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活用事例

試験運転始めた兵庫県西宮市のごみ焼却施設で タフブックの機能を徹底検証
2012年11月22日公開

試験運転始めた兵庫県西宮市のごみ焼却施設で タフブックの機能を徹底検証

タフブック活用ガイド(13) JFEエンジニアリング 活用事例

兵庫県西宮市の東部総合処理センター焼却施設は、24時間稼働でも周囲に悪影響を及ぼさないように施設内部で徹底した気密性の追求と加圧管理を行うほか、焼却炉室内部でドライミストを採用するなど新機軸も取り入れた。この現場で施工を担当するJFEエンジニアリングの技術者が過酷な現場での使用を考慮して設計されたパソコン「タフブック」を評価した。



ドライミストの中でタフブックを使用

家入 龍太氏(いえいり りょうた) 大手鉄鋼会社を経て、1989年に日経BP社に入社。土木専門誌「日経コンストラクション」の副編集長や、建設総合サイト「KEN-Platz」(現・ケンプラッツ)の初代編集長、企画編集委員として「イエイリ建設ITラボ」の管理人などを担当した後、2009年に退社。2010年から建設ITジャーナリストとして活動している。
家入 龍太氏(いえいり りょうた)
大手鉄鋼会社を経て、1989年に日経BP社に入社。土木専門誌「日経コンストラクション」の副編集長や、建設総合サイト「KEN-Platz」(現・ケンプラッツ)の初代編集長、企画編集委員として「イエイリ建設ITラボ」の管理人などを担当した後、2009年に退社。2010年から建設ITジャーナリストとして活動している。

 兵庫県西宮市の海岸沿いにある東部総合処理センターに完成したごみ焼却施設が2012年9月に試運転を開始した。1日に280トンの家庭ごみを焼却できる能力を持ち、西部総合処理センターと並んで西宮市の「燃やすごみ」を処理する一大拠点として、重要な役割を担う施設だ。

 ごみ焼却施設は1日に140トンのごみを焼却する全連続燃焼式ストーカ炉2基、焼却熱を電力エネルギーに変える7200kWの蒸気タービン発電機、そしてばいじんと有害物質を除去する排ガス処理設備などが設けられている。

 焼却炉室では熱気が漂う内部のあちこちから、「ドライミスト」の水煙が上がる中、建設工事を担当するJFEエンジニアリング西宮東部作業所の建築監督員、今本泰久氏はパナソニックの過酷な現場での使用を考慮して設計されたパソコン「タフブック CF-19」を片手に、設備の稼働状況を点検していた。


兵庫県西宮市で試運転を開始した東部総合処理センター焼却施設内でタフブック「CF-19」を使用するJFEエンジニアリングの今本泰久氏
兵庫県西宮市で試運転を開始した東部総合処理センター焼却施設内でタフブック「CF-19」を使用するJFEエンジニアリングの今本泰久氏
焼却炉室内には熱気を放熱・緩和するためのドライミストの水煙が漂う(左)。その中で安定して動作するタフブック「CF-19」(右)
焼却炉室内には熱気を放熱・緩和するためのドライミストの水煙が漂う(左)。その中で安定して動作するタフブック「CF-19」(右)

「ドライミストは屋外で使うのが普通ですが、ここでは、焼却炉室内部を冷却するため、ドライミストと換気を併用しています。ドライミストでは3~7℃程度室内の温度が下がります」とJFEエンジニアリング西宮東部作業所、建築機械監督員の信谷英雄氏は説明する。屋内でドライミストを使うのは大変珍しい。もちろん、湿度や結露などが電気機器に及ぼす影響も十分、設計時に考慮しているものの、あちこちで水煙が上がる中でパソコンを使うのは抵抗感もある。

「タフブックは防滴性能が優れているので、ドライミストはもちろん、多少の雨や水滴がかかる場所でも安心して使えます」と今本氏は語った。

徹底した気密性の追求と加圧管理で臭気遮断した居室エリア

建築監督員の今本泰久氏(左)と建築機械監督員の信谷英雄氏(右)
建築監督員の今本泰久氏(左)と建築機械監督員の信谷英雄氏(右)

 東部総合処理センターには一般見学者用のコースも設けられている。中央制御室、ごみクレーン操作室などが、見学コースに組み込まれている。ごみクレーン操作室からは深さ30mもの巨大なごみピットがガラス1枚隔てて見下ろせるようになっている。

「ガラスの外側はごみの悪臭が立ちこめていますが、ごみクレーン操作室では全くにおいを感じません。これは見学コースである居室エリアとごみ処理臭気エリアの間の気密性を高め、見学コース側の気圧を少し高くしておくことで臭気が入らないように設計してあるからです」と、信谷氏は説明する。

