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活用事例2012年3月12日公開

JR貨物の「ジャスト・イン・タイム」を支える フォークリフトにタフブックを全数搭載タフ

タフブック活用ガイド(12) JR貨物 活用事例

日本貨物鉄道(以下、JR貨物)はフォークリフトに、パナソニックの「タフブック CF-D1」を搭載することを決めた。貨物駅での荷役作業を行うフォークリフトのオペレーターにコンテナや列車の位置や積み卸し作業の指示を伝えることで、大幅な作業効率化を行うためだ。



フォークリフトにタフブックを搭載

JR貨物のフォークリフトに設置されたタフブック「CF-D1」
JR貨物のフォークリフトに設置されたタフブック「CF-D1」

 東京・南千住にあるJR貨物の隅田川駅には、全国各地の貨物駅から毎日約50本もの貨物列車が発着する。この日もコンテナホームに貨物列車が到着した直後から、フォークリフトが貨車上のコンテナを配達に向かうトラックに積載していた。別のコンテナホームでは、他のフォークリフトがホームに留置されたコンテナを1個ピックアップし、空いた貨車に積み込んだ。

 各フォークリフトにはパソコンが搭載され、運転席にあるモニター画面には、オペレーターにどのコンテナをどの貨車に積み込むのかといった作業指示がリアルタイムに表示される。オペレーターはその指示に従って次々とコンテナの積み卸しを行っていく。荷役作業の情報を管理するのは、JR貨物が2004年に開発した「IT-FRENS&TRACEシステム」だ。

12フィートコンテナを貨車に積み込むフォークリフト(左)と「IT-FRENS&TRACEシステム」が搭載されたフォークリフト(右)
12フィートコンテナを貨車に積み込むフォークリフト(左)と「IT-FRENS&TRACEシステム」が搭載されたフォークリフト(右)

 運転席のタッチパネル式モニターを操作すると、メニュー画面から作業指示や構内マップなどを選んで表示できる。例えば、作業指示一覧の画面ではコンテナの番号と現在位置、積み卸し待ちのトラックや貨物列車などが示される。オペレーターはこの情報に基づいて自分が行うべき作業を判断し、次々とこなしていくことができる。

「IT-FRENS&TRACEシステム」の画面。縮小・拡大することで駅構内の全体図(左)や各コンテナの位置や番号(右)などをリアルタイムで確認できる
「IT-FRENS&TRACEシステム」の画面。縮小・拡大することで駅構内の全体図(左)や各コンテナの位置や番号(右)などをリアルタイムで確認できる

 このシステムは2006年の本格稼働開始から7年目に入った。JR貨物ではOSをWindows XPからWindows 7にバージョンアップするとともに、フォークリフトの運転席から死角になる部分をモニターに映し出す「ドライブレコーダー」機能の追加、無線LANやPHSを使っていた無線通信システムをWiMAXに統一するなど、システム全体を改良中だ。

 そしてフォークリフトに搭載していたパソコンを、パナソニックのタフブック「CF-D1」に全面的に切り替えることになったのだ。JR貨物では2012年10月~2013年9月の1年間をかけて、交換作業を進めていく予定だ。

振動に強く、小型、軽量なタブレット型「CF-D1」

「フォークリフトに搭載されたパソコンは、コンテナを積み卸ししたり、走行したりする時の振動がダイレクトに伝わります。事務所内での作業とは異なり、頑強な構造のパソコンであることが望ましいです」とJR貨物ロジスティクス本部I-TEMセンターの森田哲也氏は説明する。

「そのため、これまでは特注の耐震ケースに産業用パソコンを組み込んだものを使っていました。しかし、特注の機器のため故障したときの対応に手間がかかり、ケースも大きくて重さは15kgもありました。そこでコンパクトなタフブック CF-D1に全面的に交換することになりました」(森田氏)。

JR貨物ロジスティクス本部I-TEMセンターの森田哲也氏(左)と島広明氏(右)
JR貨物ロジスティクス本部I-TEMセンターの森田哲也氏(左)と島広明氏(右)
フォークリフトの運転室。ほこりが多く普通のパソコンはすぐに故障してしまうほど。
フォークリフトの運転室。ほこりが多く普通のパソコンはすぐに故障してしまうほど。

 隅田川駅構内に置かれた1台のフォークリフトには、すでにタフブック「CF-D1」が取り付けられていた。振動や衝撃にも強いタフブックは小型軽量なので、狭い運転室内でも設置場所に困らない。しかも、軍手をしたままでも使えるので、オペレーターは荷役作業の合間に素早く操作できる。

