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ExcelもCADも現場で使う! 一歩先行く施工管理を現場レポート
2010年3月16日公開

ExcelもCADも現場で使う! 一歩先行く施工管理を現場レポート

タフブック活用ガイド(9)第二東名高速道路園田高架橋工事編

清水建設・川田建設共同企業体(JV)では、プレストレスト・コンクリート(PC)橋の施工管理にパナソニックの工事現場用パソコン「タフブック」を採用。品質確保と効率化を両立させている。



PC橋の“命綱”をタフブックで管理

「はい、緊張終了」、「定着」───現場を訪れた3月1日、橋桁の上では緊張ジャッキを使ってケーブルの緊張作業が手際よく進んでいた。その傍らのテーブルにはタフブック「CF-19」と「CF-30」が置かれ、緊張管理を行う工事係の池田勝平氏と奥山昌和氏がデータを入力していた。

園田高架橋上り線の現場で、タフブックを使って緊張管理を行う清水建設・川田建設JV工事係の池田勝平氏(左)と奥山昌和氏(右)。
園田高架橋上り線の現場で、タフブックを使って緊張管理を行う清水建設・川田建設JV工事係の池田勝平氏(左)と奥山昌和氏(右)。

 清水建設・川田建設JVが施工しているのは、第二東名高速道路の上り線となる高架橋だ。のべ1355.8mの施工区間には、本線のほかサービスエリアにつながるランプ橋、合流部分も含まれる。橋の幅は7mから24.72mまでと様々だ。

 橋桁には「プレストレスト・コンクリート(PC)」構造を採用している。通常のコンクリート橋では鉄筋だけを使うのに対し、PC構造の橋では鋼製のケーブルを併用するのが特徴だ。あらかじめケーブルに強い張力を入れてコンクリートを締め付けておくことで、コンクリートの強度を有効に生かせる。その結果、スリムな橋桁でも、大きな荷重を支えることができるのだ。2台のタフブックは、“PC橋の命綱”とも言えるケーブルに、張力を入れるという重要な作業の管理を担っている。

油圧ジャッキを操作する作業員(左)とケーブル先端の伸びを測定する作業員(右)。オレンジ色のマットは“防弾チョッキ”のように頑丈な素材で作られている。
油圧ジャッキを操作する作業員(左)とケーブル先端の伸びを測定する作業員(右)。オレンジ色のマットは“防弾チョッキ”のように頑丈な素材で作られている。
後方の作業員が読み上げるジャッキ圧力計の値とケーブルの伸び量をタフブックに手入力しながら管理を行う。
後方の作業員が読み上げるジャッキ圧力計の値とケーブルの伸び量をタフブックに手入力しながら管理を行う。

表計算ソフトで技術者が自作した緊張管理図

 ケーブルには橋桁の長手方向に沿った主ケーブルと、橋桁を横断するように張った横締ケーブルがある。この日の作業は、横締ケーブルの緊張作業だ。約60cm間隔で張った直径28.6mmのケーブルは、両端がウェッジという金具で固定されており、緊張側の端部をジャッキで引っ張ることで張力を入れていく。

「ケーブル1本当たり、700KN前後の引っ張り力になるように緊張作業を行います」と、現場代理人の室屋浩幸氏は説明する。2人の作業員はジャッキの圧力計の値を5MPa単位、ケーブルの伸び量を1mm単位でそれぞれ読み上げると、緊張管理を担当する池田氏、奥山氏がタフブックに入力していく。

「各ケーブルは、緊張力の大きさや緊張する順序が決まっています。以前はケーブル1本ずつにグラフ用紙のような緊張管理図を作り、定規とペンでデータの値を書き込んでいました」と室屋氏は語る。

「この緊張管理図と同じものを表計算ソフトで自作し、タフブックで現場入力するようにしました。分厚い用紙の束を持ち運ぶ必要がなくなったほか、タフブックに入力した時点でデータとして記録が残るので、緊張管理の業務は大変、効率的になりました」と言うのは工事課長の中島淳太氏だ。

