフブックが搭載されている(左)。設計高さに対する現在の地盤高は運転席パネル右側のLED表示器でオペレーターに知らせる(右)。
運転席の後部にはタフブックが搭載されている(左)。設計高さに対する現在の地盤高は運転席パネル右側のLED表示器でオペレーターに知らせる(右)。

ローラーの“踏み残し”を防止

 振動ローラーによる土の締め固め工程では、ローラーが同じ場所を8回、確実に通過するということが品質管理のポイントとなる。振動ローラーの運転席に搭載されたタフブックの任務は、目印もない広大な造成現場で、ローラーの通過回数を記録し、踏み残しがないようにオペレーターにわかりやすく知らせることなのだ。

広大な埋め立て現場をしっかりと締め固めていく35t級振動ローラー。
広大な埋め立て現場をしっかりと締め固めていく35t級振動ローラー。

 運転室の計器板右側に設置したタフブックの画面には、施工範囲の平面図が映し出されている。振動ローラーが通ると画面上には通過した場所が帯状に表示され、通過回数に応じて水色、緑、オレンジ色と色が変わっていく。そして、施工範囲の平面図全体が8回目を示す青色に変わったとき、締め固め作業は完了したことになる。

振動ローラーの運転席に設置されたタフブック。画面には施工範囲の平面図に場所ごとの締め固め回数が色分け表示される。そのため締め固め回数が不足する心配はない。
振動ローラーの運転席に設置されたタフブック。画面には施工範囲の平面図に場所ごとの締め固め回数が色分け表示される。そのため締め固め回数が不足する心配はない。

 広大な埋め立て地の中に、もしローラーの通過回数が8回に満たないところが合った場合には、画面上に青色以外の色が残っているのですぐにわかる。「このようなシステムがなければ、広大な施工場所をローラーが何回通過したか、厳密にカウントすることは不可能です 」と石田さんは言う。

現況地盤高を計測する出来形計測車(左)。助手席にはタフブックが搭載され、測量結果を表示する(右)。
現況地盤高を計測する出来形計測車(左)。助手席にはタフブックが搭載され、測量結果を表示する(右)。

 このほか、地盤面の現況地形を測量するための「出来形計測車」にもタフブックが搭載され、いつでも正確な地盤高を把握できるようにしている。埋め立て地は造成の初期段階では沈下しやすいからだ。締め固めから一定期間が経過した場合などには、施工前に地盤面を測定し、施工精度を保つようにしている。

時に「8G」の衝撃が加わる運転席で稼働

 この工区で使われているタフブックを組み込んだ情報化施工システムの原型は、五洋建設が2002~03年にかけて開発したものだ。同社が関西空港の2期工事を手がけていたときに、ブルドーザー用と振動ローラー用のシステムを同時に開発した。

「現場によって情報化施工システムに求められる性能や使い勝手は違います。システムを自社で開発したのは、現場の条件やオペレーターからの要望にすぐ、対応してシステムを改良できるようにするためです」と石田さんは言う。同社では今回、メンテナンスを容易にするため、情報化施工用の建機に搭載するパソコンの機種をタフブック「CF-19」に統一している。

 ブルドーザーや振動ローラーの運転席には、タフブック「CF-19」がコンパクトに収まる金属ケースが備えられているが、同社で特別に製作したものだ。「振動ローラーのボディに作用する加速度を測ったことがありますが、運転中の振動や衝撃は激しく、6~8Gに及ぶこともありました。これだけ過酷な状況だと、一般用のパソコンはすぐに故障してしまうでしょう。タフブックのような工事現場用パソコンだからこそ搭載が可能なのです」(石田さん)という。

6~8G級の加速度が作用する振動ローラーの運転席に取り付けられたタフブック。特注の専用金具でしっかりと固定されている。
6~8G級の加速度が作用する振動ローラーの運転席に取り付けられたタフブック。特注の専用金具でしっかりと固定されている。

 現場で作業が始まったのは2007年3月末だった。当時は海だった現場が、今では海面上に十数メートルの高さの島になっている。D滑走路の完成によって、羽田空港はアジアのハブ空港としての機能が強化されることも期待されている。他国の空港との国際競争にさらされる羽田空港の機能強化を急速に実現するためにも、タフブックの活躍は欠かせないのだ。

オペレーターから施工状況を聞く石田さん(左)。
オペレーターから施工状況を聞く石田さん(左)。

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