活用事例

工場製作のPCa部材を5mmの精度で組み立て タフブックとトータルステーションの"連携プレー"
タフブック活用ガイド(11) 大林組 活用事例

高層マンション「プラウドタワー東雲キャナルコート」の現場では、工場から運ばれてくるプレキャストコンクリート製の柱や梁を高精度で組み立てている。作業の要はパナソニックの工事現場用パソコン「タフブック」とトータルステーションの連携だ。
10分ごとに揚重されてくる部材を±5mmの精度で設置

地上52階、地下2階建ての高層マンション「プラウドタワー東雲キャナルコート」の地上躯体PC工事が本格的に始まったのは2011年9月から。現場では工場で製作しトレーラーで現場に運ばれてくるプレキャストコンクリート製の柱や梁を、2台のタワークレーンが次々とつり上げていく。
現場の最上階では安全帯とヘルメットを着用した熟練作業員が、10~15分に1ピースの割合でこれらの部材を手際よく組み立てていく。その傍らには、パナソニックの工事現場用パソコン「タフブック CF-19」を手にした作業員が一人付き、その画面をにらみながら「もう2mm右」「あと1mm上」と部材の位置調整を行う作業員に指示を出している。
少し離れた梁の上には、水平角と仰角、そして距離を高精度で測れる測量器「トータルステーション」が設置され、組み立て中の部材の角には、数カ所に位置計測用の目印となる「プリズム」が取り付けられている。しかし、トータルステーションの脇には操作する人は当たらない。


実は、トータルステーションをタフブックで遠隔操作することにより、設計図上の取り付け位置を現場に投影する「墨出し」という作業を行っているのだ。トータルステーションの情報はすべて無線でタフブックに送られてくる。そのため、以前は3人がかりで行っていた墨出しは、この「3次元計測システム」の導入によって1人でできるようになった。
最高高さ180mのマンションだけに、途中の階で取り付け誤差が生じてしまうと取り返しが付かなくなる。そこで各部材の取り付け位置は「X、Y、Z」の座標で管理され、それぞれの方向に±5mm以内という厳しい精度管理が求められている。
現場工事長を務める大林組東京本店建築事業部工事第二部集合住宅課躯体グループ担当課長の山田雄一郎氏は「タフブックとトータルステーションは、この建物の躯体を高精度でスピーディーに立ち上げるための重要な役割を担っています。工事が最盛期に入ると、3日で1フロアを立ち上げていく予定です」と説明する。

30m以上離れたトータルステーションとつながるBluetooth
大林組では5年以上前から、トータルステーションによって鉄骨やプレキャストコンクリート部材の組み立てや杭の建て込みなどの精度管理に利用する3次元計測システムに取り組んでいる。
しかし、当初のシステムはトータルステーションに人が張り付いて操作する方式だったため、トータルステーションの設置場所が限られたり、何度も据え付け位置を変えたりと効率が悪かった。作業効率を改善するために必要となったのが、トータルステーションの遠隔操作だった。
「現場を見渡せる高い場所にトータルステーションを設置して、多数の梁や柱の位置調整に使えると効率的です。そのためには30m以上の距離をBluetoothによって通信する必要がありました」と3次元計測システムの開発に携わった大林組技術研究所生産技術研究部主任研究員の池田雄一氏は語る。
「Bluetoothには約10mしか届かない『クラス2』と、約100mまで届く『クラス1』の2種類がありますが、ほとんどのパソコンは『クラス2』です。しかし、タフブックは『クラス1』のBluetoothを搭載しているため、採用を決めました」(池田氏)。
建築現場では通信機能ひとつとっても、タフさが求められる。長距離の通信が可能なBluetoothを搭載しているタフブックがあってこそ、3次元計測システムの改良が実現したと言えるだろう。


ちなみに、この3次元計測システムは、大林組の他の現場でも活用されている。小型で片手での操作が可能な「タフブック CF-U1」も使用され、対象工事の作業環境や画面の情報量によって、CF-19と使い分けている。
「データを絶対に失わない」、タフなパソコンの安心感
東雲キャナルコート工事事務所 工事長 阿部貴則氏は「プレキャストコンクリート部材による工事では、万一、組み立てた部材の位置データが消えてしまうと一大事です。その点、タフブックの内蔵電源は1日中使っていても十分もつので安心です。頑丈なパソコンなので、墨出し工にも安心して任せられます」と語る。
現場では日常の作業用に2台、予備用に1台のタフブックを使っている。万一、1台が故障したときは予備機を使うことで工程に支障が出ないようにしている。「タフブックには3年間無償保証※が付いているもの安心なところです。パナソニックの対応が早いのもいいですね。宅配便会社がすぐに取りに来て、無償で修理して届けてくれる。工事現場では取り扱いに気を使うパソコンでは、仕事になりません」(阿部氏)。

夏の現場は、ゲリラ豪雨など突然の雨に襲われることも少なくない。現場で施工管理を担当する大林組東雲キャナルコート工事事務所の秋本高英氏「部材を組み立てている間は、作業を中断することができません。その点、防滴・防塵性能が優れているタフブックは、少々の雨でも心配せず、施工管理業務に集中できます」と言う。
急ピッチで施工が進む現場では、見る見るうちに躯体が高くなっていく。8ヶ月後の来年5月には52階まで躯体が立ち上がっている予定だ。その現場では、2台のタフブックが毎日の作業を支えているのだ。

材料には最高150N/mm2の高強度コンクリート部材を使用し、液状化対策工事も行った。環境への配慮と高耐久性を両立させたのが特徴だ。売り主は野村不動産で、大林組が設計・施工を担当。平成25年3月竣工予定。