フォークリフトに設置されたタフブック「CF-D1」(左)。これまで使ってきた特注パソコンのモニター(右上)に比べるとCF-D1(右下)は小型・軽量で画面も大きくなっている
フォークリフトに設置されたタフブック「CF-D1」(左)。これまで使ってきた特注パソコンのモニター(右上)に比べるとCF-D1(右下)は小型・軽量で画面も大きくなっている
軍手をはめたままでもタッチパネル操作でコンテナ荷役作業に必要な情報がリアルタイムで得られる。高輝度液晶を使用しているため、西日が差し込む時間帯でも安心だ
軍手をはめたままでもタッチパネル操作でコンテナ荷役作業に必要な情報がリアルタイムで得られる。高輝度液晶を使用しているため、西日が差し込む時間帯でも安心だ

「これまで、西日が差し込む時間帯は、モニターの画面が見えにくいこともありました。しかし、CF-D1の画面は、AR処理と約1000cd/m2の高輝度液晶ですから屋外でも見やすくなるでしょう。」とJR貨物ロジスティクス本部I-TEMセンターの島広明氏は期待している。

 改良後のシステムでは、エンジンが回転しているときだけフォークリフトからパソコンに電気が送られ、エンジン停止中はパソコン内蔵のバッテリーを使うことになる。「CF-D1のバッテリーは、約10時間半も駆動できるのでエンジンを停止しても心配はありません」(島氏)。

※AR=Anti-Reflection

コンテナ輸送の「ジャスト・イン・タイム化」を実現

 IT-FRENS&TRACEシステムは、コンテナが目的地に届くまでの一連の物流を管理する。JR貨物の駅で荷主からコンテナを受け取ると、目的地までの最適な路線やコンテナ列車の選定などを自動的に行い、貨車を予約する。そして、コンテナを予定通りの時刻に目的地の駅まで届けるまで、コンテナを追跡し続けるのだ。

 コンテナの位置を確認する手がかりとなるのは、RFIDタグ(ICタグ)。約8万個のコンテナや約8000両の貨車、そして約2万台のトラックには2.45GHzのメタル対応タグが取り付けられ、フォークリフトにはその情報を読み取るRFIDリーダーやGPS機器が搭載されている。

コンテナや貨車、トラックにはRFID(赤枠内)が設置され、コンテナの積み卸し時に情報を読み取る
コンテナや貨車、トラックにはRFID(赤枠内)が設置され、コンテナの積み卸し時に情報を読み取る

 フォークリフトの油圧センサーがコンテナの積み卸しを感知したとき、GPSの位置情報とコンテナや貨車のRFIDに書かれた情報をひも付けることにより、全国のコンテナがどの位置にあるのかが記録されるのだ。留置したときの高さによって「地上」か「2段目」かといった区別も行える。

フォークリフトに設置されたRFIDリーダー(左)と、GPSや無線LANのアンテナ(右)
フォークリフトに設置されたRFIDリーダー(左)と、GPSや無線LANのアンテナ(右)
コンテナを2段積みしたときは、上段か下段かもシステムが自動識別して位置を管理する
コンテナを2段積みしたときは、上段か下段かもシステムが自動識別して位置を管理する

 このシステムが稼働する前は、コンテナには「荷票」と呼ばれる伝票を取り付けてコンテナの内容や行き先などの管理を行っていた。しかし、ピーク時には駅構内に3000個程度あるコンテナから目的のものを探し出すのは大変で、ときには駅構内で"大捜索"が行われることもあったという。

「IT-FRENS&TRACEシステムが導入された後は、各コンテナの位置がリアルタイムに分かるようになったため、コンテナを探す時間はなくなり、積み卸し作業の生産性は大幅に向上しました。さらに特殊な紙を使っていた荷票が不要になったため、大幅なコストダウンにもつながりました」と島氏は説明する。

 各コンテナがどこにあるかという情報は、その駅の構内だけでなく、全国にあるほかの駅や走行中の機関車でも共有される。そのため、JR貨物の機関車にはGPS機器とタフブック「CF-19」が搭載してある。どのコンテナがどの列車でどの場所を走行中かといった情報も分かるのだ。

 JR貨物のフォークリフトに搭載される「CF-D1」は、貨物駅の最前線で貨物輸送の「ジャスト・イン・タイム化」を支える重要な役割を担うことになる。

東北本線を北に向かうJR貨物のコンテナ列車。機関車にはGPS機器とタフブック「CF-19」が搭載されている
東北本線を北に向かうJR貨物のコンテナ列車。機関車にはGPS機器とタフブック「CF-19」が搭載されている
隅田川駅
東京都荒川区南千住にあるJR貨物のコンテナ輸送拠点。北海道や東北、北陸、関西など全国各地からのコンテナ列車が毎日約50本近く発着し、1日平均約6000トンの貨物を扱う。22万5000m2にのぼる構内には、着発線や荷役線、コンテナホームなどの荷役施設がある。

※記事は執筆時の情報に基づいており、現状と異なる場合があります

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