 両方の値が基準値に収まっているかどうかを確認しながらの慎重な作業だ。所定の張力に達したとき、ウエッジを押し込んでケーブル定着を行う。

緊張管理図の用紙(左)とタフブックで使用している表計算ソフトの画面(右)
緊張管理図の用紙(左)とタフブックで使用している表計算ソフトの画面(右)
現場代理人の室屋浩幸氏(左写真右側)と工事課長の中島淳太氏(同左側)。緊張が終わり、ウェッジで固定されたケーブルの先端(右)。あらかじめエポキシ樹脂を充填した湿気硬化型プレグラウトPCケーブルを採用している。
現場代理人の室屋浩幸氏(左写真右側)と工事課長の中島淳太氏(同左側)。緊張が終わり、ウェッジで固定されたケーブルの先端(右)。あらかじめエポキシ樹脂を充填した湿気硬化型プレグラウトPCケーブルを採用している。

 緊張作業中のジャッキの後方には、分厚いマットが置いてある。万一、緊張中にジャッキとケーブルがはずれたりすると、ケーブルは弾丸のように飛び出してくることもある。そこで、“防弾チョッキ”のようなマットで防護しているのだ。

 作業員が声を出して読み上げたデータをパソコンに手入力しながら作業を進める方法は、一見、遠回りのようにも思える。しかし、生き物のようなケーブルの動きを人の目と声、そしてデータで確認しながら慎重に作業するからこそ、施工品質と現場の安全を確保できるのである。

屋外の現場でも心強い防塵・防滴性能

 時には、作業の途中でにわか雨に見舞われることもある。そんなとき、紙を使った記録では雨滴が紙にしみてしまうが、防滴性能に優れたタフブックなら、短時間で内部まで雨が浸入し、データやパソコン本体が損壊するような可能性は低い。

 ケーブル緊張作業以外にもタフブックの出番はある。その一つは、現場最前線でのCADソフトの使用だ。タフブックにはAutoCADがインストールしてあり、現場の足場の上でも必要なときにCAD図面を開いて見られるのだ。「図面に寸法線が書いてない部分の寸法を知りたいときには、CADの距離測定機能を使うと現場にいながら正確な寸法が分かります」と室屋氏はそのメリットを説明する。

 また、型枠支保工を組んでコンクリートを打設するとき、その変位計測をタフブックで行っている。打設開始からコンクリートが硬化し緊張が完了するまで24時間連続的に、型枠支保工の変位に異状がないかをタフブックで自動監視したのだ。

コンクリートの打設時、型枠の変位を24時間にわたって自動計測するタフブック(左)。現場の周辺には茶畑が広がる(右)。
コンクリートの打設時、型枠の変位を24時間にわたって自動計測するタフブック(左)。現場の周辺には茶畑が広がる(右)。

 中島氏は、この現場でタフブックを選んだ理由について次のように語る。「やはり防塵、防滴性能に優れているからです。マウスのほかタッチパネルが使えるのも重宝します。また、バッテリーで長時間使用できたり、持ち運びやすい取っ手が付いていたりするのも現場の作業ではありがたいです」。

 園田高架橋を含む第二東名の御殿場ジャンクション~引佐間ジャンクション間の約147kmは、他の区間に先駆けて平成24年度に開通する予定だ。関東と中部、関西をつなぐ大動脈建設の陰には、昼夜、晴雨を問わず、タフブックとともに高品質かつ効率的な施工を追求する技術者や作業員の姿があった。

現場概要
工事名:第二東名高速道路 園田高架橋(PC上部工)上り線工事

発注者:中日本高速道路 東京支社 掛川工事事務所

施工者:清水建設・川田建設共同企業体

場 所:静岡県周智郡森町草ヶ谷~睦実

工 期:平成19年11月1日~平成23年2月12日

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