深さ30mのごみピットを見下ろすごみクレーン操作室で。ガラス1枚隔てたごみピットの悪臭は全く感じない
深さ30mのごみピットを見下ろすごみクレーン操作室で。ガラス1枚隔てたごみピットの悪臭は全く感じない
焼却施設でごみを下ろすパッカー車
焼却施設でごみを下ろすパッカー車

 一般のオフィスビルとは違い、焼却施設はプラント・建築・設備を一体的に設計し、臭気、騒音、振動などの対策を徹底管理しているのが特徴だ。ドアなども気密性の高い「エアタイト仕様」のものを使っている。

 焼却後の排ガス基準にも万全の対策を施している。ばいじん、ダイオキシン類、塩化水素などの有害物質を基準値以下まで除去。ごみ臭は焼却炉内へ燃焼空気として送風し、燃焼温度850℃以上で分解し、誘引送風機で煙道に送風され、煙突から排出される仕組みだ。

タフブックにインストールされた防災システムの画面
タフブックにインストールされた防災システムの画面

 今本氏が持つタフブックには、東部総合処理センター用に開発された「防災システム」がインストールされていた。施設内の火災報知器などの位置を図面化し、警報が鳴った時などにパソコン上ですぐに火災発生場所の確認ができるものだ。

「タフブックには約100mの通信ができる強力なBluetoothが搭載されているため、広い施設内でも無線通信機能を生かせそうです。また、インテルi5プロセッサーを搭載しているため、現場の過酷な条件に耐えながら計算処理能力も優れています。試しにベンチマークテストを行ってみたところ、私が日ごろ使っているノートパソコンよりも動作が速かったのには驚きました」と今本氏は言う。

夜間騒音50デシベル以下で24時間稼働

 東部総合処理センターは24時間稼働している。そのために求められるのは静粛性だ。焼却施設の試運転開始後、建物の周囲をひと回りしてみたが、その中で巨大な焼却炉が稼働しているとは思えないほどの静けさだった。

高さ59.5mの煙突がそびえ立つ東部総合処理センター。内部の焼却炉の音などはほとんど聞こえない
高さ59.5mの煙突がそびえ立つ東部総合処理センター。内部の焼却炉の音などはほとんど聞こえない

「施設の隣には鳴尾浜臨海公園が広がっています。昼間は敷地境界での騒音を65デシベル以下、朝・夕55デシベル以下、夜間では50デシベル以下にする必要があります。そのため機器にはサイレンサーや消音フードなどを設置し、騒音対策には気を使っています」と信谷氏は説明する。

※デシベルは騒音レベルのdb(A)

 もちろん、建設工事中も騒音対策は万全を求められた。2008年12月に始まった工事は、既存の施設を解体しすることから始まった。

「敷地の境界線にはUSB接続式の騒音計を配置し、工事中の騒音を監視しました。タフブックを使うと、工事段階に応じて騒音計を柔軟に配置し、そのデータを巡回しながらその場で回収することもできそうですね。現場は海岸沿いで潮風やほこりもありますが、タフブックのようなパソコンならこうした場面でも安心して使えそうです」(今本氏)。

 敷地は海岸に面しており、地下2mには海水がしみ出してくる。地下10mに達するごみピットの掘削作業では、ソイルセメントを使った土留め壁を使いながら慎重に掘削を行った。

「タフブックなら海水がしみ出してくる可能性のある土留め壁や支保工の変位をその場で入力し、リアルタイムな施工管理にも使えそうです」と今本氏。

 竣工は2012年12月21日だ。以後、東部総合処理センター焼却施設は西宮市に引き渡され、引き続きJFEエンジニアリングが20年間の運転と維持管理を行う。

2012年12月21日に竣工すると、東部総合処理センターは西宮市に引き渡され、引き続きJFEエンジニアリングが20年間の運転と維持管理を行う。
2012年12月21日に竣工すると、東部総合処理センターは西宮市に引き渡され、引き続きJFEエンジニアリングが20年間の運転と維持管理を行う。
西宮市東部総合処理センター
西宮市では「燃やすごみ」の処理を西部総合処理センター焼却施設と西部工場の2施設で行ってきたが、1982年11月に竣工した西部工場は老朽化のため処理能力が低下した。そこで廃止されていた東部総合処理センターの旧施設を解体し、新しい「東部総合処理センター焼却施設」を建設した。新施設ではごみ焼却時の排ガス処理機能の向上や焼却熱を有効利用した発電、場内と近隣のリゾ鳴尾浜での余熱利用を行う。

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